太陽系の謎を解く(NHK「コズミックフロント」制作班&緑慎也/新潮選書)
NHKの「コズミックフロント」で放映された内容を中心に、最新の研究、知見も加えて書き下ろした、太陽系研究の現在地を示す一冊。発刊は2022年6月。
主要な惑星ごとに、研究の進展状況と残された課題が記述されている。興味深い話題をいくつか。
土星の衛星には、生命(微生物レベル)が発生し得る環境があるように見えるが、生命は存在するのか。
火星には過去に水が存在し、地球よりも生命誕生に適した環境にあったらしい。もしかして私たちは火星で誕生した後、隕石に乗って地球にやってきたのか。
未知の惑星を探す試みには長い歴史があり、冥王星は準惑星に格下げされて決着がついたが、9番目の惑星を探す試みはまだ続いているようだ。
量子力学と宇宙物理学の発展によって、宇宙の始まりや終末について議論することができるようになったが、一方で、私たちにとって最も身近な「宇宙」である太陽系について、まだ未知の領域が非常に大きい、というのが、読後の率直な感想。
なお、この本は(宇宙物理学に関する本なので)、地球外生命は十分に存在し得るし、是非いてほしい、という立場のようにみえる。