はぐれ者が進化をつくる(稲垣栄洋/ちくまプリマ―新書)
6週前に紹介した『植物はなぜ動かないのか』と同じ著者。その記事にコメントを寄せていただいた方が記事にされていたので、私も読んでみた。
同じ場所、同じ条件で勝負すれば、強いものが必ず勝つ。それが生物界の鉄則。だから弱いものは、別の場所、別の条件で自らの居場所(ニッチ)を探す。生物はそのようにして進化してきたのだ、というのが本書のメインテーマ。生物の世界では、ナンバーワンかオンリーワンかではなく、ナンバーワンになるためにオンリーワンになるのだ。
それを人の生き方に当てはめることについて賛否はあるだろうが、著者がこの本を、特に若い人へのエールとして書いているのであれば、よけいな口出しはしないでおこう。(取り上げた以上、その本の悪口は、できるだけ控えることにしている。)
この本で特に印象に残ったこと。私たちはみな、親から生まれる。単性生殖や、分裂による増殖も含めて、親をずっとたどっていけば、すべての生物は、動物も植物も含めて、最初の小さな単細胞生物にたどりつく。少し考えれば当たり前のことだが、ふだん、そのことを意識することはめったにない。その共通祖先は「ルカ」と呼ばれているそうだ。