Sakita Blog

1級建築士事務所Sakita Space Design主宰
崎田由紀のブログ。

令和5年度(2023年) 2級建築士設計製図試験 「専用住宅」(木造)

2023-09-22 22:27:52 | 建築士試験

令和5年度(2023年) 2級建築士設計製図試験

9月10日(日曜)に2級建築士設計製図試験がありました。受験された皆さん、お疲れ様でした。
今年のお題は

「専用住宅」(木造)

なんというざっくりしたタイトル。何が来るのか、当日まで全く不明でした。以前なら、「趣味室のある」とか「高齢者と暮らす」とかヒントがタイトルにあったのですが、ここのところ1級も2級も、対策しにくい、ざっくりタイトルが続いています。
他にも、何階建てなのかも書かれていません。(A2の用紙から、2階建てだろうとは思っていましたが。)
二世帯住宅 というヒントもなく、単世帯なのか二世帯なのか、ゾーニングタイプが来たら練習少ないぞとか、直前期は色々と心配していましたが、開けてみると、土間多目的室のある単世帯住居でした。昨年に引き続き、私たち講師からすると「サプライズのない」課題だったのですが、約100枚の復元図を拝見したところ、土間多目的室がなかなか曲者でした。また、専用住宅では初出題?となる北西2方向道路も、プランの分かれ目になるような課題でしたね。

(1)駐車スペースは南か北か1台ずつか?
ざっくり私が見たものについては、南駐車スペースが50%、北駐車スペースが40%、1台ずつが10%といったところでした。
総合資格はエスキス例は両方出していますが、作図例は北のみ。日建も北。TACが1台ずつとなっていました。

<南駐車スペースの注意点>
今年の課題は、南が公園で、設計条件②に「自然換気及び採光に配慮し、南側に広がる公園の良好な景観を眺望できる計画とする」という条件がついていました。
もしこの条件がなく南が隣地であれば、駐車スペースは南に置いて、建築物はなるべく北に寄せ、敷地の有効利用を図るべきだと思うのですが、この条件により、南を駐車スペースで一部塞ぐと、車を眺めることになってしまい、公園が見えにくい、という計画が出てきてしまいます。南に駐車スペースを設けても、東側に居室を持っていけば、問題はなく、広いテラスとガーデンニング用の庭が確保できるのですが、西側に多目的室や居間を持ってきてしまうと、ちょっと分が悪いかもしれませんね。
また、南駐車場の場合の注意点が他にもいくつかあります。
一つ目は、南アプローチにするので、西と北をアプローチに使わないので、ギリギリまで北西に寄せてしまうと、軒が隅切りから越境してしまう例が、わずかですが見られました。建物(屋根も建物です)の道路への越境は、一発不合格の可能性があります。ただ、2階建て部分であれば、軒の出が幾つなのかはどこにも記載がないので、北西部分は軒の出なし!と捉えてもらえれば、生き残る可能性はあります。(南立面図なので北側はわからないので)試験もとがどう判断するか、、、ですが。軒の越境は3%くらいだったと思います。
変形敷地の練習課題をやったように、隅切りも、建築可能範囲を出す時に、45度によけておかないと危険だな、と感じました。
もう一つは、南駐車で玄関を北に持って行ってしまったパターン。今回、多目的室の特記事項エに「外部と直接行き来できる出入り口を設けるとともに、駐車スペースからの荷物の搬入にも配慮する」とあります。なので、駐車スペースから多目的室へのアプローチは絶対に必要ですが、では、毎日使う玄関へは、一度道路に出て、北に回ってから玄関に行くというアプローチでいいのかどうか?これは意見の分かれるところですが、私は、まずいと思っています。やはり駐車スペースと玄関は近くないとならない。なので、南駐車にしたら、玄関は西か南でないとまずいのではないでしょうか?その辺も試験もとがどう判断するかですが、南駐車の人の半分近くがこれをやってしまっています。

<北駐車スペースの注意点>
敷地の有効利用を強く指導したためか、北駐車の人の50%が欠け型、セオリーの北突出は10%、残り40%が長方形プランでした。
欠け型の場合は、南駐車と同じく、建物本体が北によるので、軒先の越境が心配です。越境しなければ、建物を北に寄せられて、南を広いテラスと庭にでき、車を眺める心配もないので、良いプランにしやすいと思いました。多目的を東西に長い形で南に置いてしまうと、駐車スペースから多目的へのアプローチが遠くなるので、多目的を南北に長い形にして北側にアプローチをとった方がいいでしょう。
また、下屋が小さくなるので、立面図の屋根の高さは要注意です。立面図はかなり練習したのですが、本番になると、練習したものでもうっかりしてしまうことがありますよね。これも下屋の屋根勾配はどこにも書いてないので、不整合とも言い切れないのですが。試験もとがどう判断するかですね。
長方形の場合は、敷地の間口を目一杯使って総二階にすると、延床面積の上限アウトになりますので、注意が必要です。今年は昨年下限アウトが多かったということから、延面積のチェックはかなり厳しくいってあったので、上限アウトになる方はいませんでしたが、延面積の範囲が狭い、というのも、微妙にトラップだったかな、とは思いました。
また、長方形の場合は北側に広い空きスペースができてしまうので、敷地の有効利用という面では分が悪いかもしれませんね。

(2)多目的室の床高を幾つにするべきだったか?
今回のテーマは多目的室だったわけですが、特記事項が7つもありました。先ほど紹介した、駐車スペースからのアクセスの他に、大きなポイントとなったのが、
「イ. 25㎡以上とし、床を土間コンクリート仕上げとする」(矩計図の切断指定が多目的室)
「ウ. 下足利用とし、必要に応じて段差処理を行う」
のところをどう読み取るのか、という点です。
まずここを見落として、矩計図をいつも通りの木の床組にして「フローリング」と書いてしまった人は、かなり大きな減点になると思います。
次に土間にしたものの、「段差処理」に過剰反応して高さを500にした人。これは学生で多かったです。学生では木床を含め30%の人が500にしていますが、社会人では木床含め9%です。そして500にしてしまうと矩計がかなり怪しいものになってしまいます。怪しい土間矩計は、一発アウトではないと思いますが、減点はあると思います。
47%の人は床高150にしていました。次に多かったのは350で、20%でした。学生は150が多く、社会人は350が多かったです。矩計は圧倒的に社会人の方がちゃんと描けている印象でした。学生の人も、150にした人はきちんと描けていた印象です。

(3)居間食事室台所の吹抜けはどこに設けるべきだったか?
社会人はほとんどの方が居間の上、あるいは居間食事室の上に設けていました。台所にかかってしまったのは13%でした。学生はDKの上が32%もいて、台所の上を吹抜けにしたら、換気扇どうするのかな?と思ってしまったりしましたが、そこは減点はないかもしれませんね。ただ、吹抜けが北側にいってしまった人は、減点があるかもしれません。
学生で1名、社会人で1名、何を勘違いしてしまったのか?多目的の上に吹き抜けを作っている人がいました。LDKにも吹抜けがあって、さらに多目的にもあるのならいいのですが、多目的にしかない場合は、大きな減点になるでしょう。

(4)多目的と台所の行き来
居間食事室台所の特記事項オに「台所は、多目的室と隣接させて直接行き来できるようにする」とあり、
多目的室の特記事項オにも「台所と隣接させて直接行き来できるようにする」とあります。なので、一旦廊下に出てからでないと行き来できない計画はNGとなります。
行き来はできるけど、DKであってKと言い切れない、というプランはかなりありました。これはまあ、減点はないかもしれません。ただ、居間と行き来、の人は減点だと思います。
これは、LDKを東西に長い長方形で南側に計画した場合は、台所と隣接させやすいのですが、南北に長い長方形にした人たちが苦しくなっています。LDKを南北に長く計画して通過動線として使うと廊下が節約できる、という練習を、予備校ではかなりやりました。そのクセが出て、LDKを縦おきした人は、どうしても南に居間、北にDKになるので、南に多目的がある場合、苦肉の策で、真ん中にアイランドキッチンを置いたりしていますが、ちょっと苦しいかもしれません。これは社会人の方に多く見られた傾向があります。この特記事項の条件から、多目的が縦おき、LDKが横置きだな、とピンとくるかどうかが、分かれ目だったかもしれませんね。

(5)便所(B)と倉庫
便所(B)と倉庫は特記事項アに「いずれも多目的室から利用できるようにする」とあり、一旦廊下に出ないといけない計画はNGです。ほとんどの方がクリアしているので、これができていないとちょっと痛いかもしれません。

(6)立体的なイメージができていたか?
今回の課題の特徴として、多目的室という25㎡の大きな室と、居間食事室台所という大きな室が2つ1階にあるのですが、どちらも、矩計図と吹き抜けという条件から、下屋にできない、ということが読み取れたかどうか?
何名かの方は、「最初30分くらいで1案できて、簡単だと思ったのだが、チェックをしていて、下屋にできないことに気づいて、エスキスをやり直したので、2案作ったことになり、意外とエスキスに時間がかかってしまった。」と言っていました。エスキスに時間がかかった方はこのパターンが多かったかもしれません。それでも作図が速ければ、目地まで描き切れたようです。
逆に、チェックが疎かだと、条件違反に気付けずに、そのまま作図に進んだので、密度はとても濃い、描き込みは多いけれど、重大な見落としがあるパターンもあるようです。

(7)計画の要点がちょっと1級化していた。
①多目的室の配置計画及び構造計画について工夫した点
②自然換気・採光及び眺望について建築計画上工夫した点
ということで、2つかと思いきや、配置計画、構造計画、換気・採光、眺望と4つに分かれていました。採光も眺望も窓関係なので、どう表現を分けるのか?ちょっと要点も1級化している印象ですね。多目的室の構造計画は、みなさん悩まれたようです。今後はもっと要点の練習もしていかないとならなそうですね。


社会人の方々へは、今年はかなりチェックの重要性をいっていたので、チェックでミスに気づけた、修正できた、という声があったのはよかったな、と思います。ただ、その分学生よりも作図密度がちょっと薄いな、という印象はあります。
2級の1級化ということを考えると、作図のプレゼンテーションよりも、いかにミスがないか、プランがいいか、が勝負になると思うのですが、果たして試験もとがどう判断するか、全国的な傾向との兼ね合いもあるので、12月までは何とも言えないですね。
ともかく、暑い暑い夏を、本当にみなさんよく頑張りましたね!この頑張りは、試験の結果に関係なく、みなさんの今後の人生に役立つ経験だったと思います。もちろん合格するに越したことはないですが。
みなさんの合格をこころよりお祈りいたします。


令和5年(2023年) 1級建築士学科試験 構造の解説

2023-09-20 21:26:49 | 建築士試験

令和5年(2023年) 1級建築士学科試験 構造の解説

7/23に試験が行われ、8/30に合格発表がありました。
合格率は16.2%、基準点は88点と、合格率も基準点も、昨年よりもだいぶ下がり、かなり低かった令和3年度と同程度です。
構造は基準点16点で例年通り。難易度も、それほど難しくなかったと思います。
2級の力学がとても難しかったので、1級はどうなってしまうのか?と心配しましたが、力学はとても簡単だった印象です。
では、各設問を見てみましょう。

No.1 たわみ 正答肢3
たわみの公式を覚えていたら解ける問題。なんのひねりもない簡単な問題でした。
δA:δB=Pl^3/3EI:Pl^3/48EI=1:1/16=16:1

No.2 軸方向変位 正答肢2
ここ最近出ていないタイプですが、講義では扱っていた問題。公式 δ=Nl/EA を覚えていたらそれに代入するだけですね。
-Pl/EA-2Pl/EA+2Px3l/EA=3Pl/EA

No.3 崩壊荷重 正答肢3
左右の柱の長さが異なるラーメンの崩壊荷重。これはM図をかく方法が簡単ですね。
M図より左の柱の負担せん断力=200+400/8m=75k N
右の柱の負担せん断力=200+400/2m=300kN
崩壊荷重=層せん断力=75kN+300kN=375kN

No.4 多層ラーメン 正答肢3
これもよく出るタイプの問題で、このタイプの場合、横向きの力が答えになることが多いのですが、、、横向きの力は1の選択肢のP1の値だけで、これは100kNであっています。
誤っているのは、3の選択肢の1階右側の柱の軸方向圧縮力で、これは
屋上の梁のせん断力が160+160/10m=32kN
2階床梁のせん断力が320+320/10m=64kN
この二つが右の柱に軸方向力として伝わるので、 32kN+64kN=96kNなので、128kNではない。

No.5 トラスの塑性崩壊荷重 正答肢3
これも似た問題をラストスパートでやっていました。支点付近が一番軸方向力が大きくなり、そこで崩壊が始まるということで、一番左の上弦材がN=6Pで最大となるので、σb=N/Aよりσy=6P/Aを変形してP=σy・A/6

No.6 制定不静定の判別 正答肢1
判別式 はんぶごうー2節点 を覚えていれば簡単ですね。
つまり 反力数+部材数+剛節点数ー2x節点数が0なら静定、プラスなら不静定、マイナスなら不安定。
1は3+5+2ー2x5=0で静定
2は5+4+0−2x4=1で1次不静定
3は3+4+0ー2x4=−1で不安定
4は4+3+2ー2x4=1で1次不静定

今年の力学はラストスパート問題に似ている問題が多かったですね!

No.7 地震力 正答肢1
1のTcはテキストには掲載されているのですが、固有周期と混同しそうですね。Tcは固有周期がそれを上回った時に低減がスタートする基準の周期で、軟弱地盤(第3種)では0.8秒であり、0.2秒ではありません。0.4秒まではどの地盤でも低減はスタートしないというのは覚えていたと思うのですが、例のアマビエちゃんグラフの問題ですが、このように質問を変えられると、ちょっとドキッとしますね。
3の「固有周期の計算に用いる建築物の高さは、建築物の最高高さではなく、振動性状を十分に考慮した振動上有効な高さを用いる場合がある」というのも初出題でテキストに記載がないので、1と3で迷ったかもしれませんね。固有周期の計算に用いる建築物の高さは、陸屋根の場合、パラペットの高さを含めない屋上スラブ高さであり、勾配屋根の場合は屋根の平均高さであったりして、高さ制限で用いる最高高さとは異なります。

No.8 風荷重 正答肢2
これは直前でもやったので大丈夫だったでしょう。屋根葺き材の風圧力を計算するときは、速度圧からガストがなくなり、風力係数の方にガストが入ってくるんでしたよね。なので、「速度圧でガストを考慮する」という2が不適当です。

No.9 木造既存建築物の耐震補強 正答肢2
これは過去問で、「1階の床の剛性を大きくすることは耐震性の向上には影響しない」というのをやっていたので、覚えていたらできますね。

No.10 木造 四分割法 正答肢1
これも言い回しをちょっと変えられていますが、一部下屋の時、下屋部分は平家建ての係数を使い、2階が乗っている部分は、2階の係数を使うんでしたよね?つまり建物全体の階数で係数を決めるわけではないので、1が不適当となります。

No.11 鉄筋コンクリート構造 部材寸法 正答肢4
2級でもコンクリート構造の仕様規定を尋ねる問題が出ていましたね。仕様規定の数値を覚えていれば簡単でした。
片持ちスラブの厚さは、はねだし長さの1/10以上ですので、1/15では薄すぎです。

No.12 鉄筋コンクリート構造 鉄筋の定着 正答肢2
これも直前でやっていたのでできたでしょう。定着長さは、フックの折り曲げ角度に関係なく、直線かフック付きかの違いでしたね。なのでフックの角度が90度から180度になっても定着長さは短くなりません。同じです。
4の選択肢が初出題でした。学会規準によると「最上階以外では90度標準フックを準用してよい。」となっています。

No.13 鉄筋コンクリート構造 許容応力度計算 正答肢3
これは初出題選択肢が正答肢なので、難しく感じたかもしれませんが、残りの3つの選択肢が頻出過去問なので、消去法で選べるとよいのですが。
壁部材の長期許容せん断力=壁の厚さx壁の長さxコンクリートの長期許容せん断応力度
なので、鉄筋は関係ありません。

No.14 鉄筋コンクリート構造 部材の靭性 正答肢2
これは頻出過去問なので簡単だったでしょう。引張鉄筋=主筋が異形鉄筋の場合、太くなる、あるいは本数が多くなると付着割裂破壊(脆性破壊)の原因になるので、引張鉄筋比が大きいと脆性破壊しやすくなる=靭性に劣る。
他の選択肢も、若干言い回しを変えてはいますが、内容は過去問ですので、大丈夫でしたでしょう。

No.15 鉄骨構造 正答肢2
これも全ての選択肢が過去問なので、過去問をしっかり学習していた方は大丈夫でしたでしょう。
♪高力ボルトは疲労に強い♪

No.16 鉄骨構造 接合部 正答肢4
これも全て過去問なので簡単でしたね。
高力ボルトの孔径は、27mm未満では+2mmまでですので、M22ということは22mm+2mm=24mm以下でないとならないのに、「25mmとすることができる」とあるので不適当です。

No.17 鉄骨構造 正答肢4
これも頻出過去問ばかりなので大丈夫でしょう。
4の選択肢の文は、構造力学でやったたわみの公式を思い出せば簡単ですよね。単純梁+集中荷重の公式はδ=Pl^3/48EIで、どこにも強度fが登場してきません。鋼材のヤング係数Eは強度に関係なく一定(E=2.05x10^5)なので、強度の大きな鋼材を使っても弾性たわみは小さくできません。基本的な問題でした。

No.18 鉄骨造 正答肢3
新傾向の問題でした。選択肢をよく読むと、ハの筋交は一般的に引張というのは正しい、ニの細長比の大きい筋交=細長い筋交=座屈する筋交は圧縮の耐力は発揮できないので、間違っている、というのがわかるので、そこだけで1か3かに絞れます。そうすると図ー1と図ー2のどちらが細長比が小さい筋交で、どちらが大きい筋交かがわかれば選べそうです。2つのグラフは、横軸の変形δはほぼ同じで、水平荷重Qが図ー2の方は変形が小さなうちから大きなせん断力を負担していることがわかります。細長比が小さいということは太短いということなので、負担せん断力が大きくなりそうですよね?なので、ロとハが正しいので3が適当ということになります。

No.19 土質及び地盤 正答肢1
砂質土は、内部摩擦角が大きい=自立している=N値が大きいなので、1が不適当は簡単ですね。他の選択肢も過去問ですので問題なさそうです。

No.20 杭基礎 正答肢3
これも過去頻出ですね。3の選択肢の「先端」と4の「周面」にアンダーラインが引けていれば、簡単でしょう。1の選択肢は初出かもしれませんが、常識的に読んで正しそうですよね。

No.21 鉄筋コンクリート造の擁壁 正答肢1
これもどの選択肢も過去頻出問題ですね。簡単です。

No.22 プレストレスとコンクリート構造 正答肢1
1と3は初出かもしれませんね。2と4が正しいことはわかるので、あとは1と3のどちらが不適当か。初出が正答肢というのはちょっと難問ですね。

No.23 合成構造及び混合構造 正答肢4
平成29年のNo.23-4の選択肢の改変です。平成29年には「鉄筋コンクリート構造のコア壁を耐震要素(水平力負担)年、外周部を鉄骨構造の骨組みとした架構形式は、大スパン化による空間の有効利用に適している」で適当でした。今回は水平力負担と鉛直荷重負担が逆になっているので不適当です。

No.24 耐震、制震、免震 正答肢2
鋼材ダンパーは塑性化することで地震エネルギーを吸収するので、弾性範囲ではエネルギー吸収能力は発揮できない。4の選択肢が初出だが、2が明らかに不適当なので選べたでしょう。

No.25 耐震設計 正答肢4
限界耐力計算の、「減衰特性を表す数値」はhのことで、塑性化の程度が大きい=減衰特性が大きい=低減率Fhが小さくできるなので、「小さくできる」は不適当で、「大きくなる」が適当。あるいは「低減率を小さくできる」が適当。これは過去問ですね。

No.26 エキスパンションジョイント 正答肢4
これは新傾向問題でした。

No.27 木材の破壊 正答肢1
木材は基本脆性素材であり、めり込みだけが脆性的な性状を示さないのでした。これは簡単でした。

No.28 コンクリート 正答肢4
これは平成14年、平成20年にも出題があり、テキストでも太字になっていますが、許容せん断応力度は、軽量コンクリートは普通コンクリートの0.9倍でしたね。他の選択肢も過去問です。

No.29 鋼材 正答肢3
これも頻出過去問でした。

No.30 特定天井 正答肢2
既存不適格の場合、ネットやワイヤーで落下防止策をとることは認められている。
新傾向問題。

以上、全体としては簡単な印象ですが、新傾向問題も随所にあり、戸惑ったかもしれませんね。まずは過去問をしっかり理解していれば、新傾向が出た時にも勘が働きやすいですよね。

試験元の掲載している試験結果、答えの番号等はこちら

製図の課題は「図書館」
合格した皆さん、製図頑張ってくださいね。
残念ながら届かなかった方は、来年頑張りましょう!

 


令和5年度(2023年) 2級建築士学科試験 構造の解説

2023-09-19 13:51:28 | 建築士試験

令和5年度(2023年)2級建築士学科試験 構造の解説

例年ですと試験終了後1週間以内くらいに掲載していたのですが、1級の学科試験、2級の製図試験、、、と続きドタバタしてしまい、すっかり遅くなってしまいました。

7月2日に行われ、8月21日にすでに合格発表、正答発表がありましたが、まとめと解説をしたいと思います。

今年の2級建築士学科試験の結果としては、合格率35%という、過去6年の中で最も合格率の低い、難しい試験だっと言えるでしょう。特に構造と施工の難易度が高かった印象です。
構造は、力学がとても難しかったと思います。1級合格者でも2問間違えたと言っていました。しかし、一般構造、材料は過去問ベースの問題が多かったため、基準点は下がらず、13点でした。昨年令和4年の構造がとても簡単で、基準点が14点に上がってしまったので、今年は力学で締めてきた感じですが、ちょっと難しくしすぎたと思います。以下各問題の解説を行います。

 

No.1 断面1次モーメントと断面2次モーメントの複合問題 初出題 難問 正答肢 2

問題の日本語文「図心を通りX軸に平行な図心軸に関する断面二次モーメントの値として、正しいものはどれか」をしっかりと読んでいないと、図だけ見て、X軸の断面2次モーメントを求めてしまうと、5の160cm^4を選んでしまいます。
まず断面1次モーメントの問題のようにして図心軸を求め、それに対する断面2次モーメントを求める必要があります。
L型の断面は、同じ6x2の断面積の2つの長方形に分割できるので、図心軸の位置は、(3+1)/2=2でO点よりも2cm上にあることがすぐにわかります。
次が少々問題で、この図心軸に対して、2つの長方形の重心がずれています。ここからは2種類の解法があり、一つは、任意軸の断面2次モーメントの公式を使う方法。
Ix=BH^3/12+BHxy0^2
縦長の方の長方形のIx=2x6^3/12+2x6x1x1=48
横長の方の長方形のIx=6x2^3/12+6x2x1x1=16
両方を足してIx=64となります。
ただ、この公式はなるべく使わなくて良いように、重心軸の長方形に分割してやろう、と指導していたので、ここで困ってしまった方が多かったかもしれません。実はパズルで解くこともできます。その別解がこちらになります。
L型の断面を、図心の上にある2x4の長方形と、図心の下にある8x2の長方形に分けます。
2x4の長方形を図心軸に対して線対称に伸ばして、無理やり図心軸の2x8の長方形として、その半分なので1/2するという方法です。
2x4の長方形のIx=2x8^3/12x1/2=64/3
8x2の長方形のIx=8x4^3/12x1/2=192/3
両方を足してIx=64と同じ値になります。

 

No.2  せん断応力度の変形問題、荷重を求めよ 初出題 正答肢3

こちらも初出題です。今までせん断応力度を求める問題はありましたが、その変形問題は初出題です。しかし、公式が与えられていたので、曲げ応力度の変形問題を求める求め方の応用で正解できたのではないでしょうか?
τmax=1.5xQ/Aが許容せん断応力度1N/㎟を超えない、つまりイコールになる時の荷重Pを求めるわけなので、
1.5xQmax/A=1N/㎟ この式を変形して、Qmax=Ax1N/㎟/1.5
Qmax=V=1/2P、A=300x500=15x10^4を代入して P=200000N=200KN

 

No.3 単純梁の一部に等分布荷重が作用する時のMmax  初出題 正答肢4

こちらも初出題です。今まで等分布荷重が出題される時は、梁全体に作用するパターンばかりだったので、Mmax=wl^2/8の公式を覚えよ、と指導していました。しかし一部分にしか作用していないので、どこがMmaxになるのかが、みなさんわからずに、公式に入れてしまった5を選んだり、等分布の間だけの長さで公式に入れて1を選んでしまったりしたのではないでしょうか?
この問題を解くには、「Q=0のところでMmaxになる」という知識が必要でした。思えば最近の過去問で、Q=0はどこか?という問題が出題されていましたよね?それがこの問題の伏線になっていた、とも言えます。
なので、まず、Q=0の点を探します。反力は求められるでしょうから、釣り合い式、あるいは長さの比を使ってVA=8kN、VB=16kNを出します。次にQ=0の点を求めるには2つの方法があり、Q図を書いて、図形問題として求める方法と、Q=0になるX点を仮定して算式で求める方法です。
今回算式で求めると、X点の右側を取り出して、X点からB点までの距離をxとすると、
Qx=-2x+16=0となり、x=8mとわかります。X点がわかれば、
そこを回転中心にしてMx右=2x8x4-16x8=-64
よってMmax=64kN・m(下側引張)

 

No.4 単純梁系ラーメンに等分布荷重が2つ作用した場合の反力と曲げモーメント 過去発展 正答肢5

単純梁系ラーメンに集中荷重が2つ(鉛直と水平)作用した時の反力や曲げモーメント、せん断力などは過去出題があるので、等分布荷重を集中荷重に置き換えができれば、それほど難しくはないと思われますが、等分布の途中の点を聞かれているので、切断図に等分布を書き忘れると、間違えます。また左がローラーで右がピンなので、水平反力を忘れると間違えますね。何気にトラップが仕込まれているので、注意しましょう。

 

No.5 平行弦トラス 正答肢2

最近は軸力0の部材を探して、、、という問題が続いたのですが、正統派?の切断法で解く問題が出ました。3つの軸力を出さねばならないので面倒ですね。こういう時はまず、選択肢をよく観察して、どの部材から解くべきか考えましょう。AとBは引張か圧縮かがわかれば選べますが、Bに至っては4つが同じ選択肢なので、求めても正答に近付きにくいでしょう。それに比べてCは、符号も値も同じものは1と5だけで、他は全部異なるので、こういう面倒くさい問題の時は、一番答がばらけているものから出すのが得策ですね。
案の定切断法でNcを出すと+4√3/3となり、2が選べます。ただ、Cを求める時、回転中心(AとBの交点)からCまでの距離が書いていないので、三角比から距離√3mを出せるか?というのもポイントですね。

 

No.6  座屈 正答肢4

これは過去何度も出ているパターンですね。みなさんできたのではないでしょうか?ただ、座屈の問題の中では一番計算量が多い、面倒臭い問題ですよね。計算ミスに気をつけて、正答できたでしょうか?

 

No.7  荷重・外力 正答肢5

アマビエちゃんグラフの問題ですね。Rtが大きいのは第三種(軟弱)>第二種(普通)>第一種(硬質)の順番ですよね。他の選択肢も過去頻出選択肢として直前講習でやったものばかりでしたね。

 

No.8  多雪区域内の暴風時の応力の組み合わせ 正答肢2

これも直前で必ず覚えておくようにお伝えしたものですので、みなさんできたと思います。文章の「多雪区域内」「暴風時」というところにきちんとアンダーラインが引けていれば、問題ないですよね。暴風時は2つあり、G+P+Wか、G+P+0.35S+Wかのどちらかですが、後者しか選択肢にないので、2が正答となります。

 

No.9  地盤及び基礎 正答肢1

これも直前でやっていた頻出選択肢ばかりですので、大丈夫だったのではないでしょうか?あえて言えば4と5の選択肢がそれほど頻出ではなかったかもしれませんね。

 

No.10  木造部材名称 初出題 正答肢3

飛び梁ではなく、小屋筋かいの説明です。他の選択肢が過去頻出ですので、消去法で選べたのではないでしょうか?

 

No.11 木造 接合 正答肢3

4の選択肢は初出題でしたが、正答肢は過去問ですので、大丈夫だったでしょう。

 

No.12  木造 構造設計 正答肢2

1/2以下ではなく1/3以下ですね。これも直前でやったので大丈夫だったでしょう。ただ、他の選択肢(1、4)が初出題だったので、ドキッとしたかもしれませんね。

 

No.13 補強コンクリートブロック造 正答肢4

これも全て過去問ですので、大丈夫だったでしょう。
定着長さはフックなしで40d以上、フック付きで30d以上必要なので、フックがついていたとしても
30x13=390以上必要なので、300はNGですね。

 

No.14 鉄筋コンクリート構造 正答肢1

これも直前で覚えてね、と言っていた仕様規定の鉄筋比の問題なので、楽勝だったでしょう。ただ、5の選択肢は初出題でした。

 

No.15  鉄筋コンクリート構造 継手 正答肢4

これも過去問ですね。M図が書ければわかりますよね。

 

No.16  鉄骨構造 正答肢3

選択肢2と3は直前でも確認した頻出項目なので、大丈夫かと思いますが、選択肢1、4、5は初出題でしょう。4は1級建築士の問題ですね。

 

No.17  鉄骨構造 接合 正答肢3

これはどの選択肢も過去問ですので、大丈夫だったでしょう。

 

No.18 耐震設計、構造計画 正答肢1

1の選択肢は、直前でも確認した過去頻出問題なので、大丈夫かと思いますが、他の2、3、4、5の選択肢は1級の内容のものですね。冷静に1を選べたら良いのですが。
これは今後1級レベルの問題が出題される可能性があるということなのでしょうか?でも、2級建築士の設計できる規模の建築物の話というよりは、大きな建物の話なんですけどね、、、

 

No.19  既存建築物の耐震診断、耐震補強 正答肢4

5の選択肢は初出題ですが、他は過去問で、直前でも確認したので、大丈夫だったでしょう。

 

No.20  木材及び木質材料 正答肢5

5はインシュレーションボード(軟質繊維板)の説明ではなく、パーティクルボードの説明ですね。これは頻出過去問なので、大丈夫でしたでしょう。他の選択肢もみな過去問でした。

 

No.21 コンクリート 正答肢1

これはどの選択肢も頻出過去問ですので、大丈夫でしたでしょう。

 

No.22 コンクリート材料 正答肢1

これもどの選択肢も頻出過去問ですので、大丈夫でしたでしょう。

 

No.23 鋼材 正答肢2

これもどの選択肢も頻出過去問ですので、大丈夫でしたでしょう。

 

No.24 建築材料 正答肢5

3と5が初出題で、初出題が正答肢というレアケースだったので、難問でした。
スギとベイマツを比べると、引張、圧縮、曲げ、せん断、いずれの許容応力度もスギよりもベイマツの方が大きいのです。

 

No.25 建築材料 正答肢2

1の選択肢がいやらしいですね。「木毛」で「木片を」と書いてあるので、これが間違いでは?と思わせておいて、「ひも状の」なのでこれは正しいのです。明らかに引っ掛けですよね。

2の選択肢の「浴室の」というところを読み飛ばさずにチェックしていると、2が選べると思います。

 

以上、主に力学中心に解説しました。
試験元の解答番号や、合格率はこちら