濵地健三郎の呪(まじな)える事件簿(有栖川有栖/角川書店)
心霊探偵「濱地健三郎」シリーズの第三作。
短い期間で同じ作者の作品となるが、2021年3月に、第二作の『濱地健三郎の幽(かくれ)たる事件簿』を紹介しており、その続編。
ミステリ作家にホラーを書かせる、というのは、編集者の標準的な手口なのだろうか。気になる作家の短編集を読んでみると、実はホラーだった、という経験がある。このシリーズは、作者があとがきで書いているように、怪談のようでありミステリのようであり、結局そのどちらでもないところを狙っている。さらりとした読み口で、だからホラー嫌いの私でも楽しむことができる。
「視える」だけでなく、特別な力を行使することができる心霊探偵が、口コミを頼りに持ち込まれる心霊現象の謎を解き明かし、依頼に応える。今作は、すべてコロナ禍のさなかの事件を描いており、リモートワークや感染防止のための隔離などをテーマとする作品もある。いわば「コロナ編」というところだが、次作があるとすれば、脱コロナの世界であることを願う。
ところで、タイトルに使われている漢字が、第一作は「霊」、第二作が「幽」で、合わせて幽霊になることは、前回の記事で指摘しておいたが、今回は「呪」だから、第四作の候補としては、「怨」とか「詛」が思い浮かぶが、どうも適切な訓読みが見当たらない。
心霊探偵「濱地健三郎」シリーズの第三作。
短い期間で同じ作者の作品となるが、2021年3月に、第二作の『濱地健三郎の幽(かくれ)たる事件簿』を紹介しており、その続編。
ミステリ作家にホラーを書かせる、というのは、編集者の標準的な手口なのだろうか。気になる作家の短編集を読んでみると、実はホラーだった、という経験がある。このシリーズは、作者があとがきで書いているように、怪談のようでありミステリのようであり、結局そのどちらでもないところを狙っている。さらりとした読み口で、だからホラー嫌いの私でも楽しむことができる。
「視える」だけでなく、特別な力を行使することができる心霊探偵が、口コミを頼りに持ち込まれる心霊現象の謎を解き明かし、依頼に応える。今作は、すべてコロナ禍のさなかの事件を描いており、リモートワークや感染防止のための隔離などをテーマとする作品もある。いわば「コロナ編」というところだが、次作があるとすれば、脱コロナの世界であることを願う。
ところで、タイトルに使われている漢字が、第一作は「霊」、第二作が「幽」で、合わせて幽霊になることは、前回の記事で指摘しておいたが、今回は「呪」だから、第四作の候補としては、「怨」とか「詛」が思い浮かぶが、どうも適切な訓読みが見当たらない。