少し偏った読書日記

エッセーや軽い読み物、SFやファンタジーなどの海外もの、科学系教養書など、少し趣味の偏った読書日記です。

雀荘迎賓館最後の夜

2024-06-07 21:52:39 | 読書ブログ
雀荘迎賓館最後の夜(大慈多聞/新潮社)

麻雀の牌活字を使った本を読むのは阿佐田哲也の『麻雀放浪記』以来。

「迎賓館」は、7卓の小規模な雀荘で、うち2つがフリー卓。そのフリー卓には、毎週金曜日に強豪メンバーが集まる。

法律事務所代表。飲食チェーン取締役。広告会社局長代理。画像記憶能力を持つ高校教師。それぞれに麻雀に対して独自のスタンスを保っており、それが各人にとっての「この冷たい、馬鹿げた世界」のしのぎ方に直結している。

そこに、途中からセット卓を利用する学生の中で最強の男が参加する。物語は、その5人と女性店主の人生模様を描きつつ、最後の夜を迎える。

感想を少し。

麻雀を題材にこれほどの物語を紡ぎ出したことに驚いた。作者は広告業界に長くいた、という以外は非公表で、この本以外の著作も確認できないが、新たな作品が出れば読みたい、と思わせる魅力がある。

闘牌シーンも描かれるが、勝負の行方より、各人の勝負哲学を描くことが主眼のようにみえる。


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