少し偏った読書日記

エッセーや軽い読み物、SFやファンタジーなどの海外もの、科学系教養書など、少し趣味の偏った読書日記です。

それはあくまで偶然です

2021-11-06 07:00:00 | 読書ブログ
それはあくまで偶然です(ジェフリー・S・ローゼンタール/早川書房)

統計学をベースとする一般向けの読み物。「運と迷信の統計学」とあるが、ある珍しい現象が、単なる偶然なのかどうかは、統計学上の計算によって厳密に判別できる、という趣旨の本。解説書というよりはエッセーに近く、読みやすいと思う。

西欧世界では、キリスト教の影響が大きすぎるから、単に偶然に過ぎない現象も、神のはからい、とか特別のことのように考える傾向が非常に強く、そのような世界で統計学者であることは、かなりしんどいことなのかもしれない。

が、それはそれとして、実はこの本にかこつけて書きたいことがある。私はこれまで、財布を20回以上落として、すべて無傷で返ってきた、という経験を持つ。日本は落とした財布が返ってくる率が非常に高いらしいが、それでも無傷となるとどうだろうか。仮に6割として、それが20回以上連続するのは、相当に珍しいことではないだろうか。

この話をすると、誰も感心してくれない。たいていは、財布を落とした回数の多さにあきれられ、少し気の利いた人は、「あなたは一生分の運をそこで使い果たしている」という。

本人も、15、6回目あたりまでは全ての事例を覚えていたが、途中からは馬鹿らしくなって数えるのを止めてしまった。運がいいのか悪いのか、とこかく40代後半になって、財布を落とすことがなくなってようやく、大人になれたのかもしれない。

『運は数学にまかせないさい』というタイトルの本は同じ人の作品だ。どちらか一冊読めば十分だと思う、たぶん。


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2 コメント

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Unknown (ヒョロ男えだまめ)
2021-11-06 08:48:33
私は落とした財布を無傷で届けた事が少なくとも3回あります。ただ電車の中で鞄を置き引きされた事があって、日本は比較的安全だという一般論は信じなくなりました。自分の近くに一人だけ悪人がいたら、他の方が善人だとしても、世の中のことを信じなくなるには十分だと感じます。
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Unknown (sadao-mii)
2021-11-06 09:09:17
コメントありがとうございます。財布をきちんと届ける人に敬意と感謝を!
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