Sakita Blog

1級建築士事務所Sakita Space Design主宰
崎田由紀のブログ。

令和5年(2023年) 1級建築士学科試験 構造の解説

2023-09-20 21:26:49 | 建築士試験

令和5年(2023年) 1級建築士学科試験 構造の解説

7/23に試験が行われ、8/30に合格発表がありました。
合格率は16.2%、基準点は88点と、合格率も基準点も、昨年よりもだいぶ下がり、かなり低かった令和3年度と同程度です。
構造は基準点16点で例年通り。難易度も、それほど難しくなかったと思います。
2級の力学がとても難しかったので、1級はどうなってしまうのか?と心配しましたが、力学はとても簡単だった印象です。
では、各設問を見てみましょう。

No.1 たわみ 正答肢3
たわみの公式を覚えていたら解ける問題。なんのひねりもない簡単な問題でした。
δA:δB=Pl^3/3EI:Pl^3/48EI=1:1/16=16:1

No.2 軸方向変位 正答肢2
ここ最近出ていないタイプですが、講義では扱っていた問題。公式 δ=Nl/EA を覚えていたらそれに代入するだけですね。
-Pl/EA-2Pl/EA+2Px3l/EA=3Pl/EA

No.3 崩壊荷重 正答肢3
左右の柱の長さが異なるラーメンの崩壊荷重。これはM図をかく方法が簡単ですね。
M図より左の柱の負担せん断力=200+400/8m=75k N
右の柱の負担せん断力=200+400/2m=300kN
崩壊荷重=層せん断力=75kN+300kN=375kN

No.4 多層ラーメン 正答肢3
これもよく出るタイプの問題で、このタイプの場合、横向きの力が答えになることが多いのですが、、、横向きの力は1の選択肢のP1の値だけで、これは100kNであっています。
誤っているのは、3の選択肢の1階右側の柱の軸方向圧縮力で、これは
屋上の梁のせん断力が160+160/10m=32kN
2階床梁のせん断力が320+320/10m=64kN
この二つが右の柱に軸方向力として伝わるので、 32kN+64kN=96kNなので、128kNではない。

No.5 トラスの塑性崩壊荷重 正答肢3
これも似た問題をラストスパートでやっていました。支点付近が一番軸方向力が大きくなり、そこで崩壊が始まるということで、一番左の上弦材がN=6Pで最大となるので、σb=N/Aよりσy=6P/Aを変形してP=σy・A/6

No.6 制定不静定の判別 正答肢1
判別式 はんぶごうー2節点 を覚えていれば簡単ですね。
つまり 反力数+部材数+剛節点数ー2x節点数が0なら静定、プラスなら不静定、マイナスなら不安定。
1は3+5+2ー2x5=0で静定
2は5+4+0−2x4=1で1次不静定
3は3+4+0ー2x4=−1で不安定
4は4+3+2ー2x4=1で1次不静定

今年の力学はラストスパート問題に似ている問題が多かったですね!

No.7 地震力 正答肢1
1のTcはテキストには掲載されているのですが、固有周期と混同しそうですね。Tcは固有周期がそれを上回った時に低減がスタートする基準の周期で、軟弱地盤(第3種)では0.8秒であり、0.2秒ではありません。0.4秒まではどの地盤でも低減はスタートしないというのは覚えていたと思うのですが、例のアマビエちゃんグラフの問題ですが、このように質問を変えられると、ちょっとドキッとしますね。
3の「固有周期の計算に用いる建築物の高さは、建築物の最高高さではなく、振動性状を十分に考慮した振動上有効な高さを用いる場合がある」というのも初出題でテキストに記載がないので、1と3で迷ったかもしれませんね。固有周期の計算に用いる建築物の高さは、陸屋根の場合、パラペットの高さを含めない屋上スラブ高さであり、勾配屋根の場合は屋根の平均高さであったりして、高さ制限で用いる最高高さとは異なります。

No.8 風荷重 正答肢2
これは直前でもやったので大丈夫だったでしょう。屋根葺き材の風圧力を計算するときは、速度圧からガストがなくなり、風力係数の方にガストが入ってくるんでしたよね。なので、「速度圧でガストを考慮する」という2が不適当です。

No.9 木造既存建築物の耐震補強 正答肢2
これは過去問で、「1階の床の剛性を大きくすることは耐震性の向上には影響しない」というのをやっていたので、覚えていたらできますね。

No.10 木造 四分割法 正答肢1
これも言い回しをちょっと変えられていますが、一部下屋の時、下屋部分は平家建ての係数を使い、2階が乗っている部分は、2階の係数を使うんでしたよね?つまり建物全体の階数で係数を決めるわけではないので、1が不適当となります。

No.11 鉄筋コンクリート構造 部材寸法 正答肢4
2級でもコンクリート構造の仕様規定を尋ねる問題が出ていましたね。仕様規定の数値を覚えていれば簡単でした。
片持ちスラブの厚さは、はねだし長さの1/10以上ですので、1/15では薄すぎです。

No.12 鉄筋コンクリート構造 鉄筋の定着 正答肢2
これも直前でやっていたのでできたでしょう。定着長さは、フックの折り曲げ角度に関係なく、直線かフック付きかの違いでしたね。なのでフックの角度が90度から180度になっても定着長さは短くなりません。同じです。
4の選択肢が初出題でした。学会規準によると「最上階以外では90度標準フックを準用してよい。」となっています。

No.13 鉄筋コンクリート構造 許容応力度計算 正答肢3
これは初出題選択肢が正答肢なので、難しく感じたかもしれませんが、残りの3つの選択肢が頻出過去問なので、消去法で選べるとよいのですが。
壁部材の長期許容せん断力=壁の厚さx壁の長さxコンクリートの長期許容せん断応力度
なので、鉄筋は関係ありません。

No.14 鉄筋コンクリート構造 部材の靭性 正答肢2
これは頻出過去問なので簡単だったでしょう。引張鉄筋=主筋が異形鉄筋の場合、太くなる、あるいは本数が多くなると付着割裂破壊(脆性破壊)の原因になるので、引張鉄筋比が大きいと脆性破壊しやすくなる=靭性に劣る。
他の選択肢も、若干言い回しを変えてはいますが、内容は過去問ですので、大丈夫でしたでしょう。

No.15 鉄骨構造 正答肢2
これも全ての選択肢が過去問なので、過去問をしっかり学習していた方は大丈夫でしたでしょう。
♪高力ボルトは疲労に強い♪

No.16 鉄骨構造 接合部 正答肢4
これも全て過去問なので簡単でしたね。
高力ボルトの孔径は、27mm未満では+2mmまでですので、M22ということは22mm+2mm=24mm以下でないとならないのに、「25mmとすることができる」とあるので不適当です。

No.17 鉄骨構造 正答肢4
これも頻出過去問ばかりなので大丈夫でしょう。
4の選択肢の文は、構造力学でやったたわみの公式を思い出せば簡単ですよね。単純梁+集中荷重の公式はδ=Pl^3/48EIで、どこにも強度fが登場してきません。鋼材のヤング係数Eは強度に関係なく一定(E=2.05x10^5)なので、強度の大きな鋼材を使っても弾性たわみは小さくできません。基本的な問題でした。

No.18 鉄骨造 正答肢3
新傾向の問題でした。選択肢をよく読むと、ハの筋交は一般的に引張というのは正しい、ニの細長比の大きい筋交=細長い筋交=座屈する筋交は圧縮の耐力は発揮できないので、間違っている、というのがわかるので、そこだけで1か3かに絞れます。そうすると図ー1と図ー2のどちらが細長比が小さい筋交で、どちらが大きい筋交かがわかれば選べそうです。2つのグラフは、横軸の変形δはほぼ同じで、水平荷重Qが図ー2の方は変形が小さなうちから大きなせん断力を負担していることがわかります。細長比が小さいということは太短いということなので、負担せん断力が大きくなりそうですよね?なので、ロとハが正しいので3が適当ということになります。

No.19 土質及び地盤 正答肢1
砂質土は、内部摩擦角が大きい=自立している=N値が大きいなので、1が不適当は簡単ですね。他の選択肢も過去問ですので問題なさそうです。

No.20 杭基礎 正答肢3
これも過去頻出ですね。3の選択肢の「先端」と4の「周面」にアンダーラインが引けていれば、簡単でしょう。1の選択肢は初出かもしれませんが、常識的に読んで正しそうですよね。

No.21 鉄筋コンクリート造の擁壁 正答肢1
これもどの選択肢も過去頻出問題ですね。簡単です。

No.22 プレストレスとコンクリート構造 正答肢1
1と3は初出かもしれませんね。2と4が正しいことはわかるので、あとは1と3のどちらが不適当か。初出が正答肢というのはちょっと難問ですね。

No.23 合成構造及び混合構造 正答肢4
平成29年のNo.23-4の選択肢の改変です。平成29年には「鉄筋コンクリート構造のコア壁を耐震要素(水平力負担)年、外周部を鉄骨構造の骨組みとした架構形式は、大スパン化による空間の有効利用に適している」で適当でした。今回は水平力負担と鉛直荷重負担が逆になっているので不適当です。

No.24 耐震、制震、免震 正答肢2
鋼材ダンパーは塑性化することで地震エネルギーを吸収するので、弾性範囲ではエネルギー吸収能力は発揮できない。4の選択肢が初出だが、2が明らかに不適当なので選べたでしょう。

No.25 耐震設計 正答肢4
限界耐力計算の、「減衰特性を表す数値」はhのことで、塑性化の程度が大きい=減衰特性が大きい=低減率Fhが小さくできるなので、「小さくできる」は不適当で、「大きくなる」が適当。あるいは「低減率を小さくできる」が適当。これは過去問ですね。

No.26 エキスパンションジョイント 正答肢4
これは新傾向問題でした。

No.27 木材の破壊 正答肢1
木材は基本脆性素材であり、めり込みだけが脆性的な性状を示さないのでした。これは簡単でした。

No.28 コンクリート 正答肢4
これは平成14年、平成20年にも出題があり、テキストでも太字になっていますが、許容せん断応力度は、軽量コンクリートは普通コンクリートの0.9倍でしたね。他の選択肢も過去問です。

No.29 鋼材 正答肢3
これも頻出過去問でした。

No.30 特定天井 正答肢2
既存不適格の場合、ネットやワイヤーで落下防止策をとることは認められている。
新傾向問題。

以上、全体としては簡単な印象ですが、新傾向問題も随所にあり、戸惑ったかもしれませんね。まずは過去問をしっかり理解していれば、新傾向が出た時にも勘が働きやすいですよね。

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製図の課題は「図書館」
合格した皆さん、製図頑張ってくださいね。
残念ながら届かなかった方は、来年頑張りましょう!

 



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