シーティングシステム研究会

良いシーティングを普及させる目的で年に5回の研究会を開催、また基礎コースを開いています。

拮抗筋の相反神経支配

2011-01-12 | Weblog

筋肉は急激に伸ばされると伸展反射で収縮を起こします。拮抗筋においては主動作筋が収縮すると拮抗筋は弛緩します。

これは伸展反射により収縮がもたらせられた時も同じです。頭部は支持面になる体幹の上に脊柱でつながっていますから、支持基底面から逃れることはできません。したがって頭部の伸展と屈曲など反対方向の動きは常に伸展反射を起こします。

頭部の安定とは体幹の位置に拘わらずに頭部の拮抗筋の調整がよく働いていることです。

頭部は常に垂直を保とうとする三半規管の反射があります。これにより常に体幹との関係で調整が垂直方向へとされますので頭部はすべての動作の水先案内人になります。

この動きを妨げるのは背臥位そのもの、ATNRやTLR、STNRといった原始的な反射の残存と意思による動きのない知的な重度の発達遅滞、重度の麻痺などです。

 


無重力の世界から重力の世界へ(出生)

2011-01-11 | Weblog

子宮と言う水中環境から産道を通り重力の世界へ。赤ちゃんは40週の間子宮で育ちこの世に誕生します。

胎内では自由に手足を動かして指しゃぶりもしていました。時々お母さんのお腹を蹴っ飛ばして外側からさすられたりもしていました。しかし外に出た途端に胎児は重力と外気に晒されます。肺には外気が入り産声を上げます。手足はどう動かしたらいいのか、取りあえず大きく動かしてみたり、肺循環が始まり、自立への一歩が始まるのです。

発達は一連の経過をたどります。内なる発達、外からの影響による発達と捉えると大部分は内なる発達です。あらかじめプログラムされていると考えます。しかしそれをどう外界と調整していくのか、姿勢保持などもそういった調整にあると考えます。

頭部コントロールから尾方向へ、中枢から抹消へという動きの発達は抗重力位での拮抗筋の調整と密接に関係しています。

 

 

 


山形先生からの年賀状

2011-01-10 | Weblog

謹賀新年2011

シーティング研究会の発起人の一人である山形恵子先生からの年賀状で変形の進行が理解できていない制作サイドの話がありました。とりあえずこのブログを通じて変形の進行に関して書いていきます。http://ci.nii.ac.jp/nrid/9000003155997

変形は一定方向へ少しずつ時には急激に進行します。

主な原因は筋緊張のアンバランスと一定方向の動きのない姿勢と考えています。

筋緊張のアンバランスは誰もに生後すぐに見られる原始的な反射の影響が通過月例を過ぎても潜在化しないというのが主な原因です。それ以外に自らの意志で体を動かすことができない場合には動きのない姿勢は特に背臥位(仰向け)では拮抗筋が抗重力位で適切な収縮も起こらないまま短縮位で長い間ある状態になっていることも問題があるように思われます。

変形の進行について適切なアドバイスを行うのは主に医師や担当の理学療法士、作業療法士の役割であると考えられます。

しかしながら、制作サイドも、膝の屈曲と股関節の伸展に関与するハムストリングスなど重要な筋群ついては理解をしておく必要があります。

そして大切なことは座位保持装置が処方される前に多くの変形は既に進行を始めているという事実でしょう。続く