臍帯血バンク・シービーシーの犯罪履歴

臍帯血バンク・シービーシーの未公開株詐欺・振り込め詐欺の被害者さま臍帯血保管された皆さまへ

さい帯血バンク FGK 高裁判決書 1

2017-02-25 23:57:21 | 日記

事件番号
平成28年(ネ)第 1321号




1ページ


平成28年7月20日判決言渡し
 
同日判決原本交付 裁判所書記官
平成28年(ネ)第1321号 損害賠償請求訴訟事件 
(原審・東京地方裁判所平成26年(ワ)第9454号)


口頭弁論最終日 平成28年5月16日

判決

東京都世田谷区成城4丁目38番6号
控訴人兼被控訴人(原告)
 
株式会社フューチャーイング・ゲート・クボタ
(以下「1審原告会社」と言う。)

同代表者代表取締役 窪田好宏
東京都世田谷区成城4丁目38番6ー213
控訴人兼被控訴人(原告)
窪田好宏
(以下「1審原告窪田」と言う。)


上記2名控訴代理人弁護士
 
 松村光晃
同 石井城正
同 成松昌浩



・・・・・・・・
被控訴人権控訴人(被告) 出口・
(以下「1審被告」と言う。)





主文
1 

1審原告会社の本件控訴に基づき、原判決中、
1審原告会社に関する部分を次のとおり変更する。

(1)1審被告は、1審原告会社に対し165万円
   及びこれに対する平成26年5月16日から
   支払い済みまで年5分の割合による金員を払え。

(2)1審原告会社のその余りの請求をいずれも棄却する。

2 1審原告窪田及び1審被告の本件各控訴をいずれも棄却する。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

2ページ


3 控訴費用は、1、2審を通じて、
  1審原告会社に生じた費用の10分の7
  及び1審被告に生じた費用の2分の1を1審原告会社の負担とし、
  1審原告窪田に生じた費用の5分の4
  及び1新被告に生じた費用の4分の1を1審原告窪田の負担とし、
  その余を1審被告の負担とする。

4 この判決は、1項(1)に限り、仮に執行することができる。


事実及び理由


第1 控訴の趣旨

1 1審原告会社及び1審原告窪田
  (以下、合わせて「1審原告ら」という。)

(1) 原判決を次のとおり変更する。

(2) 1審被告は、1審原告会社に対し、550万円及びこれに
    対する平成26年5月16日から支払済みまで
    年5分の割合による金員を支払え。

(3) 1審被告は、1審原告窪田に対し、275万円及びこれに対する
    平成26年5月16日から支払済みまで
    年5分の割合による金員を支払え。



2 1審被告

(1) 原判決中、1審被告敗訴部分を取り消す。

(2) 上記取消しに係る1審原告等の請求をいずれも棄却する。


第2 事案の概要等(以下、原則として原判決の略称をそのまま用いる)

1 事案の概要
  本件は、1審原告らが、1審被告は1審原告会社の事務所や
  代理店等に対し多数回にわたってファクシミリを送信したり、
  電話を架けるなどして1審原告会社の業務を妨害するとともに、
  上記ファクシミリ文書やインターネット上の掲示板に
  1審原告らの名誉及び信用を毀損する文章を掲載ないし
  書き込む行為を繰り返したと主張して、
  1審被告に対し、不法行為に基づく損害賠償として、
  1審原告会社につき1100万円
  (有形無形の損害の一部として1000万円
  及び弁護士費用相当額100万円の合計額)。
  1審原告窪田につき550万円(慰謝料500万円
  及び弁護士費用相当額50万円の合計額)
  及びそれぞ


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


3ページ


 れに対する各不法行為の後の日である
 平成26年5月16日(訴状配達日の翌日)から支払済みまで
 民法所定の年5分の割合による遅延損害金の各支払を求めた
 事案である。

  原審は、1審原告らの本件各請求について、
 1審被告の1審原告らに対する名誉及び信用毀損行為
 並びに業務妨害による不法行為の成立を認めた上、
 これにより1審原告らは少なくとも無形の損害を被ったとして、
 1審被告に対し、不法行為に基づく損害賠償として、
 1審原告会社について合計110万円
 (内訳は、慰謝料100万円及び弁護士費用相当額10万円)、
 1審原告窪田につき合計55万円
 (内訳は、慰謝料50万円及び弁護士費用相当額5万円)
 及びこれらに対する上記延長損害金の支払いを求める限度で
 1審原告らの損害賠償請求を認容したところ、
 当事者双方が、それぞれ敗訴部分を不服として本件各控訴を提訴した。
 1審原告らは、当審において、
 それぞれの訴えを一部取下げ、
 その各請求額を1審原告会社は550万円
 (内訳は、慰謝料500万円及び弁護士費用相当額50万円)に、
 1審原告窪田は275万円
 (内訳は、慰謝料250万円及び弁護士費用相当額25万円)に
 それぞれ減縮した。


2 前提となる事実
  (当事者間に争いのない事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により
  容易に認定することができる事実・以下「前提事実」という。)


(1) 1審原告会社は、平成22年4月7日に設立された、
   医療用機械器具の販売、医療機関に対する経営指導等を
   目的とする株式会社であり、
   1審原告窪田は、その代表取締役である。

    他方、株式会社シービーシー(CBC)は、
   平成17年8月1日に設立された、
   人細胞の収集、保管、検査業務の受託等を
   目的とする株式会社であり、
   民間の臍帯血バンクの営業窓口としての
   業務を行っていた。(甲3、20)

(2) 1審原告窪田は、平成22年頃、
   1審原告会社の代表として、
   その当時CBCの代表取締役をしていた宍戸良元(穴戸)と
   その息子で取締役の宍戸大介(以下「宍戸大介」と言う。)
   らと面会し、CBCが展開していた臍帯



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

4ページ

   血保管事業の説明を受けた。
    この説明を受け、1審原告会社は、
   平成22年7月22日、CBCとの間において、
   同会社が提供する臍帯血保管事業の
   全国展開を支援することを目的として、
   同事業に関する代理店契約(甲4)を締結したうえ、
   積極的な営業活動を行うことにより、
   全国に400店ほどの代理店網を展開し、
   最終的には800店ほどの代理店網を
   構築することを目指した。(甲20)



(3) ところが、CBCは人員の不足等から、対応が鈍く、
   顧客や代理店から連絡がつかなjなどの苦情が寄せられた。
   そこで、1審原告窪田は、
   平成23年7月、より円滑に1審原告会社の業務を推進するとともに、
   1審原告会社がCBC関連の業務をしていることを
   顧客らに容易に理解してもらうため、
   自ら株式会社シービーシー・サポート
   (CBCサポート・現在の称号は株式会社エスビーエス)を
   設立して代表取締役に就任した上、
   全国各地に臍帯血保管事業の代理店を設置し、
   臍帯血保管契約者を勧誘する営業活動を行なった。
   そして、その業務内容は、

   ①  臍帯血保管事業のビジネス展開に協力する代理店を全国に構築した上、

   ②  妊婦や育児に関する意識の高い層が集まる場所へ
      各代理店がリーフレットを設置し、

   ③  各代理店がそのリーフレットを見た者からの問い合わせを受けて説明し、

   ④  これを保管契約につなげた上、

   ⑤  契約者の臍帯血を保管センターまで搬送し、

   ⑥  未収金があればこれを回収するというものであった。
     (甲2、4、9、20、原審における1審原告会社代表者)


 (4) 1審原告会社は、
     平成23年12月頃、突然、1審被告から
     「CBCの未公開株を株式会社エコプランニング
     (エコプランニング)などの会社が委託販売し、
     自分もその株式を購入したが、
     CBCとエコプランニングは共謀して出資金詐欺を働いている。」
     旨の記載があるファクシミリの送信を受け、
     (甲5、20、原審における1審原告会社代表者)、
     CBCの取締役である宍戸大介等から事情を聴収したところ、
     CBCからは誠実に対応していると



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

5ページ


    の回答を得た。
     ところが、CBCの代表である宍戸が平成24年3月に死亡し、
    次いで同年6月には取締役の宍戸大介も死亡したことから、
    CBCの経営は事実上破綻した。
    そこで1審原告会社は、
    医療法人常磐会ときわ病院の院長(当時の指導監督医)に対して、
    臍帯血の保管業務の継続を依頼したところ、
    平成24年7月4日、上記医療法人によって、
    株式会社ときわメディックス
    (以下、「ときわメディックス」という。)が設立され、
    上記臍帯血の保管事業は同会社に引き継がれた。
    (甲10、20、原審における1審原告会社代表者)


 (5) 1審被告は、宍戸が死亡した平成24年3月頃から、
     臍帯血事業の代理店や
     1審原告会社が保管契約の勧誘のため
     リーフレットを置いてもらっている店舗
     (以下「リーフレット設置店」といい、
     上記代理店と合わせて「代理店ら」という。)  
     約50店以上に対して、
     CBCが未公開株の出資金詐欺集団である旨の記載がある
     文書やファクシミリを送信するようになった。
     そして、宍戸大介が死亡する少し前の同年5月中旬頃から、
     1審原告会社の代理店等に対して、
     1審原告らが上記詐欺に関与していることを疑わせる記載や、 
     1審原告らが上記詐欺に関与しているかのように決め付ける内容のある
     別紙1ないし3のファクシミリ文書
     (甲6の1ないし3(別紙1ないし3はそれぞれの一部)・
     以下、別紙1ないし3のファクシミリを
     それぞれ「本件ファクシミリ文書1」のようにいい、
     これらを一括して「本件各ファクシミリ文書」という。)
     を送信するとともに、
     上記代理店等や1審原告会社の事務所に対して
     頻繁に電話を架けてくるようになったため、
     1審原告会社は、 
     警視庁世田谷警察署や
     1審被告が居住する石川県警察の所轄の警察署に対して、
     1審被告の上記一連の行動に対する対応を相談した。
     (甲20、32、原審における1審原告会社代表及び1審被告本人)


 (6) 1審原告会から相談を受けた上記各警察署は、
    1審被告に対して電話対応をしたり、 面会を求めるなどして、
    1審被告に対して厳重注意を行ったと



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


6ページ


    ころ、1審被告は、インターネットの各種掲示板上に
    原判決別紙1ないし9記載のとおりの内容の書き込み
    (以下それぞれ「本件書き込み1」などといい、
    合わせて「本件書き込み」という。)を
    行うようになった(甲20)。

  ア 1審被告は、平成25年2月から同年3月にかけて、
    インターネット上の 「livedoor したらば」という掲示板上に、
    本件書き込み1ないし同3及び6ないし同8記載の各書き込みをした
    (甲7及び14の各1ないし3)。

  イ また、1審被告は、同年2月頃、
    インターネット上の掲示板である「爆サイ.com.北海道版」 に、
    本件書き込み4をした(甲8)。

  ウ さらに、1審被告は、同年2月頃、
    インターネット上の「あぐら物語日記」と題するブログに、
    本件書き込み5をした(甲13)。

  エ その上、1審被告は、平成25年10月から平成26年1月にかけて、
    インターネット上の
    「フューチャーイング・ゲート・クボタ 
    FGK エフジーケー|詐欺被害相談」と題するスレッド
    (一連の話題のまとまり)に、本件書き込み9をした(甲15)



3 主な争点


 (1) 争点1ー本件各ファクシミリ文書の送信による
    名誉及び信用毀損の成否

  ア 争点1の(1)ー本件各ファクシミリ文書が
    1審原告らの名誉及び信用を毀損するか否か

  イ 争点1の(2)ー本件各ファクシミリ文書の送信に係る
    違法性阻却事由の有無(名誉毀損関係)

 (2) 争点2ー本件各ファクシミリ文書の送信等による
     営業妨害の成否

 (3) 争点3ー本件各書き込みによる
     名誉及び信用毀損の成否

  ア 争点3の(1)ー本件各書き込みが
    1審原告らの名誉及び信用を毀損するか否か


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


7ページ


  イ 争点3の(2)ー本件各書き込みに係る
    違法性阻却事由の有無(名誉毀損関係)

 (4) 争点4ー1審原告らに生じた損害の有無及びその額


4 主要な争点に対する当事者双方の主張


 (1) 本件各ファクシミリ文書が
    1審原告らの名誉及び信用を毀損するか否か
    (争点1の(1))
     なお、以下において引用する原判決中に「甲第6号証の1」
    「甲第6号証の2」ないし「甲6号証の2」
    及び「甲第6号証の3」ないし「甲6号証の3」とあるのを、
    それぞれ、すべて 「本件ファクシミリ文書1」
    「本件ファクシミリ文書2」
    及び「本件ファクシミリ文書3」に、
    「本件ファックス」とあるのをすべて「本件ファクシミリ文書」に
    それぞれ改める。

     
    {1審原告らの主張}

     原判決「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」の4(1)(原告ら)
    イ(原判決4項25行目から同6項6行目まで)に
    記載のとおりであるから、これを引用する。
    ただし、原判決4項24行目冒頭の「イ」を削り、
    同行の「信用毀損」を「信用毀損」に改める。


    {1審被告の主張}

     原判決「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」の4(1)(被告)
    イ(原判決6項15行目から同7項8行目まで)に
    記載のとおりであるから、これを引用する。
    ただし、原判決6項15行目冒頭の「イ」を削り、
    同7項4行目の「第6号証」を「本件ファクシミリ文書3」に改める。


 (2) 本件各ファクシミリ文書の送信に係る
     違法性阻却事由の有無(争点1の(2)

    {1審被告の主張}

     以下の通り原判決を補正するほかは、
    原判決「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」の4(2)(被告)
    ア及びイ(原判決7項11行目から同9項



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

8ページ


    17行目まで)に
    記載のとおりであるから、これを引用する。
    (原判決の補正)

   ア 原判決8項3行目の「そのため」の次に
    「、上記摘示事実は「公共の利害に関する事実」に当たり」を加える。

   イ 原判決8項6行目から7行目にかけての「上記書き込みをしており」の
     次に「、その目的は専ら公益を図ることにあるから」を加える。
 
   ウ 原判決8項25行目の「意味があり」を
     「意味があるから、上記摘示事実は「公共の利害に関する事実」に当たり」
     を加える。

   エ 原判決9項11行目の「行ったものである」を
    「行ったものであり、その目的は専ら公益を図ることにあるから、
     目的の公共性がある」に改める。


    {1審原告らの主張}

  
     原判決「事実及び理由」欄の「第2 事実の概要」の4(1)(原告ら)
     (原判決9項19行目から同23行目まで)に記載のとおりであるから、
     これを引用する。
     ただし、原判決9項20行目の「甲6号証の2及び3」を
     「本件ファクシミリ文書2及び同3」に改める。



 (3) 本件各ファクシミリ文書の送信等による業務妨害の成否(争点2)

   {1審原告会社の主張}
 
    原判決「事実及び理由」欄の「第2 事実の概要」の4(1)(原告ら)
    ア(原判決4項19行目から23行目まで)に記載のとおりであるから、
    これを引用する。 
    ただし、原判決4項18行目冒頭の「ア」を削る。


   {1審被告の主張}

    原判決「事実及び理由」欄の「第2 事業の概要」の4(1)(被告)
    ア(原判決6項8行目から同項14行目まで)に記載のとおりであるから、
    これを引用する。
    ただし、原判決4項8行目冒頭の「ア」を削る。


 (4) 本件各書き込みが1審原告らの
    名誉及び信用を毀損するか否か(争点3-(1))


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 
9ページ


   {1審原告会社の主張}
 
    原判決の「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」の4(3)(原告ら)
   (原判決9項末行から同12項19行目まで)に記載のとおりであるから、
   これを引用する。


   {1審原告会社の主張}

    原判決の「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」の4(3)(被告)
    (原判決12項21行から同14項9行目まで)に記載のとおりであるから、
    これを引用する。


 (5) 本件各書き込みに係る違法性阻却自由の有無(争点3-(2))

   {1審原告会社の主張}

    以下のとおり補正するほかは、
    原判決「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」の4(4)(被告)
    ア及びイ(原判決14項12行目から同19項15行目まで)に記載のとおりで
    あるから、これを引用する。

   (原判決の補正)

   ア 原判決14項17行目の「関わり」の次に、
    「、上記摘示事実は「公共の利害に関する事実」に当たり」を、
    同14項21行目の「行っており」の次に
    「、その目的は専ら公益を図ることにあるから」をそれぞれ加える。

   イ 原判決15項8行目の「関わる」を
    「関わるから、上記摘示事実は「公共の利害に関する事実」に当たり」に、
    同12行目の「行っており、」の次に
    「その目的は専ら公益を図ることにあるから」をそれぞれ加える。

   ウ 原判決16項5行目の「いることだから」の次に
    「上記摘示事実は「公共の利害に関する事実」に当たり」を加え、
    同8行目の「行っているのであるから」を
    「行っており、その目的は専ら公益を図ることにあるから」に改める。

   エ 原判決17項初行の「関わり」を
    「関わるから、上記摘示事実は「公共の利害に関する事実」に当たり」
    に改め、同4行目の「行っており」の次


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


10ページ


    に「、その目的は専ら公益を図ることにあるから」を加える。

   オ 原判決17項21行目の「関係し」を
    「関係するから、上記摘示事実は「公共の利害に関する事実」に当たり」
    に改め、同25行目の「行っており」の次に
    「、その目的は専ら公益を図ることにあるから」に加える。

   カ 原判決18項11行目の「関係し」を
     「関係するから、上記摘示事実は「公共の利害に関する事実」に当たり」に、
     同17行目の「行ったものである」を
     「行ったものであり、その目的は専ら公益を図ることにあるから、
     目的の公共性がある」にそれぞれ改める。

   キ 原判決19項6行目の「関わり」を
     「関係するから、上記摘示事実は「公共の利害に関する事実」に当たり」に改め、
     同9行目から10行目にかけての「上記書き込みをしており」の次に、
     「、その目的は専ら公益を図ることにあるから」を加える。



   {1審原告会社の主張}


    原判決「事実及び理由」欄の「第2 事実の概要」の4(4)(原告ら)
    アないしエ(原判決19項17行目から同21項3行目まで)に記載の
    とおりであるから、これを引用する。




 (6)1審原告らに生じた損害の有無及びその額(争点4)

   {1審原告会社の主張}

   ア 1審原告会

   (ア) 得べかりし利益の喪失

       1審被告が行った代理店等に対する
      電話やファクシミリ文書の送信による業務妨害、
      並びに本件各ファクシミリ文書の送信及び本件各書き込みによる
      名誉及び信用の毀損行為により、
      1審原告会社においては、
      リーフレットの設置店を取りやめたり、
      活動を停止する代理店が各地で多数生じ、
      代理店網が機能しなくなったばかりか、
      1審原告らが詐欺に加担しているかのような書き込みを読んだ
      代理店契約や臍帯血保管契約の希


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

11ページ


      望者が、契約を取りやめたり、
      連絡を取ろうとしなくなるということが続発した。
      そのため、1審原告会社の契約件数は、
      平成23年12月から平成24年4月頃までが
      合計78件(月平均15・6件)であったものが、
      同年5月から平成25年11月までの19ヶ月間の契約件数は
      僅かに合計83件(月平均4・3件)にとどまった
      (1審原告会社には、成約件数1件につき、
      手数料を含めて概ね12万5000円の報酬が入ることになっていた。)。
      その結果、1審原告会社は、営業活動を継続することができなくなり、
      同月をもって事業譲渡を余儀なくされた。

       また、1審原告会社としては、
      800件の代理店網を構築する予定であり、
      代理店の登録料は最大38万円となっていたが、
      1審被告の上記の各不法行為により、
      平成24年4月末日時点での代理店数は323店にとどまり、
      登録後1年の経過によって各代理店から取得することになっていた
      年間3000円の更新料も失うことになった。

       なお、宍戸親子の死亡によりCBCが経営破綻した頃には、
      臍帯血保管業務は実質的に
      1審原告会社やCBCサポートが行っていたから、
      以上の得べかりし利益の喪失は、
      飽くまで1審被告の上記各不法行為が原因であって、
      宍戸親子の死亡によるCBCの経営破綻の影響により
      生じたものではない。



   (イ) 書き込み削除のための費用 
 
      1審被告によるインターネット上の掲示板への書き込みは、
      3年以上にわたって、執拗かつ継続的に行われたものであるから、
      かかる書き込みを削除するため、
      専門家への多額の依頼料(約200万円)がかかるなど、
      二次被害も重大なものになった。


   (ウ) 会社的信用による失墜及び業務妨害による損害

       無形損害の慰謝料は、加害者側の事情
      (加害行為の動機・目的及び内容の悪質性の程度、
      加害行為の真実性と相当性の欠如の程度、加害行為



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

12ページ


      の方法と範囲、加害行為によって得た利益等)と
      被害者側の事情(被害者の社会的地位、社会的評価の低下の程度、
      被害者が被った営業上ないし社会生活上の不利益の程度、被害者の過失、
      被害者の事後的救済の程度等)を総合考慮して算定されるべきである。

       1審被告による上記不法行為によって
      1審原告会社の社会的信用は大きく失墜しており、
      臍帯血保管事業から撤退を余儀なくされたばかりか、
      現在においても新規事業を行うことすら大きく制限され、  
      円滑な営業活動を行うことができない状況が続いており、
      例えば、1審原告会社がその店舗の移転先を探したところ、
      インターネットの上記書き込み記載を理由に
      不動産会社の審査から落とされ、   
      事実上、事務所を移転することすらできなくなってしまった。

       また、1審原告会社の代表者である1審原告窪田は、
      全国にある代理店にまで足を運び、
      1審被告の各行為に関する状況の説明と謝罪を余儀なくされており、
      それに関連して多額の費用を支出した。

       さらに、1審被告が、1審原告会社の事務所に一日に何十回、
      ときには100回近くにわたって恫喝する電話をかけてきたため、
      通常の業務が著しく妨害されるとともに、
      女性社員がノイローゼになって欠勤するなどしており、
      他の従業員も電話が鳴るたびに精神的な圧迫を受けて
      業務の遂行に影響が生じるなど、
      1審原告会社は無形の損害を被っている。


   (エ) 以上のとおり、1審原告会社は、
      1審被告の上記一連の各不法行為により、
      消極損害として得るべかりし利益の喪失、
      積極損害として書込み削除費用の出費のほか、 
      社会的信用の失墜等の有形無形の損害を被っているから、  
      1審被告には、損害の賠償として少なくとも500万円
      及び弁護士費用相当額として50万円の支払い義務がある。

 
  イ 1審原告窪田  
    1審原告窪田は、1審被告の上記一連の各不法行為により、
    1審原告会


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


13ページ


   社の代表としても1審原告窪田個人としても
   信用及び名誉を著しく毀損された。
   その結果、1審原告窪田は、
   個人として独自のブランドを立ち上げ、
   ブレスレットや財布を販売することを計画し、
   商品開発・製造まで完了していたにも拘わらず、
   これらを1審原告窪田の名前で販売することができなくなり、
   予定していたデパートへの出店中止を余儀なくされたばかりか、
   1審原告窪田の名前の入った名刺を配ることも事実上不可能となって
   事業活動を著しく妨げられた。
   これにより1審原告窪田は、
   少なくとも250万円の慰謝料
   及び弁護士費用相当額25万円の損害を被った。



   {1審被告の主張}

     1審原告らの上記損害に関する主張は、いずれも不知ないし否認する。 
    1審被告の行為との因果関係は争う。



第3 当裁判所の判断

 1 当裁判所は、1審原告らの本件各請求は、
   不法行為に基づく損害賠償として、
   1審原告会社が1審被告に対して165万円、 
   1審原告窪田が1審被告に対して50万円
   及びこれらに対する不法行為の後である
   平成26年5月16日(訴状送達日の翌日)から支払済みまで
   民法所定の年5部の割合による遅延損害金の支払を求める限度で
   理由があるものと判断する。
   以下そのように判断した理由について述べる。



 2 本件各ファクシミリ文書の送信による
  名誉及び信用毀損の賛否(争点1の(1))

  名誉とは、人がその品性、徳行、名声、信用等の人格的価値について
  社会から受ける客観的な評価を示すものであるから、
  (最高裁昭和45年12月18日第2小法廷判決・
  民衆24巻13号2151項参照)、
  本件各ファクシミリ文書によって1審原告らの
  社会的評価が低下したと認められる場合には、
  1審原告らの名誉が毀損されたということができ、
  その場合には、1審原告




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

14ページ


  らの 経済的な観念からの社会的評価としての
  信用も害されることになる場合が多いと考えられる。
  したがって、以下においては、
  まず本件各ファクシミリ文書による名誉毀損の成否について
  検討することとする。


  ア 争点1の(1)ー本件各ファクシミリ文書が1審原告らの
    名誉及び信用を毀損するか否か


  (ア) 以下で検討する本件ファクシミリ文書の内容
     及び前提事実(5)、(6)において認定に照らすと、
     本件各ファクシミリ文書は、
     1審原告らがCBC及びエコプランニングと共謀して
     CBCの未公開株に関する詐欺行為を行っている事を疑わせ、
     又はそのように決めつけた上で、
     これに関する事実関係を暴露し、
     上記認識を広めることを目的として作成、
     送信された文書であると見るのが自然である。

      以下、本件各ファクシミリ文書について、
     一般の読者の普通の注意と読み方を基準として、
     これらの文書に1審原告らの名誉を毀損する内容の記載が
     含まれているか否かについて検討する。


  (イ) まず本件ファクシミリ文書1についてみると、
     同文書では、作成者である1審被告が、
     CBCの未公開株の振り込め詐欺の
     被害者の1人であることを明記した上で、
     CBCの未公開株の販売業者がエコプランニングであり、
     エコプランニングのCBCファンド口座が
     警察署によって銀行凍結されていることを指摘するほか、
     同会社が悪徳暴力団の資金源になっているかもしれないと指摘し、
     CBCについては、
     詐欺会社としてインターネットで検索できるとしているところ、
     1審原告会社について、CBCサポートと同じ住所、同じ代表者であるが、
     1審原告会社は、会社登記簿がとHP(ホームページ)の記載が
     異なっており、前住所も登記がされておらず、
     会社登記簿がスムーズには出てこなかったなどと記載していて、
     これらの記載を併せ読むと、1審原告会社らが如何にも
     上記詐欺事件に関与しているかのような印象を
     抱かせる表現が使用されている



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


15ページ


     というべきであって、
     これらの記載は、その読み手に対して、
     1審原告会社もCBCの未公開株詐欺に関わっているとの
     印象を与えるものである。
      加えて、同ファクシミリ文書の2枚目には、
     臍帯血の検査ができていないことを前提として、
     「FGK」加藤に伝えましたが、確認もせずに・・・
     さいたい血は(株)CBC高崎事業所に運ばれています。」との記載があり、
     これは、未公開株詐欺に関する記載と同じ書面に記載されている点で、
     1審原告会社がCBCの違法行為を助長しているかのような
     印象を与える一文であるということができるから、
     以上の諸点を総合すると、
     本件ファクシミリ文書1は、
     1審原告会社の社会的評価を低下させるものとして、
     その名誉を毀損する行為に該当する。



  (ウ) 次に、本件ファクシミリ文書2について検討すると、 
     同ファクシミリ文書には、
     「FGKも次々と悪意性が出てきます。クボタヨシヒロに命を守れますか」
     との記載があり、上記「FGK」は1審原告会社を、
     「クボタヨシヒロ」は1審原告窪田をそれぞれ指すものと理解できるから、   
     かかる記載は、読み手に対し、1審原告らが未公開株詐欺ないし、
     その他の違法行為に関与していることが
     次々と判明しているかのような印象を与えるものであって、
     1審原告らの社会的評価を低下させ、
     その名誉を毀損する行為に該当する。


      この点、1審被告は、上記記載は、
     1審原告らが、高崎の臍帯血保管施設につき、
     衛生検査所登録が休止されているにも拘らず、
     それを公表せずに臍帯血保管者を募っていることを示したものである
     などと主張するが、
     一般読者の普通の注意と読み方を基準とすると、
     その前後の文脈からしても、
     上記のような1審被告の主張に係る意図を読みとることはできず、
     1審被告の上記主張は理由がない。


  (エ) 更に、本件ファクシミリ文書3について検討すると、
     同ファクシミリ



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


16ページ


     文書には、「FGKの代表窪田好宏は、ネットワークビジネス
     詐欺グループのメンバーだとの情報をもらっています。」
     及び「クボタは・・・卑怯な人間です。詐欺師らしいです。」
     といったより直接的な表現が用いられているだけでなく、
     預金保険機構の振り込め詐欺救済法に基づく広告等システムに
     預金の名義人として「クボタヨシヒロ」と記載されている書面が
     添付されている上(甲6の3)、
     「(株)FGK,(株)CBCサポートも・・・CBC未公開株詐欺の事、
     わかっていながらの営業活動には問題ありだと思います。」と
     1審原告会社と未公開株詐欺とを明確に関連付ける記載まで
     添付書面になされており(甲6の3)、
     これらの記載を総合すると、本件ファクシミリ文書3は、
     その読み手に対して、
     1審原告会社が未公開株詐欺及びその他の違法行為に関わっている
     との印象を与えるものということができるから、
     本体ファクシミリ文書3も、
     1審原告らの社会的評価を低下させ、
     その名誉を毀損する行為に当たるものというべきである。


      これに対し、1審被告は、
     本件ファクシミリ文書3の上記記載について、
     これらの記載は未公開株詐欺に関与する記載ではないとか、
     1審原告窪田が詐欺グループのメンバーであると断定する記載は
     していないとか、高崎の臍帯血保管施設につき衛生検査保健登録
     が休止されていることについて1審原告らが一貫性に欠ける対応を
     していることを指摘したまでであって、
     読み手に対して1審原告らが詐欺を行っているとの印象を与えるもの
     でない旨主張し、原審における1審被告本人尋問や
     1審被告作成の陳述書
     (乙1・以下、合わせて「原審の本人尋問等」という。)において、
     これに副う供述ないし陳述をしているが、
     一般の読者の普通の注意と読み方を基本として
     本件ファクシミリ文書3上記各記載の意味するところを検討すると、
     本件ファクシミリ文書3上記各記載は、読者の読み手に対し 
     1審原告会社が未公開詐欺及びその他違法行為に関わって


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

17ページ


     いるとの印象を与えることは明らかであるから、
     1審被告の上記主張は採用の限りではない。

  (オ) 以上のとおり、1審被告がした本件各ファクシミリ文書の作成、送信は、
      いずれについても、1審原告らの名誉を毀損する行為に該当する。

  (カ) 以上の認定を踏まえると、本件各ファクシミリ文書が
     1審原告らの信用を毀損することは明らかというべきである。


  イ 争点1の(2)ー本件各ファクシミリ文書の送信に係る
    違法性阻却自由の有無(名誉毀損関係)


  (ア) 本件ファクシミリ文書2の
     「FGKも次々と悪意性が出てきます。クボタヨシヒロに命を守れますか」
     との記載について。

     a  1審被告は、前期第2の4(2){1審被告の主張}
      (引用に係る原判決第2の4(2のア)) のとおり、
      本件ファクシミリ文書2の上記記載は、
      公共の利害に関わり、
      専ら公益を図る目的によるとの要件を充たしているほか、
      指摘された事実が真実であり、
      仮に真実でなくても真実であると信じたことについて
      相当な理由があるから、
      違法性は粗客される旨主張する。

     b しかし、本件ファクシミリ文書1のうち上記記載は、
      いずれもかなり抽象的で漠然とした内容であって、
      それ自体は、証拠等をもってその存否を決することが
      可能な他人に関する特定の事項を摘示するものであるとはいい難い。
      したがって、上記記載は、
      1審原告らの過去ないし現在の行状等の悪性を強調する意味
      ないし論評に当たるものと言うべきである。
      ただ、一般に、証拠等をもってその存否を決することが
      可能な他人に関する特定の事項を摘示するものとは
      直ちに理解されないとしても、
      当該部分の前後の文脈を考慮し、
      当該部分が、修辞上の誇張ないし強調を行うなどによりつつ、
      間接的ないしえん曲に上記事項を主張するものと理解される場合、
      あるいはまた上記のような間接



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
18ページ


      的な言及にかけるにせよ、
      当該部分の前後の文脈等の事情を総合的に
      考慮すると、当該部分の叙述の前提として
      上記事項を黙示的に主張すると理解される場合には、 
      上記部分は、事実を摘持するものと見るのが相当と理解されるところ
      (最高裁平成9年9月9日第3小法廷判決・民衆51巻8号3804項・
      以下「平成9年最判」といい、
      上記法理部分を「平成9年判例法理①」という。)、
      本件ファクシミリ文書2の上記記載の前後には、
      未公開株を販売していたエコプランニングが消滅し、
      その代表取締役が所在不明であること、
      CBCの宍戸親子が相次いで死亡し、  
      CBC未公開株詐欺の被害者にとっても
      保管者にとっても最悪の状態が生じるとの記載があるだけで、
      他に、1審被告が主張する上記事実を
      間接的ないしえん曲的に表現した記載、
      あるいはまた、これを黙示的に表現したものと
      認めるに足る記載はなく、
      したがって、本件ファクシミリ文書2の上記記載は、
      事実を指摘しての名誉毀損行為には当たらないものというべきである。

 
     c そうすると、上記記載は、意見ないし論評の表現とみることになるが、
      かかる意見ないし論評による名誉毀損にあっては、
      その行為が公共の利害に関する事実に係り、
      かつ、その目的が専ら公益を図ることにあった場合に、 
      上記意見ないし論評の前提としている事実が重要な部分について
      真実であることの照明があったときには、
      人身攻撃に及ぶなど意見ないし論評としての
      城を逸脱したものではない限り、
      上記行為は違法性を欠くものと解するのが相当である。
      そして、仮に上記前提事項が真実であることの証明がないときにも、 
      事実を摘示しての名誉毀損における場合と対比すると、
      行為者において上記事項を真実と信ずるについて相当の理由があれば、
      その故意又は過失は否定されると解するのが相当である
      (平成9年最判・以下、この法理部分を
      「平成9年判例法理②」と言う。)。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


   19ページ


     上記のとおり、本体ファクシミリ文書2の上記記載は、
     1審原告らの過去ないし現在の行状等の悪性を強調する意見
     ないし論評に当たると解されるところ、 
     1審被告の上記主張によれば、かかる意見ないし論評は、

     ① 1審原告らが、高崎の臍帯血保管設備につき、
       衛生検査所登録が休止されているにも拘らず、
       それを公表せずに臍帯血保管者を募っていること、

     ② 1審原告のホームページに記載されている臍帯血保管事業に
       賛同しているとされる人の名前の中には全く臍帯血保管事業を
       知らず賛同していない人の名前も出ていること、

     ③ 1審原告会社の取引先として記載されていたネット学習塾とは
       実際には取引がなかったこと」を
       重要な前提事項としているものと解される。

      確かに、高崎の臍帯血保管施設につき
     衛生検査所登録が休止されていることが窺われるものの
     (原審における1審原告会社代表者及び1審被告各本人)、 
     原審における1審原告会社代表者の本人尋問の結果によれば、
     衛生検査所の上記登録がないと
     臍帯血保管事業を続けることができないというものではないと
     認められるから、
     1審原告らが、この衛生検査所登録の休止を公表せず
     臍帯血保管者を募ったとしても、
     そのこと自体は格別問題のある行為であるとは認められず、
     上記①の事実は、1審被告の上記意見ないし評論を基礎づける
     重要な前提事実を構成するものとはいえない。

      また、1審被告は、原審の本人尋問において、
     上記②③の各事実は真実であるとして、
     その根拠を縷々供述しているが、
     いずれも他者からの伝聞に基づくか、
     または推測ないし憶測に近いものというべきであって
     客観的な根拠に欠けており、
     これを直ちに信用することはできず、
     他に、上記②③の各事実を真実と認めるに足りる証拠はない。
     また、その供述内容から見ても、
     これを真実であると信じたことに
     「相当の理由」があるとは到底認められない。

さい帯血バンク FGK 高裁判決書 2

2017-02-25 23:42:26 | 日記


   20ページ

  (イ)  本件ファクシミリ文書3の
      「FGKの代表窪田好宏は、ネットワークビジネス詐欺グループのメンバー」
       及び「クボタは・・・ヒキョウな人間です。詐欺師らしいです。」
       との記載について

     a 1審被告は、前記第2の4(2){1審被の主張}
      (引用に係る原判決第2の4(2)のイ)のとおり、
      本件ファクシミリ文書3は、
      事実の公共性、目的の公共性の要件を満たしているほか、
      摘示された事実が真実であり、
      仮に真実でなくても真実であると信じたことについて
      「相当の理由」があるから、
      その違法性は阻却される旨主張する。

     b そこで検討すると、本件ファクシミリ文書3の上記記載のうち
      「FGKの代表窪田好宏は、ネットワークビジネス詐欺グループのメンバー」
      との部分は事実を摘示した名誉毀損行為に該当する。
      また、「クボタは・・・ヒキョウな人間です。詐欺師らしいです。」
      との部分は、一見、証拠等をもってその存否を決することが
      可能な他人に関する特定の事項に当たらず、
      1審原告らの過去ないし現在の行状等の悪性を強調する意見ないし
      論評にとどまるように見えるが、
      上記部分の前後の文脈等を総合的に考慮すると、
      当該部分の叙述の前提として1審原告窪田が
      1審被告が主張する詐欺グループ
      (ネットワークビジネス詐欺グループ)のメンバーであることを
      黙示的に主張するものと理解することができるから
      (平成9年判例法理①)、
      結局、本件ファクシミリ文書3の上記記載は、
      いずれも事実を摘示しての名誉毀損行為に該当するものということができる。
      そして、その摘示された事実の内容・性質に照らすと、
      「公共の利害に関する事実に係り」(事実の公共性)、  
      かつ、「その目的が専ら公益を図ること」(目的の公益性)に
      あったということができる。
      そこで、本件ファクシミリ文書3に摘示された事実、
      すなわち
      「FGKの代表窪田好宏は、ネットワークビジネス詐欺グループのメンバー」
      であることの真実性についてみると、1審被告は、


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


   21ページ

     原審の本人尋問等において、
     上記摘示事実は真実である旨の供述等をしているが、
     いずれも伝聞に基づくか、
     または単なる推測ないし憶測に基づくものというべきであって、
     たやすく信用することはできず、
     他に、上記事実が真実であると認めるに足りる証拠はない。
     そしてまた、その供述内容から見て、
     これを真実であると信じたことに
     「相当の理由」があるとも認められない。

  (ウ) 以上のとおり、本件各ファクシミリ文書の違法性阻却事由に関する
     1審被告の上記各主張は、いずれも採用の限りではない。

    
 (2) 結論

     以上によれば、本件各ファクシミリ文書の送信によって、
    1審原告らの名誉が毀損され、
    ひいてはその信用も害されるに至ったというべきであるから、
    不法行為が成立する。



 3 争点2-本件各ファクシミリ文書の送信等による営業妨害の成否

 (1) 認定した事実(以下、「認定事実1」という。)

   ア 前提事実のほか、掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば、
    以下の事実が認められる。

   (ア) CBCの代表取締役であった宍戸は、平成24年3月に死亡し、
      同年6月には、その子で同会社の取締役である宍戸大介も死亡したため、
      CBCの経営は事実上破綻した
     (甲20、原審における1審原告会社代表者)。

   (イ) そうしたところ、その前後頃から1審被告は、
      批判の矛先をCBCやエコプランニングから
      1審原告やCBCサポートに向けかえ、
      全国に点在している1審原告の代理店等に対して、
      1審原告らがCBCの未公開株詐欺集団の一員であることを疑わせ、
      また、詐欺集団に関与しているかのように決め付ける記載のある
      本件各ファクシミリ文書を含む同趣旨の多数のファクシミリ文書を
      送信し、1審原告会社の臍帯血保管業務


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
     


   22ページ


      を混乱させる一方、1審原告会社の事業所に対しても、
      毎日のように、朝から夕方まで、頻繁に
      電話を架けてくるようになっただけでなく、
      対応に出た女性従業員に対して、
      「お前らみたいな会社はぶっつぶしてやる」などと暴言を吐いたり、
      その当時、CBCサポートの代表取締役に就いていた
      竹永幸弘に対して、
      「あんたの娘は石川県にいるよね。」などと
      脅迫まがいの発言をすることもあった
      (以下、これらの電話を「電話攻撃」ということがある。
      甲20、原審における1審原告会社代表者)。


   (ウ) そこで1審原告会社は、警視庁世田谷警察庁(刑事組織犯罪対策課)
      に対し1審被告から電話攻撃を受けているとして相談を持ちかけ、
      担当の刑事に依頼して、直接、1審被告からの電話に出て
      厳重注意をしてもらうなどした。  
      すると一時は1審被告からの電話攻撃は収まったものの、
      暫くすると再び頻繁に電話がかかって来るようになったため、
      1審原告会社は、改めて同刑事に依頼して、
      1審原告会社に電話をかけないように1審被告に約束させるとともに、
      石川県警察の所轄警察署にも依頼して、
      担当者に1審被告宅に出向いてもらい、
      1審原告会社への嫌がらせを止めるよう注意してもらったところ、
      1審被告は、1審原告らに対し、インターネットを利用して、
      本件各書き込みを行なうようになった。
      (甲14の1ないし3、15、25、ないし27、32、
      原審における1審原告会社代表者)。

   イ この点に関し、1審被告は、1日に何度か電話をかけた程度であって、
     1日に100回近くも電話をかけたことはなく、
     それも、1審原告会社が存在しなくなっていないか
     不安に思ったため電話をしただけであるとか、      
     1審原告らが未公開株詐欺を働いているとの内容の
     ファクシミリ文書を送信したことはないなどと主張し、
     原審の本人尋問等においてこれに副う供述等をしているが、


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


   23ページ

      前記1で検討したとおり、1審被告が、
     読み手に1審原告らが未公開株詐欺を働いているとの
     印象を持たせかねない内容の本件各ファクシミリ文書を
     送信したことは紛れもない事実である上、
     1審原告らに対する電話攻撃の頻度やその内容が
     1審被告が主張する程度のものでないことは、
     上記(1)のア(ウ)で認定した警察の対応からも
     明らかというべきであるから、
     1審被告の上記供述等は到底信用し難く、
     他に、上記(1)の認定を左右するにに足る証拠はない。


(2)  上記認定事実1によると、1審被告は、
    CBCの代表取締役等の死亡により、
    CBCの経営が事実上破綻したことを機に、
    批判の矛先を1審原告らに向け変え、
    1審原告会社の代理店等に対して、
    1審原告らがCBCの未公開株詐欺集団の一員であることを疑わせ、
    また、詐欺集団に関与しているかのように決めつける内容の
    本件各ファクシミリ文書を含む同趣旨の
    多数のファクシミリ文書を送り付けるとともに、
    1審原告会社の事務所に対しても、
    毎日のように、朝から夕方まで、頻繁に電話を架けただけでなく、
    対応に出た女性従業員に対して
    「お前らみたいな会社はぶつぶしてやる。」などと暴言を吐いたり、
    CBCサポートの代表取締役に対して、
    「あんたの娘は石川県に居るよね。」などと
    脅迫まがいの発言をするなどとして
    1審原告らに警察対応を余儀なくさせ、
    実際にこれに応じて動いた警察から
    1審被告は厳重注意を受けたというのであるから、
    かかる1審被告の一連の言動は、いたずらに
    1審原告会社の業務(とりわけ臍帯血保管業務)を混乱させ、
    その円滑な遂行を妨げる営業妨害行為に当たるというべきであって、
    不法行為が成立する。


 4 争点3-本件各書き込みによる名誉及び信用毀損の成否

    
 (1) 争点3の(1)ー本件各書き込みが
    1審原告らの名誉及び信用を毀損するか否か


   ア 本件各書き込みの内容並びに前提事実(5)及び(6)において
    認定した経緯に


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


  24ページ

    照らすと、本件書き込みは、
    1審原告らへの本件各ファクシミリ文書の送信や
    1審原告会社に対する電話等による業務妨害の
    延長線上にある一連の行為というべきであって、 
    1審原告らが未公開株に関する詐欺行為を行ったと決め付けた上、
    これに関連する事実関係を暴露し、
    上記認識を広めることを目的として作成、
    掲載された文書であると見るのが自然である。

     以下、本件書き込みについて、
    一般の読者の普通の注意と読み方を基準として、
    これらの文書に1審原告らの名誉及び信用を毀損する内容の
    記載が含まれているか否かについて検討する。


   イ(ア) 本件書き込み1ないし3及び6ないし8についてみると、 
    証拠(甲7及び14の各1ないし3)及び弁論の全趣旨によれば、
    本件書き込み1ないし3及び6ないし8中の
    「FGK」が1審原告会社を指し、
    「窪田」、「くぼた」等が1審原告窪田を指していることは
    十分に認識することが可能であるところ、
    上記の各証拠及び弁論の全趣旨によれば、
    本件書き込み1ないし3及び6ないし8は、いずれも、
    「民間さいたい血バンク株式会社シービーシーの代理店
    ー@未公開株道場」(甲14の1)、
    「民間さいたい血バンクCBC未公開株詐欺
    ー@未公開株道場」(甲14の2)
     及び「幹細胞再生医療集団詐欺株式会社シービーシー
    ー@未公開株道場」(甲14の3)という
    タイトルのスレッド内に書き込まれている上、
    そのスレッド内にはCBCの未公開株の出資金詐欺に関する
    多数の書き込みがされているほか、
    「悪徳マルチ」や「ウソの説明を受けています」、 
    「CBC代理店から巻き上げたお金 約2億はここに」、
    「詐欺行為」及び「投資詐欺」との記載が散在していること、
    そして、上記書き込み自体にも、
    「シービーシーは消える予定でした」、
    「代理店結集して、FGKに代理店加盟金返還請求してください」など
    CBCの未公開株の出資金詐欺に関連して、
    CBCに代わって1審原告会社に


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


  25ページ

対する責任追及しているとしか取りようのない記載まで
    存在していることが認められる。
    そうすると、一般閲覧者の普通の注意と読み方からすれば、
    「悪徳マルチ」及び「ウソの説明受けています」という記載は、
    読み手に対して1審原告らが詐欺行為の一環として
    違法なマルチ商法を行い、
    嘘の説明を行っているという印象を
    強く植え付けるものであって、
    1審原告らの社会的評価を低下させるというべきである。
     また、本件書き込み1ないし3及び6ないし8の中の
    「窪田は悪徳マルチ、クラブイッツのトップ」
    及び、「シービーシー、FGK、ときわ会は初めからつなッがてます、
    宍戸親子が死亡したことは予定外ですが、
    器材も人材も、ときわ会のものになり、
    シービーシーは消える予定でした。・・・目論見済みです。
    代理店結集して、FGKに代理店加盟金返還請求してください。」との
    記載は、一般閲覧者の普通の注意と読み方からすれば、
    悪徳マルチなどの違法行為を行っている会社のトップである
    1審原告窪田及び同1審原告が経営する1審原告会社が、 
    CBC及び上記ときわ会と共に未公開株詐欺を行っているとした上、
    経営が事実上破綻したCBCに代わって、 
    1審原告らに対し、代理連加盟金を請求するよう
    促しているように受け取れる。
     そうすると、上記書き込みも、
    1審原告らが未公開株詐欺に加担しており、
    1審原告窪田が首謀者として、
    1審原告会社の代理店から金銭を搾取するなどの
    犯罪行為に関与しているといった印象を与えるものといえ、
    1審原告らの社会的評価を低下させるものである。


    (イ) もっとも、この点、1審被告は、
    「悪徳マルチ」とは、1審原告窪田がマルチ商法をしていた
    クラブイッツのトップであったことを記載したものであり、
    CBCの未公開株詐欺とは関係ないと主張し、
    原審の本人尋問において、これに副う供述等をしているが、
    一般の読者の普通の注意と読み方を基準として、
    本件書き込み1の内容をその前後の文脈



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 26ページ

を含めて検討すると、1審原告らが詐欺行為の一環として
    違法なマルチ商法を行っているという
    虚偽の事実を摘示しているという印象を
    与えるものであることは否定できない。
     また、1審被告は、「ウソの説明受けています」とは、
    1審原告会社が1審原告会社の代理店に対し、
    高崎市所在のCBCの臍帯血保管施設につき
    衛生検査所登録が休止になっているのにも拘わらず、
    CBCサポートがそのことを隠し、
    CBCが衛生検査所登録を続けるているかのように
    装った旨を述べたものであると主張し、
    原審の本人尋問等でも、これに副う供述等をするが、
    甲7及び14の各1ないし3を精査しても、
    上記書き込みの前後の文脈に、
    そのような1審原告の意図を読み取ることができる説明を
    した文章は見当たらず、
    他に、上記書き込み部分を1審被告が主張するような意味に
    解することを可能にする証拠はない。

     更に、1審被告は、
    一般閲覧者は、本件書き込み1ないし3を見ても、
    1審原告らが未公開株詐欺に加担しているとは受け取らない、
    スレッドの中では、すべてがタイトルに関することを記載すると
    いうわけではないと主張するが、
    本件各書き込み(甲7の1ないし3)の内容を精査しても、
    スレッド内の記載が、がタイトルとは関係がないということを
    説明する部分は見当たらないのであって、上記記載は採用できない。
     なお、1審被告は、本件書き込み6ないし8について、
    いずれの記載についても未公開株詐欺とは関係がなく、
    一般の閲覧者は、1審原告らが詐欺その他の違法行為により
    代理店から金銭を詐取しているとか、
    1審原告らが投資詐欺を行なっているなどどは受け止めないと主張するが、
    一般の読者の普通の注意と読み方を基準とする限り、
    上記の各書き込みについて、
    そのような理解が成り立たないのは明らかである。  
     以上によれば、1審被告の上記主張は、
    いずれも上記認定、判断を左右しない。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 27ページ

  ウ 本件書き込み4について
  
   (ア) 証拠 (甲8)によれば、
     本件書き込み4の中にある「窪田」が1審原告窪田を指していることは、
     他の書き込みも合わせて読むことにより、
     十分に認識することが可能であると認められるところ、
     同じスレッドの一つ前 の書き込みにも
     「CBCが実際は悪いわけではありません。
     実情として詐欺行為すべてを動かしている会社は、
     株式会社FGKの窪田という男になります。」との記載が
     あることも考慮すると、
     一般の読者の普通の注意と読み方からすれば、
     本件書き込み4も、
     CBCの未公開株詐欺に関連する記載であることが優に窺われ、
     読み手に対して、
     1審原告窪田ひいては1審原告窪田が代表取締役を務める1審原告会社が、
     詐欺の一環として違法なマルチ商法を行っているという事実を
     強く印象づけるものであって、
     本件書き込み4も、1審原告らの社会的評価和低下させるというべきである。

  (イ) もっとも、1審被告は、本件書き込み4の
     一つ前の書き込みをしたことを否定した上、
     1審原告らが詐欺行為をした事は記載していない旨主張するが、
     証拠(甲8、原審における1審被告人(尋問調書20貢))によれば、
     本件書き込み4が
     CBCの未公開株詐欺に関連して記載されたものであることは明らかであって、
     これを否定する供述は見当たらないのであるから、   
     1審被告の上記主張は採用の限りではない。


  エ 本件書き込み5について 
   
     証拠(甲13、33)によれば、
    本件書き込み5の中にある「窪田」が1審原告窪田を指していることは、
    同書き込みがされた「あぐら物語日記 隠れているものは、見たい」 という  
    ブログのスレッド内における他の書き込みを合わせて読むことにより、
    十分に認識することが可能であると認められるところ、
    本件書き込み5がされた上記 スレッドを精査すると、
    同ブログの10貢と 11貢に
    「詐欺集団のシービーシー親子とその関係者達



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 28ページ

    が問題でした・・・シービーシー未公開株詐欺犯罪以来
     まだ続いています」とか、 
     シービーシーを調べなかった窪田にも責任はないのですか」と
     いった記載があるだけでなく、
     その9ないし12貢及び15貢の
     同ブログの管理人と控訴人のやり取りの中に、
     したらば掲示板の
     「民間さいたい血バンクCBC未公開株詐欺ー@未公開株道場」
     (甲7の2、14の2)、
     「幹細胞再生医療詐欺集団詐欺株式会社シービーシーー@未公開株道場」
     (甲7の3、14の3)という
     タイトルのスレッドのURLが記載されており、
     これをクリックすることにより容易に上記イで認定した
     1審原告らの名誉を毀損する書き込みにアクセスすることが
     可能であったことなどに照らすと、
     上記スレッド内に「悪徳マルチ」との記載があれば、
     その記載は、読み手に対して、少なくとも
     1審原告らが詐欺行為の一環として違法なマルチ行為を行っている
     との印象を与えるものであると認められ、本件書き込み5も1審原告ら
     の社会的評価を低下させるものというべきである。


  オ 本件書き込み9について
    
  (ア) 証拠(甲15)によれば、本件書き込み9の中にある
     「フューチャーイング・ゲート・クボタ」及び「FGK」が
     1審原告会社を指していること、
     「窪田好宏」が1審原告窪田を指していることは、
     十分に認識することが可能であると認められるところ、
     証拠(甲15原審における1審被告本人)
     及び弁論の全趣旨にによれば、   
     本件書き込み9に係るスレッドの最初の書き込みは
     1審被告自身が行っている上、
     「フューチャーイング・ゲート・クボタ FGK エフジーケー|
     詐欺被害相談」という
     タイトルのスレッド内においてなされており、
     しかも、そのスレッド自体には 
     1審原告らが詐欺を行っているという記載があること、
     そして、このスレッド内にも、
     「無登録のFX取引業者」及び「シービーシーの周りは
     マルチぼけの詐欺集団ばかり」との記載があることが認められる



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 29ページ

     のであるから、
     一般の読者の普通の注意と読み方からすれば、
     これらの記載も、読み手に対して、
     1審原告らが詐欺その他違法行為を働いているとの
     印象を与えるものであって、
     1審原告らの社会的評価を低下させるものというべきである。


 (イ) もっとも、1審被告は、
     「無登録のFX取引業者」は、未公開株詐欺とは関係がないし、
     1審原告らのことを述べたものではないとか、
     「シービーシーの周りはマルチぼけの詐欺集団ばかり」との
     記載があっても、
     一般閲覧者は1審原告会社が詐欺を行ったとは思わないなどと主張
     するが、上記のとおり、これら記載は
     「フューチャーイング・ゲート・クボタ FGK エフジーケー
     |詐欺被害相談」という
     タイトルのスレッド内に書き込まれているところ、
     このスレッド自体にも、
     1審原告らが詐欺を行っているとの表示がされていることが認められ、
     このような事実に照らすと、
     1審被告の上記主張も採用の限りではない。


   カ 以上のとおり、1審被告がした本件各書き込みは、
    いずれについても1審原告らの名誉を毀損する行為に該当する。
    そして、その記載内容に照らすと、
    1審原告らの信用を害することも明らかというべきである。
     なお、1審被告は、自己が未公開株詐欺に関する書き込みをする際、
    閲覧者に対して、1審原告会社が未公開株詐欺に加担しているような
    誤解を与えないようにするため、敢えて、
    「株式会社フューチャーイング・ゲート・クボタ(FGK)と
    株式会社フューチャーイング・ゲート・クボタ(FGK)の代理店が
    「CBC」に未公開株詐欺にか関わっていると  
    主張しているものではありません。」と   
    注意書きをしていると主張し、
    甲25の52貢に上記記載がある旨を指摘するが、
    証拠(甲25、49貢)によれば、上記記載は、
    本件書き込みが行われてから1年以上も経過した後である
    平成27年6月13日になされたものであると認められるから、
    上記判断を何ら左右しない。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 30ページ

     
 (2) 争点3の(2)ー本件各書き込みに係る違法性阻却事由の有無


   ア 本件各書き込み1ないし4について

    (ア) 「窪田は悪徳マルチ、クラブイッツのトップ」との書き込み部分
       1審被告は、前記第2の4(5){1審被告の主張}に記載のとおり、
       上記書き込み部分には違法性阻却事由が認められる旨主張する。
        確かに書き込み部分は、
       証拠等をもってその存否を決することが可能な他人に関する
       特定の事項に当たるところ、
       上記書き込み部分の摘示事実は、その内容・性質から見て、
       1審被告が主張するとおり
       「公共の利害に関する事実」に当たり、
       かつ、その書き込みの目的は
       「専ら公益を図ること」にあることができる。
        そこで、上記摘示事実の真実性が問題となるが、
       この点、1審被告は、
       1審原告会社の代理店・・及び・・が
       上記摘示事実を裏付ける供述をしていたと主張し、
       原審の本人尋問においても、これに副う供述をしているが、
       いずれも単なる伝聞ないし推測の城を出るものではなく、
       他に、上記摘示事実が真実であることを認めるに足る証拠はなく、
       また、1審被告において、上記・・らの供述の信用性について
       慎重に検討を加えた形跡が全く窺われないことなどに照らすと、
       上記摘示事実を真実だと信じたことに
       「相当な理由」があるということはできない。
        以上によれば、本件書き込み1ないし4の上記部分の
       違法性阻却事由に関する1審被告の主張は採用の限りではない。


   (イ) 「代理店の皆様は、くぼたから、ウソの説明を受けています」との
       書き込み部分 
        1審被告は、前記第2の4(5){1審被告の主張}
       (引用に係る原判決第2の4(4))のとおり、
       上記書き込み部分には違法性阻却事由がある旨主張する。
        そこで、平成9年判例法理①及び②に基づいて検討すると、
       上記書き



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 31ページ     
   
     
       込み部分は、
      1審被告からどのような嘘の説明を受けているのかが
      文章自体からは明らかとはいえないから、
      その内容が証拠等をもってその存否を決することが可能な他人に関する
      特定の事項を摘示するするものということはできず、
      1審原告らを「嘘つき」であると決め付ける意見
      ないし論評に準じて考えるのが相当であるところ、
      その前後の文脈を精査しても、
      1審被告が主張する上記事実を間接的ないしえん曲的に表現した記載、
      あるいは、これを黙示的に表現したものと認めるに足る記載はなく、
      CBC未公開株詐欺の出資金詐欺事件に関する情報提供をしつつ
      意見表明をしたものと理解できるから、
      本件書き込み1ないし4の上記書き込み部分は、
      事実を摘示しての名誉毀損には当たらない。
      そして、1審被告が主張する上記事実が、
      本件書き込み1ないし4の上記書き込み部分の
      重要な前提事項であったと認めるに足る証拠はないから、
      結局、上記書き込み部分の
      違法性を阻却する事由があるということはできない。


   (ウ) 「シービーシー、FGK、、ときわ会は初めからつなッがてます、
      宍戸親子が死亡したことは予定外ですが 
      器材も人材も、ときわ会のものになり、シービーシーは消える予定でした。
      ・・・目論見済みです。
      代理店結集して、FGKに加盟金返還請求してください」との
      書き込み部分  
       1審被告は、前記第2の4(5){1審被告の主張}に記載のとおり
      上記書き込み部分には違法性阻却事由がある旨主張する。
       確かに、上記書き込み部分は、
      証拠等をもってその存否を決することが可能な他人に関する
      特定の事項に当たると解されるところ、
      上記書き込み部分の摘示事実は、
      一般閲覧者の普通の注意と読み方からすれば、
      1審原告会社、CBC及びときわメディックスは、
      当初から未公開株の出資金詐欺に繋がっており、
      ときわメディックスに器材も人材も引き継がれることが
      予定されていたというものであると解されるから、
      その内容・性質から見て、
      1審被告が主張するとおり「公共の利害に関する




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 32ページ     
   
     
       事実」に当たり、
       かつ、その書き込みの目的は「専ら公益を図ること」にあると
       いうことができるものの、
       かかる摘示事実が真実であることを認めるに足る的確な証拠はなく、
       また、これを真実だと信じたとしても、そのように信じたことについて
       「相当の理由」があると認めるに足る証拠はない。


   イ 本件各書き込み5ないし9について


    (ア) 「窪田は悪徳マルチ、クラブイッツのトップ」との書き込み部分
        1審被告は、前記第2の4(5){1審被告の主張}に記載のとおり
       上記書き込み部分には違法性阻却事由がある旨主張する。
        上記書き込み部分は、   
       証拠等をもってその存否を決することが可能な他人に関する
       特定の事項に当たると解されるところ、
       上記書き込み部分は、その内容・性質からみて、
       1審被告が主張するとおり
       「公共の利害に関する事実」に当たり、
       かつ、その書き込みの目的は
       「専ら公益を図ること」にあるということができるが、
       かかる摘示を真実であると認めるに足る的確な証拠はなく、
       また、これを真実だと信じたとしても、 
       そのように信じたことについて「相当な理由」があると
       認めるに足る証拠はない。

   
    (イ) 「CBC代理店から巻き上げたお金 二億円はここに」との
       書き込み部分 
        1審被告は、前記第2の4(5){1審被告の主張}に記載のとおり 
       上記書き込み部分には違法性阻却事由がある旨主張する。
        上記書き込み部分は、   
       証拠等をもってその存否を決することが可能な他人に関する
       特定の事項に当たるところ、
       上記書き込み部分は、その内容・性質からみて、
       1審被告が主張するとおり
       「公共の利害に関する事実」に当たり、
       かつ、その書き込みの目的は
       「専ら公益を図ること」にあるということができるが、
       かかる摘示を真実であると認めるに足る的


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 33ページ     
   
     
       確な証拠はなく、
       また、これを真実だと信じたとしても、 
       そのように信じたことについて「相当な理由」があると
       認めるに足る証拠はない。


    (ウ) 「詐欺」及び「投資詐欺」との書き込み部分
        1審被告は、前記第2の4(5){1審被告の主張}に記載のとおり 
       上記書き込み部分には違法性阻却事由がある旨主張する。
        そこで検討すると、「詐欺」あるいは「投資詐欺」という
       記載は、それだけでは
       証拠等をもってその存否を決することが可能な他人に関する
       特定の事項に当たらないというべきであるが、
       ただ、その前後の文脈等からみて、1審原告らがCBC未公開株
       の出資金詐欺に関与していることを黙示的に主張しているものと
       理解することができるから、上記書き込み記載は事実を適示しての
       名誉毀損に当たるものと解されるところ
       (平成9年判例法理①)、
       その適示された事実の内容・性質からみて、「公共の利害に関する事実」
       に当たり、(事実の公共性)、かつ、その目的が
       「専ら公益を図ること」(目的の公益性)にあったものということが
       できるが、かかる適示を真実であると認めるに足る的確な証拠
       はなく、また、これを真実であると信じたとしても、そのように
       信じたことにつき「相当な理由」があると認めるに足る証拠はない。


    (エ) ①「フューチャーイング・ゲート・クボタ FGXの代表 窪田好宏
         が行っている、無登録のFX取引業者です。」
         及び、②「シービーシーの周りはマルチぼけの詐欺集団ばかり」。
         との書き込み部分

          1審被告は、前記第2の4(5){1審被告の主張}に記載のとおり 
         上記①及び②の各書き込み部分には、
         いずれも違法性阻却事由がある旨主張する。
         上記書き込み部分は、
         証拠等をもってその存否を決することが可能な他人に関する
         特定の事項に当たると解されるところ、
         上記各書き込み部分は、その内容・性質からみて、
         1審被告が主張するとおり「公共の利


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


34ページ     
   
     
      
       害に関する事実」に当たり、
       かつ、その書き込みの目的は
       「専ら公益を図ること」にあるということができるが、
       ただ、以上の各摘示を真実であると認めるに足る
       的確な証拠はなく、
       また、これを真実だと信じたとしても、 
       そのように信じたことについて「相当な理由」があると
       認めるに足る証拠はない。



 (3) 結論

     以上によれば、本件各書き込みについて、
    1審被告の主張する違法性阻却に関する抗弁は
    いずれも理由がないから、
    本件書き込みは、1審原告らの名誉を毀損するものとして、   
    不法行為を構成する。

    
5 争点4ー1審原告らに生じた損害の有無及びその額


 (1) 認定した事実(以下、「認定事実2」という。)

    上記1ないし3の各検討によれば、 1審被告は、

    ①本件各ファクシミリ文書の送信により、
     1審原告らの名誉及び信用を毀損し、

    ②インターネット(掲示板)上への本件各書き込みにより、
     1審原告らの名誉及び信用を毀損したほか、
     上記①②に加えて

    ③本件各ファクシミリ文書の送信や電話攻撃によって
     1審原告の業務を妨害したことが認められる。

 
     そこで以下、かかる1審被告による一連の不法行為によって
    1審原告らが被った損害について検討すると、
    前提事実のほか、掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば、
    前提事実(2)ないし(5)の事実ほか、以下の事実が認められる。


    ア 1審被告による上記一連の
     名誉・信用毀損及び業務妨害行為が続いている間、
     1審原告会社においては、活動を停止する代理店が相次ぎ、
     代理店契約や臍帯血保管契約の希望者が、
     契約を取りやめたり、
     連絡を取ろうとしなくなるという事態が続いた。

     その結果、これらの契約件数も前年
     (平成23年12月から平成24年4月頃)に比べ減少し、
     その結果、同年1月ころには、
     1審原告会社は、臍帯血保管事業を継続することができなくなった。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


35ページ
     
   イ 1審原告会社は、1審被告によるインターネット上の
     掲示板への書き込みを削除するため、
     専門家に対して相談を持ちかけ、
     相当の対策を講じて一定程度削除を終えた。     
     (甲19の1・2・20・34・原審における1審原告会社代表者)。


(1) 1審原告会社の損害


    ア 得べかりし利益の喪失


      1審原告会社は、1審被告が行った
     上記一連の不法行為により、営業活動ができなくなり、
     平成25年11月を持ってやむなく事業譲渡を行わざるを得なくなり、
     当初予定していた代理店数(800件)は
     平成24年4月末時点で半数以下の323店にとどまり、
     登録1年後から支払われることが予定されていた更新料
     (年3000円)も取得できなかったと主張し、
     1審原告会社代表者は、原審における本人尋問において、
     これに副う供述をするとともに、
     同旨の陳述書(甲20)を作成、提出する。
      確かに、1審原告会社の臍帯血保管事業は
     所期の目的を達することなく中途でとん挫したが、
     その原因としては、
     1審被告の上記一連の各不法行為の影響が考えられるものの、
     最初に臍帯血保管事業を計画し、その展開を企図していたCBCが、
     代表取締役等の相次ぐ死亡により経営破綻したことが
     相応に大きな要因であると考えられるのであって、
     1審原告会社が主張する得べかりし利益の喪失が、
     専ら1審被告の上記一連の各不法行為により
     生じたものとみることには無理があるから、
     1審原告窪田の上記供述をたやすく信用することはできない。
      もっとも、1審原告会社の上記事業計画が
     とん挫した原因の一つとして、
     1審被告の一連の上記各不法行為が
     何らかの影響を及ぼしていることは
     否定できないと解されるが、
     それが1審原告会社主張の得べかりし利益の喪失に
     具体的にどの程度寄与していたかは
     本件全証拠によっても明らかになっているとはいえない。
     そうすると、この点は、後に検討する
     「1審原告



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


36ページ
     
     会社の社会的信用の失墜及び業務妨害による損害」の額の
     一認定資料として斟酌するにとどめるのが相当である。


    イ 書き込み削除費用

     認定事実2のイによると、1審原告会社は、
     本件書き込みを含め、
     1審被告のインターネットへの書き込みを削除するため、
     専門の業者に対して、対策を依頼し、
     一定の書き込みを削除したこと窺われるものの、
     具体的にどの程度の費用を現実に出損したかについて
     的確な証拠はない。

     そこで、この点についても、以下において検討する

    「1審原告会社の社会的信用の失墜及び業務妨害による損害」の額の
     一認定資料として、本件各書き込み等を削除するための
     対応等を余儀なくされたという事実を斟酌するのが相当である。


しんしゃく
【斟酌】
《名・ス他》あれこれ見計らって手加減すること。
?先方の事情をくんでやること。?「この点を―して今度だけは許す」
?条件などを考え合わせて適当に処置する。?「双方の言い分を―する」





   ウ 社会的信用の失墜及び業務妨害による損害

     1審原告会社は、1審被告による上記一連の不法行為
     (電話攻撃等による業務妨害、
     本件各ファクシミリ文書の送信及び本件各書き込み)によって、
     その社会的信用は大きく低下したと認められる。
     この点に関し、1審原告らは、
     1審原告会社の店舗を移転するための移転先を探そうとしても、
     不動産会社からインターネット上の書き込みを理由に
     不動産会社の審査が通らなかったとか、
     1審原告会社の代表者である1審原告窪田が
     全国にある代理店を直接訪問し、
     1審被告の上記一連の不法行為に関する状況説明と
     謝罪を余儀なくされたとか、
     臍帯血保管事業から撤退した現在も
     新規事業を行うことすらままならなず、
     円滑な経済活動を行うことができない状況が続いているとか、
     1審被告の電話攻撃により業務の遂行が著しく妨害され、
     女性社員がノイローゼになり欠勤する事態などが発生した
     などと主張して、
     原審における1審原告会社代表者尋問において、
     これに副う供述をしている。
      しかし、上記の各損害について、
     1審原告窪田の供述以外にこれを裏付
   

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


37ページ


     ける客観的な証拠がないことに加え、
     上記アで検討したとおり、
     1審原告会社が挙げる具体例の原因が、
     専ら1審被告の上記一連の不法行為にあるかは
     必ずしも明らかではなく、 
     また、本件各ファクシミリ文書の送信や電話攻撃が原因で
     女性従業員がノイローゼになり欠勤を余儀なくされたことを
     裏付けるに足る的確な証拠があるわけではなく、
     また、その業務妨害の程度がどの程度のものであったかを
     推知させるに足る客観的な証拠の提出もないのであって、
     1審被告窪田の上記供述をそのまま採用することはできない。
      もっとも、認定事実2によれば、

    ① 1審被告が行った上記一連の各不法行為
     (電話攻撃等による業務妨害、
     本件各ファクシミリ文書の送信及び本件各書き込み)は、
     世田谷警察署や石川県警察に所轄警察署から
     厳重注意があったにも拘わらず、
     不法行為として認定した期間だけでも
     2年以上にわたって繰り返されたものである上、

   ② その内容も事実的根拠に欠ける悪質なものが殆どで、
     単なる誹謗中傷ないしは人身攻撃にすぎないと思われるものも
     多々含まれていること、そして、

   ③ とりわけ本件書き込みに関しては、
     インターネット上の掲示板を利用して
     少なくとも1年以上にわたり繰り返されたものであって、
     そこでの書き込みは情報として拡散され、
     1審原告会社の営業活動に何らかの悪影響を
     及ぼしたことは否定し難いことなどの事情を総合すると、
     かかる1審被告の上記一連の不法行為により
     1審原告会社の名誉及び信用は害され、
     かつ、その業務の円滑な遂行が妨げられたことによって
     無形の損害が発生したものと認められる。
     そして、その損害は、上記不法行為の内容・程度・態様・期間、
     被害法人に対する影響等からみて
     金銭的評価が可能というべきであるから、
     1審原告会社は、上記無形の損害につき、
     民法709条、710条により、
     1審被告に対して不法行為に基づく損害賠償を
     請求することができるものと解されるところ
     (最高裁昭和39年1月28日
     第小法廷判決・民事18巻1号


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
     


38ページ


     136貢)、
     その額は、上記①ないし③及び上記ア及びイにおいて
     指摘した各事情を考慮すると、150万円が相当と判断する。
     そして、本件事案の難易度、請求額、許容された額、
     その他の証拠等から認められる諸般の事情に照らして、
     1審被告の上記各不法行為と
     相当因果関係のある弁護士費用としては
     認容額の1割に相当する15万円と認めるのが相当である。


 (3) 1審原告窪田の損害

 
    ア 認定事実2のとおり、1審原告窪田は、
     1審被告の上記一連の不法行為
     (本件各ファクシミリ文書の送信及び本件各書き込み)により、
     その名誉及び信用を毀損されたことが認められ、
     その加害行為の内容・程度等に照らすと、
     これに対する慰謝料の額は50万円が相当である。
     そして、本件事案の難易度、請求額、容認された額、
     その他の証拠等から認められる諸般の事情に照らして、
     1審被告の上記各不法行為と
     相当の因果関係のある弁護士費用としては
     認容額の1割に相当する5万円と認めるのが相当である。


    イ なお、1審原告窪田は、
     個人として独自のブランドを立ち上げ、
     ブレスレットや財布を販売しようと考え、
     商品開発・製造まで終わっていたのに
     1審原告窪田の名前を出して販売することができなくなり、
     デパートに出店する予定であったが
     取りやめとなってしまうなど
     事業活動を著しく阻害された旨主張し
     これに沿う供述をするが、
     裏付けとなる客観的な証拠を欠いており、
     直ちにこれを採用することはできない。




6 結論
  以上に認定、説示したとおりであって、1審原告らの本件各請求は、
 1審被告に対して、不法行為に基づく損害の賠償として、
 1審原告会社については合計165万円、
 1審原告窪田については55万円及びこれらに対する不法行為の後で
 ある平成26年5月16日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで
 いずれも民法所定の年5分の割合による遅廷損害金の支払いを
 求める限度で理由



ーーーーーーーーーーーーーーーー


39ページ


 があるからこれを認容し、その余の請求は
 いずれも理由がないからこれを棄却すべきものとする。



第4 結語


   以上の次第であるから、上記第3の6に示した当番の判断と
  一部結論を異にする原判決はその限度で変更を免れず、
  したがって、1審原告会社の本件控訴に基づいて
  原判決中1審原告会社に関する部分を
  当番判決主文1項のとおり変更し、
  1審原告窪田及び1審被告の本件各控訴は
  いずれも理由がないからこれらをいずれも棄却として、
  主文のとおり判決する。





東京高等裁判所第9民事部
裁判長裁判官 奥田正昭
裁判官    石井浩
裁判官    伊良原恵吾



ーーーーーーーーーーーーーーーー



これは正本である。  
平成28年7月20日
東京高等裁判所第9民事部
裁判所書記官 林薫   印
 
     


















民間さい帯血バンクを選ぶポイント5

2017-02-25 13:30:03 | 日記


国民的な問題、
厚生労働大臣に対する
背任行為


事務所概要
事務所名
光伸法律事務所
所在地
〒160-0015 東京都新宿区大京町22-2
大京町PJビル3階
連絡先
TEL:03-5363-5371
FAX:03-5363-5374

松村 光晃
山下幸夫
石井 城正
成松 昌浩



背任行為

読み方:はいにんこうい

与えられた任務を遂行しないこと。単に背任とも言う。

民間さい帯血バンクを選ぶポイント4

2017-02-25 12:43:20 | 日記
本訴状と仮差し押さえ訴状内容を異にし、
証拠も見ながら、受取拒否し、金のために、
主張を変えない
汚い手口の


事務所概要
事務所名
光伸法律事務所
所在地
〒160-0015 東京都新宿区大京町22-2
大京町PJビル3階
連絡先
TEL:03-5363-5371
FAX:03-5363-5374

松村 光晃
山下幸夫
石井 城正
成松 昌浩



今後も弁護士活動をするなら
自分のしたことが、どういう事か
考えたほうがいいですよ。






平成22年2月
社団法人日本産婦人科医会 母子保健部

臍帯血バンクに係わる諸問題


保管先が「さい帯血プライベートバンク」の場合、
患者さんが個別に保存管理状況や経理状況まで調べることは事実上
不可能
であるので、もし不祥事や企業の破綻が発生した場合に、
産婦人科医に道義的責任を求められることが危惧されます



平成二十四年七月二十三日提出
質問第三五〇号
私的さい帯血バンクの実態に関する再質問主意書
提出者  阿部知子



(記者)
民間のさい帯血バンクについてですが、
先日茨城の方で民間バンクが破綻し千五百人分のさい帯血が、
行き場を失ってしまったという報道があったのですが、
こうした民間バンクについて参入の規制がないので、
誰でも参入出来てしまうということで、
ハードルが非常に低い
ということがあるようですが、
そうした規制の要不要について大臣のお考えをお聞かせください。


長妻(大臣)
民間バンクについて、今まできちんとした統計がなされていないと
考えておりますので、全国の民間バンクについてまずは具体的に
どういう件数で、どういうお仕事をされていてということをさらに
詳細に把握をして、その件を含めて対応を考えて行きたいと
本日指示して行きたいと思います。(厚生労働省HPより、引用終わり)

長妻大臣の指示は、明確に「民間バンクの件数」と
「業務内容」について詳細に調査把握せよと理解できる






乙第3号証
ときわの訴状(高崎で検査するのに衛生検査所登録が必要だとの証拠)

大阪 大正区 ときわ病院
民間臍帯血バンク ときわメディックスからの訴状





資料① 15ページ常磐会からの訴状)

臍帯血保管事業を行う上で各種検査をするためには、
登録衛生検査所としての許可を受ける必要があった。
この許可のためには、人員構成として指導監督医を置く必要があり、
訴外CBCにおいては原告常磐会の中川泰一がこれを務めていた







本人尋問

原告弁護士 松村 光晃 から被告への質問
25ページ
G
登録が休止されている施設では、どんな検査がされたか分からないから
危険だ、移植に使えない、というふうにかきこまれてますよね。
D
そうです。
G
先ほどから聞いていただいてたと思いますけども、衛生検査所の登録というのは、
外部からの検査を受託するためのもので、臍帯血保管事業を行う上では
登録自体は必要ではないのです。
D
CBCは違います。

G
どうしてCBCは違うのですか。
D
常磐会の指導監督医中川さんの訴状にもあります。
「CBCの検査体制には、衛生検査所は必要だった。」と書いてあります。

G
それは訴状に書いていたということですか。

D
ええ、準備書面か訴状です。私もそう理解してました。
だから、そのために宣伝してたと思います。




1ページ


平成28年7月20日判決言渡し
 
同日判決原本交付 裁判所書記官
平成28年(ネ)第1321号 損害賠償請求訴訟事件 
(原審・東京地方裁判所平成26年(ワ)第9454号)

口頭弁論最終日 平成28年年5月16日

判決

東京都世田谷区成城4丁目38番6号
控訴人兼被控訴人(原告)
 
株式会社フューチャーイング・ゲート・クボタ
(以下「1審原告会社」と言う。)

同代表者代表取締役 窪田好宏
東京都世田谷区成城4丁目38番6ー213
控訴人兼被控訴人(原告)
窪田好宏
(以下「1審原告窪田」と言う。)


上記2名控訴代理人弁護士 
 松村光晃
同  石井城正
同  成松昌浩



被控訴人権控訴人(被告) 出口・
(以下「1審被告」と言う。)



   19ページ


     上記のとおり、本体ファクシミリ文書2の上記記載は、
     1審原告らの過去ないし現在の行状等の悪性を強調する意見
     ないし論評に当たると解されるところ、 

     1審被告の上記主張によれば、かかる意見ないし論評は、

     ① 1審原告らが、高崎の臍帯血保管設備につき、
       衛生検査所登録が休止されているにも拘らず、
       それを公表せずに臍帯血保管者を募っていること、

       1審原告のホームページに記載されている臍帯血保管事業に
       賛同しているとされる人の名前の中には全く臍帯血保管事業を
       知らず賛同していない人の名前も出ていること、

     ③ 1審原告会社の取引先として記載されていたネット学習塾とは
       実際には取引がなかったこと」を
       重要な前提事項としているものと解される。


      確かに、高崎の臍帯血保管施設につき
     衛生検査所登録が休止されていることが窺われるものの
     (原審における1審原告会社代表者及び1審被告各本人)、 
     原審における1審原告会社代表者の本人尋問の結果によれば、
     衛生検査所の上記登録がないと
     臍帯血保管事業を続けることができないというものではないと
     認められるから、
     1審原告らが、この衛生検査所登録の休止を公表せず
     臍帯血保管者を募ったとしても、
     そのこと自体は格別問題のある行為であるとは認められず、
     上記①の事実は、1審被告の上記意見ないし評論を基礎づける
     重要な前提事実を構成するものとはいえない。


      また、1審被告は、原審の本人尋問において、
     上記②③の各事実は真実であるとして、
     その根拠を縷々供述しているが、
     いずれも他者からの伝聞に基づくか、
     または推測ないし憶測に近いものというべきであって
     客観的な根拠に欠けており、
     これを直ちに信用することはできず、
     他に、上記②③の各事実を真実と認めるに足りる証拠はない。
     また、その供述内容から見ても、
     これを真実であると信じたことに
     「相当の理由」があるとは到底認められない。