随縁記

つれづれなるままに、ものの歴史や、社会に対して思いつくことどもを記す

原油価格高騰と投機マネー

2008-05-28 12:49:27 | 経済
原油価格高騰と投機マネー


 再々に渡ってガソリン価格が上昇している。
 ガソリンを入れるたびに、価格が高騰しているという実感がある。こんなに急激にガソリン価格が上昇し続けることは、かつて経験したことがない。
 まさに異常な原油価格の高騰であり、あらゆる産業分野や化学製品などにも影響を与えており、さらには穀物などの農産物の価格上昇まで招いている。
 まさに世界的なインフレの状況を呈しているといえる。

その原因は、投機マネーの仕業である。
 報道によると、原油価格は投機マネーにより、実勢価格の1・5倍以上に膨れあがっているという。
 政府が発表した2007年度のエネルギー白書によると、原油や穀物などの一次産品に投資する「商品インデックスファンド」の投資残高は1800億ドルあり、その内3分の1にあたる約500億ドルが原油取引に流入しているという。この投機資金が、原油価格の高騰の元凶とみなされている。

 そもそも、世界的な余剰資金である「投機資金」は、産油国のオイルマネーが1・5兆円、世界の年金資産が約1・5兆円、新興国マネーが約2兆円といわれている。
 これらの膨大な「投機資金」が、「機関投資家」や「政府系投資ファンド」、「ヘッジファンド」などさまざまなファンドを通じて、世界のさまざまな金融商品や株式市場や土地投機や商品先物市場などに流れ込んでいる。
 そのひとつが、アメリカの低所得者向けの住宅ローンの「サブプライムロー」ンであった。このアメリカを発生源とした「虚構のサブプライムローン」が、証券化され細分化されて、世界中の金融機関や機関投資家、あらゆる投資ファンドに組み込まれた。
 この「虚構のサブプライムローン」が当然破綻を来たし、世界中の金融機関に大損害を与えた。

 アメリカの経済的行き詰まり感から、行き場を失ったこれらの投機資金が、「商品インデックスファンド」に大量に流れ込み、原油取引や穀物取引に流れ込み、この異常な高騰の原因となっている。
 特に原油はあらゆる産業の根幹をなしている。
 大規模な穀物生産や遠洋漁業などにも石油が大量に消費されている。様々な商品や資材も流通段階で石油を必要としている。その価格高騰に波及的な影響は計り知れない。
 また、中国などの新興国の経済成長にともなう石油の消費が急増し、産油国の増産余力も少ないという。
 人類の英知で、この限られた資源の消費を抑える努力と、一方で異常な高騰を抑制する市場制限を課することはできないものか。