証言 羽生世代(大川慎太郎/講談社現代新書)
将棋界には、羽生世代という言葉がある。
多くの人が、将棋の歴代最強は、羽生善治だと思っていたはずだ。大山康晴以降の大棋士の系譜の中でも、あるいは江戸時代の天野宗歩まで引っ張り出しても、頭一つ抜けている、と。(藤井聡太が現れて、それを超えるかも、という期待が大きくなっているが、それはまた別の話。)
で、羽生と同じ年代の棋士には、実績で羽生に及ばないものの、バケモノのように強い棋士たちがいて、30年にわたり棋界のトップを占めてきた。それが羽生世代と呼ばれている。
本書は、羽生世代の棋士たちについて、本人や周辺の棋士たちへのインタビューを通じて、その姿を描き出そうとしたもの。
中核にいる棋士として、羽生のほか森内俊之、佐藤光康、郷田真隆の3名が挙げられている。また、周辺の棋士からは、羽生世代の突き上げを受けた人(谷川浩司など)、同世代だが羽生世代に入るか微妙な人(藤井猛など)、羽生世代に挑んだ人(渡辺明など)をそれぞれ4人、選んでいる。その人選が絶妙だ。
インタビューでは、羽生世代が将棋界にもたらした変化や、この世代に強い棋士が集まった理由について聞いている。それぞれの立場からの分析が、(要約も引用もしないが)非常に興味深い。
2018年以降、羽生世代のタイトル保持者はいなくなった。結局、棋力は年齢とともに衰える、ということだが、そのタイミングが藤井聡太の出現やAI研究の隆盛と重なるのも象徴的だ。本書は、この時期にしか書けなかっただろう。
そして、羽生を単独で取り上げた数多の類書よりも、この本は、羽生とその時代をよく表している。
文中、失礼ながら、棋士の名前に敬称を省略しました。藤井聡太さんの偉業に拍手!
将棋界には、羽生世代という言葉がある。
多くの人が、将棋の歴代最強は、羽生善治だと思っていたはずだ。大山康晴以降の大棋士の系譜の中でも、あるいは江戸時代の天野宗歩まで引っ張り出しても、頭一つ抜けている、と。(藤井聡太が現れて、それを超えるかも、という期待が大きくなっているが、それはまた別の話。)
で、羽生と同じ年代の棋士には、実績で羽生に及ばないものの、バケモノのように強い棋士たちがいて、30年にわたり棋界のトップを占めてきた。それが羽生世代と呼ばれている。
本書は、羽生世代の棋士たちについて、本人や周辺の棋士たちへのインタビューを通じて、その姿を描き出そうとしたもの。
中核にいる棋士として、羽生のほか森内俊之、佐藤光康、郷田真隆の3名が挙げられている。また、周辺の棋士からは、羽生世代の突き上げを受けた人(谷川浩司など)、同世代だが羽生世代に入るか微妙な人(藤井猛など)、羽生世代に挑んだ人(渡辺明など)をそれぞれ4人、選んでいる。その人選が絶妙だ。
インタビューでは、羽生世代が将棋界にもたらした変化や、この世代に強い棋士が集まった理由について聞いている。それぞれの立場からの分析が、(要約も引用もしないが)非常に興味深い。
2018年以降、羽生世代のタイトル保持者はいなくなった。結局、棋力は年齢とともに衰える、ということだが、そのタイミングが藤井聡太の出現やAI研究の隆盛と重なるのも象徴的だ。本書は、この時期にしか書けなかっただろう。
そして、羽生を単独で取り上げた数多の類書よりも、この本は、羽生とその時代をよく表している。
文中、失礼ながら、棋士の名前に敬称を省略しました。藤井聡太さんの偉業に拍手!
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