Une petite esquisse

日々の雑事の中で考えたこと、感じたことを徒然に書き綴ります。

村上春樹「ラオスにいったい何があるのですか?」を読み解く<連続シリーズ>(6)

2019年07月30日 | 社会学/社会批評
検証:ルアンパバーン国際空港(6)


ルアンパバーン国際空港ターミナルビル


人もまばらな、空港内待合ロビー




滑走路が一本だけのちいさな飛行場

「僕が目指するルアンプラバンは、メコン川沿いにある。かなりこじんまりした街だ。街そのものより、街外れにある飛行場の方がたぶん大きいだろう。
玄関がやたら大きく立派で、部屋数が少ない家に似ている。居間を通り抜けて、その奥のドアを開けたら裏庭だったみたいな。」
(文藝春秋刊、単行本P152)


ハノイ、ノイバイ国際空港ターミナルビル


出発ロビー入り口

広大な敷地を持つ空港内部、ベトナム航空機の背後に複数の滑走路が見える

ハノイのノイバイ国際空港は、さすがにベトナムが国家の威信をかけて建設しただけあって、
近代的な建築と設備を持った世界的にも有名な空港である。
 もし村上春樹がハノイのノイバイ空港からラオスのルアンパバーンの飛行場に降り立ったなら、
飛行機の離着陸のある時以外、人もまばらで「国際」と言う言葉に違和感を持つような
「地方の辺鄙な空港」に「玄関がやたら大きくて立派で部屋数が少ない家に似ている」
言った例えをするだろうか?
ルアンパバーンを町の中心の「半島部のみ」と錯覚されているようだが、
村上の泊まったブルジョアホテル「アマンタカ」を含む、
ナンプ噴水から南西部に拡がる広範囲な地域がルアンパバーンである。
 目測だが、銀座の1丁目から7丁目までの大きさが、ルアンパバーンの半島部先端のシェントーン寺院から
王宮博物館までの大きさと、ほぼ同じと思はれる。
街と空港の大きさを比較すれば、はるかに銀座の方がナリタの空港より小さい。
だからといって、銀座の街を「玄関だけが立派で居間を通り抜けて、
その奥のドアを開けると裏庭だった」みたいな例えをするだろうか?
村上春樹は大都会のハノイから1時間ばかりで、辺鄙なルアンパバーンの飛行場に降り立って、
「居間を通り抜けると、裏庭だった」みたいに、本当に、このように感じたのだろうか?

最新の画像もっと見る