長期滞米研究者ネットワーク

管理人たちの日記

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報酬

2004年04月22日 | SE の日記
青色LED控訴審が始まったそうです。日亜化学に対して中村教授に青色LEDの開発の報酬200億円払うよう判決が出ていましたがどうなるでしょうか。

最近読んだ「研究力」という本には中村教授側の言い分が詳しく(かなり強い調子で)書かれていました。青色LEDの研究開発は会社に認めてもらえない中、中村教授の信念と独創性で行われてきたことが綴られています。また、200億円(中村教授が請求した額)という数字は競合会社から特許がきれるまでに支払われるであろう1200億円に教授の貢献度50%をかけた600億よりかなり低くなっています。200億円とだけ聞くと途方もない額ですが、事情を考えると妥当な気もします。

一方、日亜化学側はこれに真っ向から対抗していて中村教授の取った特許(404特許)の青色LEDの開発への寄与は無く、むしろ損益が出ているとの主張です。また、終身雇用の安定したポジションで行った開発に多額の報酬を求めるのはおかしいとも言っています。

「中村教授の貢献度は0もしくはマイナスですでに支払った2万円で充分。」は極端な主張に思えますが、日亜化学側の「終身雇用。。。」という言い分は一理あるように思います。「社員は会社に滅私奉公し、会社は社員の生活を守る」という日本の文化的背景を考えると単純に計算式で出した額(200億はそれより少ないですが)は払い過ぎのように感じます。個人と会社の無機質な契約で雇用が成り立っていて、簡単に即日レイオフが行われるアメリカだったらそれで良い気もしますが。

「技術系の45%、3年前に比べやる気減退」という記事を最近みたばかりなので、個人的には日本の技術者の意欲を掻き立てるような高額が支払われることになり且つ日本の文化的背景に見合った程よいところに落ち着けばいいなと思っています。

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最近の記事から

2004年04月19日 | SE の日記
PubMed の Cubby で Nature, Science のpublication をチェックしていて気になった記事を取り上げてみたいと思います。

一つめはScienceの3月19日号に掲載された Japan: Older Scientists Win Majority of Funding という記事で、日本の若手研究者には研究費がまわっていないことを紹介したものです。この記事によると35歳以下の研究者に配分された研究費(おそらく科研費)は全体の5パーセント程度である一方50歳以上の研究者に半分以上が割り振られています。「2050年までに30人のノーベール賞受賞者を日本からという目標を掲げているのに、生産性が高い若手研究者には研究費が割り振られていないではないか」と皮肉られています。昨年度文科省はこの状況を改善するため研究補助費のうち150億円を若手研究者のために割り当てたそうです。では、NIHの研究費の年齢別の配分はどうなのかと気になって調べてみました。すると意外なことに2000年にNIHグラントを受給した35歳以下の研究者は全体の2パーセント以下(ちなみに1991年は8パーセント強だった)というデータに行き当たりました。ただ、これは若手研究者からの申請の採択率が低いからではなく申請自体が少ないことによるものです。2000年の時点でのポスドクの平均年齢はなんと35歳だったそうで、NIHグラントを受給した若手研究者の割合が減ってきているのは独立できる年齢が年々遅れていることが主要因のようです。

もう一つはNatureの4月15日号に掲載された近年の米国のポスドクの待遇に関するUS postdocs: Young, gifted ... and brokeという記事です。研究の下支えをしているポスドクが冷遇されている状況が述べられています。一方で、最近のPostdoctoral Associationの努力によってそれが少しずつ改善される傾向があることやNational Multiple Sclerosis Society やBurroughs Wellcome Fundは近年ポスドクと独立ポジションをつなぐグラントを提供していることも紹介されています。

日本もアメリカも若手研究者を取り巻く状況は厳しいですが、それを改善するための活動はslowly but surely に進んでいるようですね。
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