十二単の五つの質問(体験講座で必ず聞かれます)。
①本当に12枚あるの?→標準的には、小袖・長袴・単・五衣(5枚)・打衣・表着・裳・唐衣で合計12枚になりますが、季節により五衣の数を調整したりしますので、必ずしも12枚に決まっているわけではありません。正式には「裳唐衣装束」というので、十二単はあくまでも「数が多い」ということを強調した俗称です。
②重さは?→およそ12㎏から15㎏、これも材質や季節によって異なります。
③お姫様が着ていたの?→裳唐衣をつけた巌粧姿はあくまで女房のもので、いわゆる姫君はもっとゆるやかで華麗な衣裳、たとえば小袿(こうちぎ)の上に細長を着るといった姿でした。ただし現代では、宮中の盛儀では皇族女子の方々はすべて十二単を着装します。
④トイレは?→寝殿造にはトイレがなく、樋殿という一画で「おまる」(樋箱)を使用しました。樋箱には支柱があり、裾を掛けて着物の中におまるを入れ、「樋洗童(ひすましわらわ)」という童女が介添、洗浄を行いました。
⑤動けるの?→長袴で重い装束をつけているので、日常生活や移動が大変だという感じはしますが、およそ座った状態が多く、移動も室内を膝で動くくらいのため、立った状態で長時間いるということはなかったので、存外大丈夫だったのではないかと思われます。
(杉岡さんえがく)