業務&ITコンサルタントのひとり言

コンサルティング活動を通じて感じることを勝手気ままに記載

壊れたニッポンを治す為の処方箋#3:5月9日の日経記事「『国立大学150万円』提言の慶応義塾長」の問題の本質

2024年06月09日 10時42分45秒 | 社会全般
慶応大学の学長が「国立大学の学費を年150万円に上げるべきだ」と言っていた。この意見には賛否があるだろうが、個人的には賛成しない。学長が本来考える事は大学の質を上げる事であり、社会に役立つ人材を送り出す事であるが、それは出来ているのだろうか?

大学では最先端の技術や知識を教える必要があり、その点では日本は遅れていると云われている。その為に授業料を上げ、最先端の技術や知識を教える事ができる環境作りが大事だと言いたいのだろう。

ある意味これは正しいかも知れないが、全ての大学がそうあるべきではない。それから最先端の技術や知識はあっという間に陳腐化するし、大学が最先端の技術や知識を必ずしも持っている訳ではない。それでそれよりも大事な事は、大学は学生に教える所ではなく、学生が学ぶ所である。その為に基礎をしっかり教え、自分で考える能力を持たせ、そして社会人になっても継続的に主体性を持って自己研鑽できる学生を育てる事ではないだろうか?そして、理科系の学生の割合をもっと増やすベキであろう。それから、最先端の技術を発信できる大学は、ほぼ偏差値の高い大学に限られるであろう。

因みに授業料は、40年程前を比較すると、ざっくり4倍程度になっているが、平均給与は、2~3割増し程度である。アメリカの場合は授業料はざっくり10倍程度に高騰しているが、収入の方も3倍程度になっている様である。この比較を見た場合、日本の授業料は高いと見るべきか、それとも低いをみるべきだろうか?授業料が高いアメリカはかなり特殊であって、本来であれば、親の収入に関係なく、高等教育を受けられる環境を作る事であり、その点においては日本は劣っている様である。実際、40年程前迄のアメリカの大学の授業料は、日本の国立よりは高かったが、私立よりは安価な州が多かった。

本題に戻るが、この記事では、この学長はもっと大事な問題点を指摘している。それは「日本の大学生は授業以外で勉強する時間が少なく、特に文系は3年生から就職活動も活発化する。このような教育環境では高度人材は育たない。」と...。”日本の大学生は授業以外で勉強する時間が少なく”とあるが、文系では授業をマトモに出席していない学生が多いと聞く。

これから推測するに、日本の大学教育の問題点の一つは、文系の教育レベルの劣化(又は進歩していない事)ではないだろうか?この問題点を、3年から就職活動を行ってきた人達には分からないのだろうが、今の大学に必要な事は、授業に参加しなくても大丈夫な程度の授業を行うのではなく、そして文系であってもある程度の高度な知識を教え、学生に考える能力と自己解決能力を付けされる事である。

慶応大学は日本ではトップの私立大学であるが、残念ながら世界の大学と比較すると、かなり見劣りする。是非とも頑張って頂きたい。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 壊れたニッポンを治す為の処... | トップ | 壊れたニッポンを治す為の処... »

コメントを投稿

社会全般」カテゴリの最新記事