少し偏った読書日記

エッセーや軽い読み物、SFやファンタジーなどの海外もの、科学系教養書など、少し趣味の偏った読書日記です。

たまごの旅人

2022-03-12 07:00:00 | 読書ブログ

たまごの旅人(近藤史恵/実業之日本社)

好きな作家の近著。海外旅行の添乗員を主人公とする連作短編集。図書館で迷いなく借りました。

アイスランド、スベロニア、パリ、西安。それぞれのツアーで出会う小さな謎や、わがままな客への対応を軸に話が進んでいく。

今回、改めて気付いたのは、この作者はよく旅を描いていること。以前に紹介した『ときどき旅に出るカフェ』もそうだし、『スーツケースの半分は』も、直接、旅をテーマにしている。

もうひとつ。コロナ禍のせいで飲食店は大変な状況だが、海外旅行の添乗員は、それ以上にひどい目にあっているはずだ。ということに、この本を読むまで、思いがいたらなかった。ほかにもそういう人たちが、たくさんいるのだと思う。

とはいえ、読後感は決して悪くないし、きっと作者は、実際に行ったことがあるはずだ、と思わせるほど、それぞれの旅もいきいきと描かれている。(早く、気兼ねなく旅ができるようになりますように。)

タイトルの意味合いは、それほどの謎でもないが、まあ、書かないでおこうと思う。