昨日9月11日に2011年度2級建築士製図試験が行われました。
受験したみなさま、お疲れさまでした。
今年は震災の影響もあり、その割には学科の合格率が若干低く、製図試験の受験者が少ないので、簡単な問題になるのではないかという予想でしたが、たしかに内部に関しては3層構造ですっきり入る簡単な出題となりました。
しかし一方で、年々外構要素の要求が多くなる傾向が、また今年も引き続き現れた出題でもありました。
一番減点の大きな、設計条件については、
1)趣味室に住宅部分とは別に屋外からの出入り口を設ける。
趣味室に隣接して屋外テラスを設け、専用の出入り口とは別に、自転車を支障なくテラスに持ち出すことのできる出入り口を設ける。
また、趣味室は住宅の屋内で住宅部分と直接行き来できるようにするため、屋外との出入り口が2カ所+屋内の出入り口が1カ所必要ということになります。
2)花壇のあるガーデニング用の庭をもうけ、家事室を隣接させて直接行き来できるようにする。
また、ガーデニング用の庭は、4.5mの直径の円が入るだけのまとまったスペースが必要で、その中に9㎡の花壇を配置する。
ここが読み取りの分かれたところで、花壇はガーデニング用の庭と別に必要なのか、含まれるのか。日本語からすると、「少なくとも」直径4.5mの円が入るだけの(それ以上でもかまわない)ガーデニング用の庭があって、その中に花壇があるということでしょう。それを相手に伝わるように描けたかどうか。
円と花壇を含む大きなスペースに対角線を引いて「ガーデニング用庭」としていただければ完璧だと思いますが、もちろん円の中に花壇があっても大丈夫です。
昨日拝見していて、多かったのは、南の空きが4,550の方。これは一見4.5m確保できていそうですが、壁の厚さとフェンスなどの塀の厚さを引いた有効寸法がおおよそ4,375程度になってしまうため、4.5メートルの円が取れないということになってしまいます。ここでどのくらいの減点になるのか…室の面積が足りないと同等ということになると結構大きな失点になってしまうかもしれませんが、それ以外に失敗がなければ大丈夫でしょう。
逆に、作図がほぼ終わった時点で、チェックの際に4.5m取れないことに気づいて、急遽設計変更をした方に、慌てた故の間違いが多かったように思います。一生懸命やってきたのに、とても残念です。間違いに気づいた時は、その間違いがどのくらいの減点なのか、直すべきなのか、直すなら一番簡単で早くなおる方法はなんなのか、深呼吸して、考えてから直さないと、大きな失敗になるもとです…。気づいていても、ごまかして円を小さめに描いていた人の方が失点が少なかったかもしれません…。(まったく気づかなかった人の方が多かったようですが。)
その他の減点項目を見てきましょう。
3)建ぺい率が50%ですが、敷地が324㎡と広大なため、問題ないでしょう。
4)最高高さ10m、軒の高さ7mの制限がはじめてつきましたが、学院で学習していた方は練習していたので問題ないでしょう。立面図に最高の高さを記入するのを忘れた場合、あるいは高さ計算が間違っている場合、小さな減点があるでしょう。
5)その他書き込みの要求はこまかくたくさんあります。チェックしてすべて書き込めたでしょうか?室名の「夫婦寝室」を「夫婦室」にしてしまったり、「子ども室」を「子供室」にすると、小さな減点があるかもしれません。壁掛けシャワーヘッドというのが初めて出題されましたが、これは小さな円を書いて「壁掛けシャワーヘッド」と文字で記入してあれば大丈夫でしょう。
6)道路に面する部分に接道長さの40%以上の植栽が必要であると、敷地図の下に書いてあったのは気づいていましたでしょうか?18mですから、7.2m(8P以上)の植栽が必要でした。駐車場の入り口はどうしたらいいのか迷われた方がいらっしゃいましたが、駐車場入り口もアプローチ「等」ですので、その部分は当然植栽しなくて大丈夫です。(逆に植栽してしまったら車が入れず、大きな減点になります。)
以上をふまえて、私が個人的に作成したエスキス案を、今年も公開いたします。
画像はクリックで拡大します。
1)奥行き8P
多くの受講生の方が8Pできれいに羊羹でおさめていました。立面図も伏図も、8Pはすっきりとおさまったのではないでしょうか?
南の空きを5.5Pと、端数をつけていますが、455グリッドなので作図は問題なくできます。芯芯で5005あれば、余裕で4.5mの円がとれますし、駐車場をあまりいじめずにすみます。
2)奥行き9P
奥行き9Pで羊羹にしていた受講生さんも結構いらっしゃいましたが、その場合南の空きが4550の方が多かったですね。どのくらいの減点になるのか…
この例のように、下屋になる部分を欠き込んだプランにすると、南の空きが5.5P取れるのですが、今年度の講習では、突出に関してはいろいろなパターンをやりましたが、なぜか欠き込み型の練習をする課題がありませんでした。なので、この発想が出た方が少なかったようで、残念です。
3)奥行き10P
基本的には奥行き9Pと同じ欠き込み型です。
みなさんの合格をお祈りいたしております。