少し偏った読書日記

エッセーや軽い読み物、SFやファンタジーなどの海外もの、科学系教養書など、少し趣味の偏った読書日記です。

刑務所の精神科医

2021-12-25 07:00:00 | 読書ブログ
刑務所の精神科医(野村俊明/みすず書房)

どこかで見かけたタイトルが、何となく気になっていて、図書館で見かけたので借りてみた本。

刑務所や少年院に勤務した経験を持つ精神科医のエッセー。

10年以上前に、「累犯障がい者」を取り上げた本が話題になったと記憶している。知的障がい者が万引きなどの罪を犯して刑務所に入って、出所しても福祉的なケアを受けることなく、またすぐに罪を犯して刑務所に戻ってしまう、そのような実態が放置されている、というような趣旨だったと思う。その後、刑務所を出るときに、福祉につなぐ仕組みも制度化されたようだが、たぶん、それですべて解決、というわけでもないのだろう。

この本では、精神障がい者の治療と刑罰をめぐる実態が描かれている。必ずしも累犯障がい者と同じ構造ではないが、結局、社会の歪みは、一番立場の弱い人たちのところで顕わになるのだなあと思う。あえて付記すれば、知的障がい者が精神障がいを併せ持つ割合は、かなり高い。

しんどい内容だし、手に入れにくいと思われるので、おススメはしません。おススメしない本を取り上げることも、たまにあります。ご容赦を。


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