麗しの青林檎 -Marine & Silk-

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miRPGmakerでツクール素材を使う際に生じる問題点に関する一考察

2008年01月05日 | プログラミング
 miRPGmakerでゲームを作る際おそらく最も障害になるのがマップ制作、特に「RPGツクール用の素材を使った」マップ制作であろうと思われます。「グラフィックも一から描いてしまう」という人は少数でしょうし、「デフォルトのマップチップを使えば簡単かつ楽」とは言うものの、ネット上にはRPGツクール用の素晴らしいフリー素材が溢れているわけですから、やはりこれらを使って人とはちょっと違う、オリジナリティのあるゲームを作りたくなるのが人情というものです。miRPGmakerにはmiImage Changerという、ツクール用素材(等)を加工するためのアプリケーションも同梱されているのですから尚更です。ここではそのmiImage Changerを使用してツクール用素材を加工する上で、念頭に入れておくべき問題点について考えてみたいと思います。

 (なお、これはあくまで私個人の「多分こういうことなんじゃないかな~」という憶測に基づいた見解です。部分的、あるいは根本的に間違ったことを言っている可能性も充分ありますのでご了承の上参考にしてください)


 RPGツクール2000用のマップ素材は通常480×256ピクセルの一枚の画像(BMP)で配布されています(2000用のものが比較的ネット上で多く配布されているようなので、ツクールXP等の他のものについてはここでは略します)。で、これをmiImage Changerで分割して使うわけですが、この素材というのは1パーツ(チップ)16×16ピクセル、計480パーツに分割して使うのが最も好ましい(480の部分として考えられ、構成されている)ようです。これを別の比率で分割しようとすると、上手く行く部分もありますが全体としてはきっちり割る事が出来なくなります。

 miRPGmakerのマップチップは一つが32×32ピクセル、イベントチップも32ピクセルを一単位として、32の倍数のピクセル数の画像を使う事になっていますから、miImage Changerを使って一つ一つのパーツを32×32に変換して使う事になります。本来16×16のものを32×32ピクセルのものにするわけですから、縦横二倍に引き延ばして使うわけです。すると当然画質は荒く(ドットが目視出来てしまうくらいに)なってしまいますが、本来RPGツクールでこの素材を使った際にもゲーム画面上では(多分ですが)画像は拡大されて表示されるはずです。「32×32に引き延ばしてしまうと画質が荒くなる」とは言っても、素材本来(配布時)のサイズ比率(1チップ16×16ピクセル)でRPGツクール上の画面に表示されるわけではないはずです(たぶん)。この480×256の配布素材を見ると、このグラフィックがこのままゲーム画面になっているというのはどう考えても小さすぎる気がしますので、ツクール上では32×32相当に拡大表示されているか、ゲーム画面(ウィンドウ)をユーザーが任意で拡大縮小出来るのではないかと思います。

 ここまでまとめますと、「ツクール2000用の素材は1チップ16×16に分割し、それらを32×32に変換して使用」するのが基本であり、「ちょっと見た目は荒くなるものの、ゲーム画面に出て来るグラフィックとしては許容範囲」ということになります。ところが、こうしてツクール用マップ素材を使ってマップを作り、更にツクール用キャラ素材を使用して作ったキャラをそのマップに配置すると問題が生じてしまいます。そう、キャラが小さすぎるのです。

 ツクール用のキャラチップとして配布されているキャラクターは、1パーツ(人間一人分)の画像サイズがどうやら縦32ピクセル、横24ピクセルで作られているようなのです。4:3の比率です。ツクール上で使う分にはこの比率がこのまま保持された上で更にマップ画像に見合ったサイズで(多少拡大されて)表示されることになるのだと思われます。しかしmiRPGmakerはマップチップもキャラチップも1単位が一律32ピクセル、1:1の比率です。miImage Changerで実際にキャラを作ってみた人はお分かりだと思いますが、機械的にmiImage Changerで変換するとキャラの両脇に隙間があいてしまうわけです。しかもこのキャラはサイズ変換無し、つまり二倍のサイズになったマップに対しキャラクターは小さいままで、しかも元々4:3の比率だっただけに一層小さく見えてしまうのです(miImage Changeの「グリッドに合わせて変形」機能を使う手もありますが、横に伸びてしまってキャラが少々ブサイクになってしまいます)。

 これが、miRPGmakerでツクール素材を使う際に生じる問題点です。以下、この問題における解決策を考えてみます。

 まず、「気にならないものとして目をつぶる」。身もフタもない意見のようですが、これは実は部分的には有効です。拙作『Quest of The hero』ではお城の外壁が32×32に引き延ばした(配布時には1パーツ16×16の)ものなのですが、キャラに比べて確かにドットが荒いものの、対人物比率としては(城が巨大な建築物として認識されるために)さほど気になりません(たぶん)。しかし、城下町両脇の花(そう、花なんです…)はまるで人食い花?と言わんばかりの巨大サイズになっています。

 「デフォルトの人物チップを積極的に利用する」という手もあります。デフォルトの人物は顔が大きめに描かれており、32×32に引き延ばされたツクール用素材と比べてあまり違和感がありません。マップのグラフィックと雰囲気があまりにも違ってしまう危険性はありますが、デフォルトの人物チップに似合うマップ素材を見つける事が出来れば、充分な解決策になると思います。

 しかし、おそらく最も妥当だと思われる解決策は「配布されている素材を、そのままの見た目(縮尺)で使う」ことです。配布画像をパッと見た時、誰もが緻密さを感じることと思います。また、さわぴょんさんの「アンインストール」第一話『捕われし少女』の雪の町や家の内装を見てそのグラフィックの緻密さに唸った人も多いかと思いますが、この「配布素材をそのまま使う」という手法を最初に実行したのが、「アンインストール」で使われている画像を制作(正確には加工)した熊吾郎さんです(たぶん)。

 「そのまま使う」というのがわかりにくいと思うので説明します。配布画像をそのまま(拡大したりせずに)miRPGmakerで使うとなると、配布画像をいきなり32×32ピクセルで(120個のチップに)分割してしまうという手があります。しかし前述の通り、それで問題無い部分(偶然上手い具合に分割され、一つのチップとして使える場合)もありますが、上手く行かない部分がほとんどです。やはり16×16で分割して、本来の分け方である480個にするのが望ましいでしょう。では、16×16サイズに分割したものをどうやってmiRPGmakerで使うのか。これは、miImage Changerを使って16×16のチップを縦横に二つずつ並べ(グリッド数を2・2にする)、「縦横32ピクセルの一つのチップ」として合成してやればいいのです(「合成画像を保存」)。これで、配布時そのままの見た目(縮尺)で素材をゲーム画面に使うことができます。
 この方法の問題点としてはまず、場所によっては上手く行かない部分が出て来るので臨機応変な対応をする必要がある、ということです。本来1チップで済むものを4チップ使って表示させるわけなので、(やってみると分かりますが)例えば建物の入り口がやたら大きくなったり小さくなったり等、上手く作れなかったりします。またグラフィックが緻密になる分、こじんまりとまとまってしまうというデメリットもあります(『Quest of The hero』のお城が縦横1/2になると考えて下さい)。場合によっては、対キャラクター比率がむしろ不自然になることもありえます。あと、非常に面倒くさいというデメリットも…(苦笑)。

 私の考えうる最善の方法は、「適材適所で使い分ける」です。縦横二倍の比率にしてもおかしくない部分、素材そのままの縮尺で使った方がいいであろう部分を考慮して、不自然の無いようにマップを組むのがいいのではないでしょうか。と言っても、もともと一般的な(日本製の)コンピュータRPGはキャラのサイズがそのままで家の中やらダンジョンの中やらフィールドやらと周りの縮尺がコロコロ変わるものですから、縮尺に関してそれほど神経質になる必要はないのかもしれません。下手に違う縮尺の素材を組み合わせるとグラフィックの統一性を欠く恐れもありますし、難しいところです。



<補足>
 画像が無いとなんのこっちゃよくわからん、ということで以下キャプチャーです。まず、「配布素材の画像サイズそのままで作ったマップ」に、 First Seed Material 様のキャラチップを重ねた場合。
 マップ画像は「道楽マニア」にある組見本を横着してそのまま使っています。周りの白い部分は心の目で補って下さい(著作者ゆかむし様の許可を得て使用しています)。



 画像の緻密さ、キャラクターとの対比率、キャラクターと背景画像のドットの均一感等々を考えるとこれが一番しっくりくると思います。しかし、このままではキャラクターは入口から城に入る事ができません。入口の幅を広げたり、階段の幅をキャラ一人分にしてその延長戦上に入口が来るようにしたり等、色々と工夫する必要が出てきます。階段そのものを無くしてしまうというのも一つの手です。


 次に、1チップを32×32に拡大して使った場合↓。



 人物に対して周りがやたらデカイ気がしますが、「巨大な城」を演出したい場合にはいいかもしれません。階段の幅を狭めたり等工夫すると違和感を減らす事は出来そうですが、人間に対して段の高さがありすぎるとか苦しい部分はあります。階段だけ縮尺の小さいものを使う手も考えられます。堀の前の柵もこれでは柵の意味がありません(この人物なら楽々くぐれてしまう)ので、いっそ柵は全て無くしてしまってもいいかもしれません。

 
 そしてデフォルトのキャラチップを使った場合↓。



 デフォルトのキャラはサイズが大きめなのでかなりマッチングします。それでも階段や柵はやはりちょっと大きいという印象を受けてしまいますが、ゲームの場合対人物比率は多少狂っていても違和感を感じない場合が多い(例えばダンジョンにある1チップの階段や宝箱)ので、この程度ならそれほど神経質に手を加えなくてもいいかもしれません。

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2 コメント

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おめでとうございます。 (さわぴょん)
2008-01-06 02:51:33
僕は、人物の大きさを基準にしています。

雪だるま・雪の積もった井戸・勇者の墓などは元の画像を縮小して使っています。

※これらは、熊吾郎さんの素材に無かったので自分で用意しました。

唯、リアル思考では無いので宝箱はそのままのサイズを使っています。

※人物に対して、宝箱は結構大きめのサイズ。
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こちらこそ (SeireiK)
2008-01-07 22:03:16
今年もよろしくお願いします。

そうそう、宝箱や階段は元々(「アイテムがあるぞ」とか「階が変わるぞ」っていうような)記号性の高いものなので多少人物との比率が変でもOKっていうかその方がむしろ親切みたいなところがあるんですよね。
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