このところ、『ゴジラ傳』『京アニを読む』（いずれも新典社）など、「シン・ゴジラ」「君の名は。」の大ヒットに呼応するような研究書が続々刊行されておりますが、このビック・ウェーブに乗って、わたしどもの同僚、森下達先生が、『怪獣から読む戦後ポピュラー・カルチャー 特撮映画・ＳＦジャンル形成史』（青弓社）を刊行されました。日本のポップカルチャーが社会批判を内包していたにもかかわらず、時代を閲して脱政治化してゆく過程を、「怪獣」（そして「核」）を手掛かりに解き明かすものです。むろんのこと、「シン・ゴジラ」の政治志向についても、「エピローグ」として取り上げられています。先生の京都大学大学院文学研究科（現代文化学専攻二十世紀学専修）での博士論文(2014）に基づくもの、お値段もころあいですので、江湖の読書子に強くお勧めいたします。
