ブラックホールは白くなる(カルロ・ロヴェッリ/NHK出版)
このブログで何度か取り上げた物理学者カルロ・ロヴェッリ氏の一般向け解説書。今回のテーマは、ブラックホールとホワイトホール。
ホワイトホールは、アインシュタイン方程式の解として考えられる天体で、ブラックホールを時間的に反転させたもの。ただし、ブラックホールの実在を疑う学者はほぼいないが、ホワイトホールはその実在を含めて不明なことが多いのが現状かと思う。
本書では、ダンテの『神曲』を引用しながら、ブラックホールの奥底に関する考察を進めていく。哲学や宗教、文学などの知見も取り入れ、幅広く知の探究を進めるのは、著者独特のスタイルか。
そして、タイトルが示すとおり、ブラックホールはホワイトホールになる、というのが著者の主張で、その詳細は本書に委ねたい。
感想をいくつか。
ホワイトホールを理解するためには、時間の本質=時間の相対性を深く理解する必要があるらしい。本書では、人類が時間の相対性にたどりつくまでの足どりを、簡潔に7段階に要約している。(この部分だけでも、本書を読む価値があると思う。)
7段階に関わる人物だけを列挙すると、次のとおり。
1 アナクシマンドロス
2 アリストテレス
3 アリスタルコス
4 コペルニクス
5 ニュートン
6 ファラデーとマクスウェル
7 アインシュタイン
ホワイトホールの実在性が近い将来に明らかにされる見込みは、たぶんないと思う。しかし、著者は夢想する。宇宙の初期にミニ・ブラックホールが多数形成されたとすれば、それらは現在、ミニ・ホワイトホールとして浮遊しているかもしれない。それがダークマターと呼ばれているものの正体(またはその一部)かもしれない・・・