NPO法人さなぎ達ブログ

横浜市寿地区や近隣地域を中心に社会的生きづらさを抱えている人々を対象としながら活動を行っているNPO法人です。

余生

2010年12月06日 | 日記
今回は、さなぎ達の理事長であり、ポーラのクリニックの院長である山中先生のエッセイ第2弾をお届けします。
(第一弾はこちらからどうぞ)





HY74歳。

話題の簡易宿泊所、今年7月にオープンした扇荘別舘の8階の住民である。
診断は呼吸不全。

この簡泊はなぜ話題?いっぱい理由がある。
バリアフリー、フロアーが柔らかい、一階に介護型シャワー、24時間ナースコールが帳場さんへ、ポーラのクリニックのかかりつけ患者さんが30人前後入室お世話に、患者さんひとりひとりの病状情報や急変時対応方法までが毎月ポーラのクリニックの今野看護師から定期的に報告更新されている。
「どうだ!!参ったか!」と胸を張りたくなる位にいたれり尽くせりの、もはや“どや”とは呼ばせない環境である。

在宅酸素療法が必要な彼は、一年間待ちに待った扇荘別館にひっこした。
その時からかかりつけ病院をポーラのクリニックに変えた。

「生まれは福岡15歳で横浜の叔父 紹介三菱造船。その後港湾労働とかいろいろ ずっと横浜。よく働いたよ。でも、病院の先生は治療法ないからこのままであと3年だって。」と初診時にはあきらめムード。
生きたいけどいきられない口惜しさがにじみ出てる。
呼吸状態が悪化したため、先週から毎日今野看護師が点滴と吸入療法のため訪室している。
昨日は山中が点滴のため往診した。

「だけどよ~ 日本ってのは良い国だね。社会保証が。オレみたいなんでもヘルパーがきて、看護師や先生が日曜でもこうして来てくれるんだから すごい国だよ。あと一年も生きないだろうけど、よかったよ。あのまま病院に通院してても何もかわんないからな。あと3年の寿命って先生に言われたから。病院の先生が外来でしらべてくれた。往診してくれるクリニックがあるって。」
「食いたいのはサシミ。サシミならいくらでも食えそうだ。今届いてる一日一回の弁当は揚げ物ばかりだ。揚げ物は安いからな」
「よくなったらまた電動き車椅子酸素付きで買い物に出るんだ。」

この会話の後KMVPを入れる決心をした。
さなぎの弁当を週1回でも楽しんでもらいたい。
酸素吸いながらでも良いから若者達とコミュニケーションして欲しい。
あと1年か3年か知らないが、生きてる証を確認しながら生きていて欲しい。
働いた人間が、余生を充実して、無縁ではない社会のなかで残された時間を、ストーリーを創りながら過ごしていく。
これ、恵まれ過ぎてると思いますか? 私はそうは思いません。当然あるべき姿だと思います。
日本はそういう国であるはず、先人達はそんな国をめざしていたはずだと思います。





寿町は、小さな町ですが、様々な人生が詰まっています。

自分の余命とか、考えたことないけれど、時々自分の生き方を見つめなおすことは大事なことかもしれません。

どう生きたいか、どう生きれるか、そのためにはどうすればいいか。
誰でも1日は24時間。
なんだか毎日同じように過ぎていく気がするけど、
限られた時間を大事に感じて、毎日を過ごせたらいいですね。


↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

特定非営利活動法人「さなぎ達」
〒231-0026 横浜市中区寿町3-9-8
TEL&FAX: 045-228-1055(事務局)
E-mail : sanagitachi@nifty.com




最新の画像もっと見る