長期滞米研究者ネットワーク

管理人たちの日記

オーストラリアへ行く話その6 パワーポイントとキーノート

2005年10月31日 | ばみら日記
今回はめでたく口頭発表である。めでたい理由の一つにはポスターをえっちらおっちら運ばなくてすむというのがある。最近はやりの1枚もののポスターだと丸めて1メートルくらいの筒になったりするので、学会の前後にあちこちまわるとなると邪魔そのものである。そんなわけで、ばみらとしてはパネルごとに分かれたポスターの方が好みである。先月のサンフランシスコでの学会ではラボのメンバーの作ったポスターを持っていくことにしていたのだが、出来上がったものが2メートル四方の1枚ものだったので、頭がくらくらした。

しかし、口頭発表も油断はならない。それはプレゼンソフトの互換性に問題があるからである。最近の学会ではスライドやOHPでのプレゼンはほぼ完全に廃止され、LCDプロジェクターにとって変わられている。ソフトはパワーポイントを使う場合がほとんどであるが、このソフト、互換性が非常に薄いのが問題である。一説にはソースコードが激しく汚くて、互換性を保ちたくても技術的に不可能なのだそうだ。だったらアップグレードすんなって。いらん機能が多くなるだけなのだから。というわけで、可能な限り自分のパワーブックをつなげてプレゼンすることにしているのだが、学会によってはそれもできず、サーバーにファイルを送って投影する場合もけっこうある。昨年のある学会では、ファイルをあらかじめメールで送ってサーバーに保存するというあらゆる意味で危険かつどあほうな方法を採用していた。ファイルは無事受け取り、投影も問題ない、という確認メールが来たのだが、当日直前にチェックしたところ、案の定正しく写らないオブジェクトがある。何が正しいのか知らない人がいくら確認したって意味がないのである。朝飯返上で最低限の変更をして発表に臨んだのだが、まったく思い出す度に腹が立つ。食い物の恨みは消える事はないのだよ、スティーブ、お前のせいだ。

さて、オーストラリアである。窓主導の国なのか、林檎主導の国なのか、ともかくPC互換のCDにファイルを焼いて窓XPでも動作確認をして、USBメモリーにもバックアップをとって、発表準備室に乗り込む。さすがはオーストラリア、なのか、さすがは参加費が高い国際学会、なのか、確認用にちゃんとパワーブックも並んでいる。パワーポイントも何種類かバージョンが揃っていて、最新のものでは正しく投影されなかったが、うまく作動するバージョンがあり事なきを得た。会場ではセッションのプログラムがスクリーンに投影されており、そこから各発表者のファイルにハイパーリンクが貼られ、投影係りがクリックするだけで、それぞれのファイルが正しくOSやバージョンを選んでオープンするという中々見ごたえのあるファイル進行であった。それにしても、バージョンが一つ新しくなっただけで、古い方で作ったものが写らなくなるというのはどうにかしてほしい。そろそろキーノートへの切り替えの時期であろうか。ちなみに今回はカナダのグループ一つだけがキーノートを使っていた。

オーストラリアへ行く話その5 135度線上の隣人

2005年10月29日 | ばみら日記
日本ではきっころもりぞうの率いる35年ぶりの万博が成功裡に終わったようである。人類の進歩と調和を統一テーマに開催された35年前の、日本はおろかアジアで最初の万博において、オーストラリア館のテーマが表記の135度線上の隣人であった。東経135度を太陽が南中する時刻をもって日本標準時の正午が決まるのであるが、日本とオーストラリアは南北の半球に遠く離れていても同じ時間帯に暮らす隣人であるというわけである。ようするに時差がないということである。別の言い方をすれば、アメリカからやってくると、日本へ行く時と同じくらいの時差があるので、とっても大変ということである。そのためか、7月にサンフランシスコで開かれたアメリカ発生生物学会への日本からの参加者は例年の半分以下であったのが、今回の国際発生生物学会では日本からの参加、発表がたくさんあった。おそらく日本発生生物学会の努力も多々あったのであろう。ただ、いろいろ聞いてみると直行便で来た人より、ソウルやバンコク経由で時間をかけてきた人が多かったようである。理由はあえてここには書かない。

さて、これだけ日本人が多いと、思いがけない人にあう可能性も高くなる。おかげで20年程会う機会のなかった知人、友人にも何人か会う事ができた。なにしろ、初日にホテルから会場へ向かうシドニーの街角で声を掛けられるほどである。五メートルおきに知り合いに会って、100メートル進むのに1時間かかった日本の学会時代を思いだす。そんなこんなで、ポスターの前で日本語でディスカッションするという反則技をやってしまったが、まあたまにはいいだろう。ばみらの敬愛するコーヒーブレイクのブログの著者をはじめ、日本の発生界をリードする女傑の方々のお姿も拝むことができて満足であった。

Stickypaper の続き

2005年10月29日 | SE の日記
昨日紹介した Stickypaper の続きです。goo 辞書を使った英単語検索用のスクリプトを書いてみました。以下、使い方です。

まず、スクリプト(eiwa_prmpt.txt) を .txt で保存します。それを Stickypaper の新規書類から title bar 右クリック -> script で選択し、Run をクリックするとプロンプトが開くのでそこに単語を入力(もちろんコピペも可)し、Enter を叩くと訳が表示されます。一番最初に現れた訳は word.txt に自動的に保存されるのであとで単語帳として使えます。二度目からは最初に作った Stickypaper の書類の title bar にあるノートのようなマークをクリックすればプロンプトが開きます。

単語入力が面倒という方は、スクリプト(eiwa_cb.txt) を使うとコピーした(クリップボード内の)単語が検索されます。こちらの場合は Stickypaper の書類 title bar 右クリック -> Stay on top を有効にしておくと他のソフトが開いていてもその上に paper が表示されるので便利です。

追記:出来た単語帳から1単語ずつ一定時間ごとに表示、なんてのも簡単に出来ますね。

付箋紙ソフト

2005年10月28日 | SE の日記
今まで Stickies というソフトを使って各研究室員の実験計画や To Do List をデスクトップ上に表示していたのですが、それの機能拡張版のような Stickypaper というソフトを見つけました。

http://www.pentacom.jp/pentacom からダウンロードできます。テキストの他に画像を表示したりスクリプトをつかってウェブの情報や受信メールを一定時間ごとにチェックできます。

付属のサンプルスクリプトはヤフーのニュースをチェックするものでしたが、ちょっといじって PubMed の新着文献を表示するようにしてみました。

スクリプト(pubmed.txt)を .txt で保存して、それを Stickypaper の新規書類から title bar 右クリック -> script で選択し、Run をクリックするとスクリプト内の xxxxx 部に入力したキーワードで検索された新着文献が表示されます。

授業の準備(その3)

2005年10月24日 | SE の日記
今日はどんな風に授業の準備をすすめてきたかちょっとまとめてみようと思います。学部1―3年生向けに各種感染症を教えます。

1) どの感染症をとりあげるか決める。
2) 各感染症について何を話すのか項目を挙げ、話す順序を決める。
Summary, History, Distribution and recent cases, Pathogen, Host, Transmission/Prevention, Pathogenesis/Immunity/Clinical symptoms, Diagnosis and Treatments
***以下は各感染症について繰り返し。***
3) ウェブ、論文、本からテキストと図や写真を集める。図と写真はパワーポイント書類に参照元の情報と共にまとめる。
4) 使えそうな部分に線を引きながら資料に目を通す。
5) 2)の構成に従ってテキスト情報をまとめる。
6) 2)の構成に従って図表、テキストを組み込んだパワーポイント書類を作る。

他の仕事をしながらですが、3)&4)と5)&6)にそれぞれ1週間ずつかかりました。1,2年生向けには細菌感染症のイントロも担当する予定で、各感染症については興味を持ってくれそうな項目だけかるく話すつもりです。3年生についてはPathogenesis/Immunity あたりを少しディープに話そうかと思っています。HTML/Javascript (と出来れば Perl )を使ってオンラインリソースも作りたいですが、今回は間に合いそうにありません。初めての授業の準備は予想以上に時間と労力がかかりますが、楽しみでもあります。

自分の研究生活をもとに笑顔で楽しそうに授業をしてくれた有機化学の教授を目指したいと思っています。

親と同じ職業(教師)には就かないと言った小学生の頃、英語が嫌いだった中学時代、微生物学を危うく落としそうになった学部時代を振り返りつつ。


オーストラリアへ行く話その4 きょんぴよぴよぴよ

2005年10月17日 | ばみら日記
いきなり擬態語である。正確には擬音語なのだが、あえて擬態語としよう。オーストラリアの交差点の話である。けっこうにぎやかなのである。比較的町のサイズが小さく、地下鉄やバス、路面電車が発達しており、排ガスへの感心が高いオーストラリアでは(少なくともシドニーなどの都市部では)、歩道に歩行者がたくさんおり、それゆえ歩行者用の信号も一つ一つの交差点に「完備」されている。アメリカではマンハッタンなど一部を除くと、そもそも歩道という概念が存在しない。テキサスで生まれ育った人とサンフランシスコに行ったときに、歩行者用の信号を見て「あれは何?」と聞くので、そのまんま歩行者用の信号だと答えたら、またまた冗談ばっかし、という反応であった。

さてその信号である。押しボタンを押して青になるのを待つのであるが、このボタンのついているところが、60ヘルツくらいで、ぴっ。。ぴっ。。ぴっ。。とつぶやいているのである。そして目的の方向が青になると、一言「きょんっ!」とさけんで、ぴよぴよぴよと連打攻勢にでるのである。妖精ポケモンぴっぴから八丈島のきょんを経て夜店のひよこへの見事なモルフォジェネシスである。これらは電子音のようであるが、実はもう一つパターンがあって、赤の時はてこっ。。てこっ。。とやはり60ヘルツ、青になると忙しくてちてちてちと打ちまくる打楽器タイプもある。ハムスターのあるくさまをてちてちと表現したのは、ハム太郎の作者河井リツ子の最大の業績であるが、猿回しからハムスターへの進化(ん、これは進化なのか?)に伴い、信号待ちの人々はてちてちと急かされるように横断歩道を渡るのであった。

オーストラリアへ行く話その3 どこへ来たの?

2005年10月13日 | ばみら日記
さてさて、長旅の末、始めてのオーストラリアである。南半球は2度めである。何十年か前に、いわゆる新婚旅行というもので、南太平洋の島に来たことがあるだけである。当時、その島は天国に一番近い島といわれていたようである。天国そのものであったとだけ加えておこう。シドニーの空港では荷物をX線装置に通して食品の検出をしていた。オーストラリアは食品や動植物の持ち込みに非常に神経質である。それゆえ、実験サンプルを送る時には何重にも梱包した上に、詳しい税関申告書をつけなければならない。送り先が発行した輸入許可書を添える事も必須である。最近は日本でもマウスの輸出入がかなり面倒になったが、まだまだオーストラリアの比ではなさそうである。そんなわけで、機内にはクロコダイルのおにーちゃんが「オーストラリアにはこういうものは持ち込めません」と解説するパンフレットが揃えてあるし、税関申告書には食べ物についての質問事項がずらっとならぶことになる。申告書を提出し、口頭質問に答えた上で、さらにX線検査となる。ごていねいなことである。金属ならともかく、どうしてタンパク質核酸酵素がX線で検出できるのか、不思議ではあるのだが。ソフトX線でも使っているのだろうか。もっとも、アメリカ入国の際にも税関でX線検査を受けることはあるから、有袋類の国に限ったことではなさそうである。機内食は全て食べてしまったので、特に申告するものもないばみらは、かくして無事にシドニーの町へとくりだしたのである。

が、しかし、ここはいったいどこなの??ホテルの最寄りの地下鉄の駅がチャイナタウンに近いということを割り引いても、東洋人だらけである。金曜の夜ということも手伝って、地上には人があふれている。ここは渋谷か新宿か。おもわず北の家族や村さ来を探しそうになってしまう。イギリスの伝統を引き継ぎ、左側通行であることも日本にいるような錯角をおこさせる。ホテルのフロントのあんちゃんも東洋系であった。テレビをつけると、英語の放送をやっているのだが、どこかで見たような人がどこかで見たような背景で何かをしゃべっている。半分くらいのチャンネルでアメリカの放送をやっているのである。現地の放送も、ニューオリンズを襲ったハリケーンカトリーナの話題ばかりである。というわけで、どのチャンネルを見てもアメリカのことばかり。かくして、有袋類との遭遇ははるか彼方という状況で最初の日は暮れていったのであった。 

Perl

2005年10月10日 | SE の日記
以前の日記に書きましたが、プログラミングに興味があり最近Perl を勉強し始めました。「1週間でマスターする Perl for Windows」 という本を読んでいます。親切に書いてあってプログラミング超初心者にも良く分かります。ウェブからの情報も合わせて勉強して、それが終わったら「初めての Perl」を通読してみるつもりです。

特定の英単語(熟語)を含む文を複数の Word ファイルから検索・保存する簡単なプログラムを書いてみました。これは論文など書いているときに「この表現は他の論文でどう使われてるかな?」なんてことを調べて記録しておくのに使おうと思っています。あと Win32::OLE や LWP:: Simple モジュールを使って flow cytometer からエクスポートしたエクセルデータを整形するものや Pubmed での検索結果を整形しなおして出力する()ものを作って使っています。

追記)トップページのサーチに Biocompare と Dictionary.com を追加したので良かったら使ってみてください。

オーストラリアへ行く話しその2 どこまで行くの?

2005年10月07日 | ばみら日記
ばみらは機内ではほとんど映画を見ない。ふだんも子供を見せにつれていく以外はまず見ない。最長不見記録はサッポロオリンピックの記録映画からブッシュマンまでの10年間である。しかしながら、オーストラリアまでの長い道のり、電源のあるシートではなかったので、パワーブックも早晩バッテリー不足となったので、映画を見ることにした。ちなみにカンタスはビジネス以上でないとシート電源がない。ばみらとしてはガラスの容器よりもそっちの方を充実させてほしい。コンチネンタルは数は多くはないがメインキャビンにもシート電源のある席がある。日本への往復はほとんどコンチネンタルなので、機内で論文を書いたり、スライドを作ったり、プレゼンの練習をしたり、といつもどおりの生活ができる。これでインターネットに接続できればいうことはないのだが、そうなったらそれはとても高価になる気がする。

映画といってもアカデミーノミネートのようなものは肩がこるので(英語がよく分からないといったほうが正しい?)、コメディ系を見る事になる。ただ、ほんまもんのコメディはかえって難しい。江戸ものが上方の笑いを理解できないように、大阪もんが東京のソフィスティケートされた笑いに凍るように、文化が違うと笑いも違う、英語が分かっても笑えないのである。ともかく、ジェニファーロぺスとジュディーフォスターが好演するモンスターインロー(モンスターインクではない)と、フォルクスワーゲンが主演のハービーフリーローデッドを見るのであるが、二つ見終わってまだ全行程の半分にも達していない。まだまだ有袋類の国ははるかかなたである。場所は大平洋のど真ん中、飛行情報を見ても海が見えるだけ。日本への航路であれば、アラスカやロシアの町が見えたりしてたまに見るのには良いのだが、画面の端にホノルルとあるだけでは暇つぶしの種にもならない。パワーブックは力つきて久しいし、映画ももう見たいものはない、ガラス容器のサラダも食べてしまったし。というわけで、残りの時間は帰国子女の日本への適応状況をレポートした論文を読みながら大平洋上をひたすら飛ぶのであった。なるほど、日本人は町を歩く速度が早くて帰国子女の目には異様に写るのか。。。。