随縁記

つれづれなるままに、ものの歴史や、社会に対して思いつくことどもを記す

 書物の初伝

2006-06-20 09:42:57 | 紙の話し
和紙の歴史  (三)紙の伝来と国産化


書物の初伝

日本への製紙技術伝来以前に、むろん紙そのものは書物としてもたらされているはずである。                        
 応仁天皇十六年(285)に百済の王仁が『論語』十巻と『千文字』一巻を伝えたのが、日本における書物の初伝とされている。(『古事記』)       
 ところが、『千文字』の作者は、応神天皇よりも百年も後の人で、太安万侶(おおのやすまろ)の『古事記』の内容には誤りがあり、はっきりしないが、四世紀から五世紀には書物として、紙が伝来していると推測されている。
西方への製紙法の初伝は、戦時捕虜という予期せぬ出来事で、しかも日本への伝来から140年以上も経過している。
またこの時代は、製紙法が秘密にされていたのである。
すると、高麗王が、製紙技術者を日本へ派遣したのは、希有の暁光であったと言わざるをえない。
高句麗王朝は古く、蔡倫が紙を発明する以前から成立しており、後漢の王朝と親交があった。このために、最初に製紙法が伝えられたと考えられる。
飛鳥時代は、朝鮮半島から仏教やさまざまの技術や文物などがもたらされ、人の交流も盛んな時代であった。このような状況が、製紙の伝来を、西方世界よりいち早くもたらすという事になったのであろう。


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