東海道新幹線において、2024年7月6日に上下線ともに長時間の運転見合わせが発生した。午後0時20分頃、東海道新幹線の掛川駅〜静岡駅間において上り「のぞみ12号」で停電が発生した。上下線とも運転見合わせとなった。下りは午後3時10分に、上りは午後3時20分にようやく運転再開した。実に3時間の運転見合わせ、そして再開後も大幅の遅れである。9.7万人に影響が出たと言う。「のぞみ12号」のパンダグラフに異常があり停電、停車。トンネル内での出来事。車内空調も止まり、暑い真夏の中、大変だった模様。結局「のぞみ12号」は静岡駅で運転を打ち切り、その乗客は後続の列車に乗り換えての運転再開である。いったい何だったのだろうか?線路自身には問題ないのか?「のぞみ12号」の車両だけの問題なのか?
東海道新幹線では、2022年12月18日にも豊橋駅〜名古屋駅間で停電が発生、最大4時間半の遅れで11万人に影響が出た事例もある。架線の金具が折れてショートし架線が切れたことが原因と言われている。トロリ線と吊り架線をつなぐ「ハンガ」と呼ばれる金具の下部が何らかの理由で折れ、別のトロリ線に接触、異常な電流が流れ、断線したと言う。
2023年7月12日にも掛川駅〜浜松駅間で停電・異音感知の事故が起きている。その事故のいきさつは以下。ドロッパはちょう架線と補助ちょう架線&トロリ線を複数箇所で結ぶもの。
(1) 12時9分頃 ドロッパが脱落し、「ひかり509号」のパンタグラフに引っかかる
(2) 12時15分頃 脱落したドロッパが「ひかり509号」の車体と接触し、瞬間的な停電が発生(運転継続)
(3) 12時25分頃 脱落したドロッパが「ひかり509号」の車体と接触し、停電が発生
(4) 12時55分頃 「ひかり509号」の車両屋根上の点検を開始し、脱落したドロッパの一部を発見
(5) 13時16分頃 後続の「のぞみ29号」の運転士が異音を感知、脱落したドロッパの一部が接触したため
2017年6月21日にも京都駅〜新大阪駅間で架線事故による停電、運転見合わせが発生している。トロリ線が断線したと言う。
東海道新幹線は日本の大動脈。開業60年。毎日休みなく運転している。設備が古くなっている部分もあるだろう。そして止められない設備である。そんな中、日々のメンテナンスが大事。限られた時間と環境の中で巨大な設備をメンテナンスを実施しなければならず、計り知れない緊張もあることだろう。
なお、東北・上越・北陸新幹線の大宮駅〜上野駅間でも2024年1月23日に架線事故で停電、作業員の感電事故も発生し、長時間の運転見合わせが発生している。架線を張る重りの脱落による架線のたるみが原因と言われている。
〈追記〉今回の事故は、「のぞみ12号」の屋根に設置しているケーブルが破損して地絡したのが原因とのこと。ではなぜそのケーブルが破損したのかについては調査中とのこと。本ケーブルはパンタグラフを通して取り込んだ高圧電流を変圧器に届ける「特高圧ケーブル」と呼ばれるもの。12号車と13号車をつなぐ部分が破損してショートしたとのこと。本ケーブルは約3年毎の全般検査で新品に交換しており、今回破損したケーブルは昨年の2023年9月に交換したばかりと言う。