量子超越(ミチオ・カク/NHK出版)
著者は、日系アメリカ人の理論物理学者で、超弦理論の創設者の一人。一般向けの科学解説書を多く書いていて、3年ほど前には、このブログで『神の方程式』を紹介した。
今回の著作は、量子コンピュータの歴史を解説した後、本格的に実用化されれば、どのようなことが可能になるか、というテーマの未来予想。
期待されることはたくさんある。生命誕生の謎の解明。人工光合成の実現。高性能な電池の開発。免疫系の解明と難病の克服。不老長寿。地球温暖化の解決。核融合発電の実用化。超弦理論の完成・・・
感想を少し。
量子コンピュータが発達すればすぐに実現可能、という話ではなく、現在のコンピュータでは不可能な計算やシミュレーションが可能になる、ということだろう。
光合成や窒素固定、そもそも生命そのものが、量子(力学)的な現象だ、という指摘に、なるほど、と思った。
巻末で、哲学的な色彩を帯びた4つの疑問(例えば「宇宙は量子コンピュータなのか?」)について考察しており、この部分だけでも、この本を読む価値がある、と思う。