処刑台広場の女(マーティン・エドワーズ/ハヤカワ・ミステリ文庫)
舞台は1930年代のロンドン。若くて美人で謎めいた素人探偵、という設定の貴婦人は、殺人犯を追い詰め、死に追いやっているように見えるが・・・
もうひとりの舞台回し役は、若手の新聞記者。そこそこ有能で正義感もあるが、少し空回りするところもある。彼女に関心を持って調べているが、逆にうまく利用されているようでもある。
連続殺人事件が起こり、二人が行動するにつれて、事態がすこしずつ明らかになっていく。そして、すべての謎は処刑台広場につながっている・・・
幕間に、子供時代の主人公を憎む少女の日記が挿入される。それを読むと、やはり主人公は性格の破綻した悪人のようだが・・・
翻訳小説でよくあるように、登場人物を何度も確認する必要があり、ストーリーの見通しも悪いから、序盤は忍耐を強いられることになると思う。
だが、謎解きが主眼のミステリ、というよりは、いったい何が起こっているのか、話の展開を楽しむ作品のようで、中盤以降はぐいぐいと惹きこまれていく。
続編がすでに出版されており、近いうちに読むことになると思う。