HGSTはその名の通りもともと日立のハードディスク工場。日立はそれを手放し、Western Digitalの傘下に入った。そのキャンパスが米カリフォルニア州サンノゼ南部にあるり、そこを拡張するようだ。事業は好調なのだろうか?
http://www.bizjournals.com/sanjose/news/2014/02/04/exclusive-western-digitals-hgst.html
HGSTとは何か。あらためて調べてみると
HGST(エイチ・ジー・エス・ティー)は、Western Digital傘下のハードディスクドライブやストレージ製品のメーカーである。かつては日立製作所傘下の企業で、社名は日立グローバルストレージテクノロジーズ(Hitachi Global Storage Technologies, Inc.)であったが、2012年5月にWestern Digital傘下となってからは、同社の略称であった“HGST”を正式な社名として変更された。米カリフォルニア州サンノゼに本社機能を担う本部を構える。日本法人は(株)HGSTジャパン(HGST Japan, Ltd.)で、神奈川県小田原市に本社、藤沢市や川崎市中原区や大阪市中央区に拠点を置く。
https://ja.wikipedia.org/wiki/HGST
Western Digitalは、ハードディスクだけでなくフラッシュメモリにも事業拡張して両路線でいくようだ。
米ウエスタンデジタル、東芝と共同生産始動、記憶媒体、二刀流の賭け、HDD×SSD(2016/07/18 日経産業新聞)
- 四日市からSSDで反攻 -
米ウエスタンデジタル(WD)と東芝は15日、NAND型フラッシュメモリーを共同生産する四日市工場(三重県四日市市)の第2製造棟を稼働させた。このメモリーはパソコンなどのデータ記憶装置のソリッド・ステート・ドライブ(SSD)に使われる。WDはハードディスク駆動装置(HDD)で首位。SSDとの「二刀流」でデータ記憶装置市場での生き残りを目指す。「今日はWDにとって歴史に残る1日だ。HDDとSSDの幅広い技術と製品をそろえてストレージ市場の激しい変化に対応していく。」 15日、WDのスティーブ・ミリガン最高経営責任者(CEO)は新製造棟竣工式後の懇親会で笑顔でスピーチした。それは消耗戦に突入したHDDのトップ企業が起死回生の挽回策を見いだした安堵の表情でもあった。HDDメーカーを取り巻く環境はかつてないほど厳しい。パソコンやストレージのデータ記憶装置として12年以降にSSDが台頭し、HDDは主要な搭載先を奪われ続けた。市場が長期的な縮小をたどる中で、HDD専業のWDは展望が開けない苦境に陥っていた。この状況を打破するための一手が15年10月に表明した米サンディスク買収だった。サンディスクはSSDを得意としており、東芝と提携していた。東芝との関係はWDが継承し、両社で世界最大のNAND型フラッシュメモリー工場である四日市工場に集中投資する。ミリガン氏は「四日市工場は世界のどの工場より生産能力が高い。我々は今後3年間で50億ドル(約5300億円)を投じる用意がある」と表明。東芝の綱川智社長も「WDとともにフラッシュメモリーにおいてリーダーシップを発揮していく」と応じた。15日に本格稼働した第2製造棟にはフラッシュメモリーのデータ容量を8倍以上に増やせる「3次元メモリー」の専用装置が並ぶ。さらに東芝・WD連合は今後3年間で1兆4000億円規模の設備投資を実施。18年稼働予定の「第6製造棟(仮称)」でも3次元メモリーを量産する。大容量フラッシュメモリーの生産能力を確保し需要増に対応する戦略だ。東芝と組んだWDの二刀流戦略だが、不安要素もある。従来の平面構造の半導体メモリーと比べて3次元メモリーの製造装置は高価。巨額の設備投資が両社の財務基盤を圧迫することは避けられない。WDはサンディスク買収で170億ドル(約1兆8000億円)を投じた。WDの手元資金の3倍を超える水準だ。東芝は不適切会計問題で自己資本が大きく目減りしている。市況に応じた機動的な投資を続けるためには「資本増強が必要」(証券アナリスト)との声もある。HDDの市場は3社寡占で首位のWDが価格支配力を持つ。だが、SSD用のフラッシュメモリーは首位の韓国サムスン電子をはじめとする大手5社がしのぎを削り、中国勢が参入の機会をうかがう。WDは挑戦者の立場で、競争環境や市況の変化に順応できるかは不透明だ。HDDからSSDへ。顧客要望の激変に背中を押される形でフラッシュメモリーの世界にこぎ出したWD。二刀流が成功するには、四日市工場で生み出す最先端の製品を活用し、自社のSSDの性能を飛躍させる必要がある。(細川幸太郎、薬文江)
▼米ウエスタンデジタル HDDで世界シェア43%を占める最大手。12年に日立製作所のHDD事業を買収したことで知られる。15年6月期の売上高は145億ドル(1兆5300億円)だった。16年5月にはNAND型フラッシュメモリー大手のサンディスクを買収した。HDDと、NAND型フラッシュメモリーによるSSDの2種類のデータ記憶装置の事業を抱える。
▼HDDとSSD 両者ともパソコンやデータセンターに搭載するデータ記憶装置。HDDは円盤状のディスク媒体に磁気ヘッドでデータを記録する。SSDはNAND型フラッシュメモリーの記憶素子に電荷を蓄えてデータを保存する。現時点では保存できるデータでみた単価はHDDが安い。SSDはデータ処理速度が速く、消費電力も少ない。衝撃にも強く、ノートパソコンを中心に搭載が進んでいる。フラッシュメモリーの価格下落に伴って、数年後には価格面でもSSDが優位になる見通しだ。
- HDD寡占化 再編の呼び水 シーゲート焦燥 -
HDD市場は縮小傾向だ。テクノ・システム・リサーチの予測では、2012年の378億ドル(約3兆8000億円)から20年には半減する見通し。HDD市場の変質がWDに二刀流を迫った背景といえる。パソコン普及期の1990年代には世界で20社以上がHDDを手掛けていた。小型で大容量を競う技術革新に振り落とされる形で淘汰・再編が進み、現在はWDと米シーゲート・テクノロジー、東芝の3社に集約された経緯がある。3社寡占状態で安定したかに見えたHDD市場を侵食したのがNAND型フラッシュメモリーを使ったSSDだった。東芝はフラッシュメモリー世界2位で「HDDは自然に縮小し、SSDに軸足を移す」(東芝幹部)方針。WDが出した答えがフラッシュメモリー3位の米サンディスクを買収してHDDとSSDの二刀流の体制を築くことだった。東芝とWDがSSDにカジを切るなか、取り残された形のシーゲート。同社は11日に全従業員の14%にあたる6500人の削減を発表した。HDDだけでは長期展望を描きにくいとの判断が働いたとみられる。シーゲートの次の一手がデータの記録装置を巡る新たな再編を呼び起こしそうだ。