茅野市文化芸術推進事業で企画された「ミュージアムピクニック」に参加しました。このミュージアムピクニックは過去に何回も企画されていて、私もたくさん参加させてもらっています。今年度は2回の企画がありましたが、秋は参加できませんでした。今回は、「凍みる冬に生きる工夫」のテーマで茅野市内の各地をバスで巡りました。
まずは「茅野市八ヶ岳総合博物館」に行きました。ここでは八ヶ岳山麓の生活の歴史を知ることができました。
入り口に鎮座していたのは「黒曜岩」です。流紋岩質のマグマが急激に冷えてできたガラス質の岩石で、八ヶ岳山麓から和田峠付近に産するとの説明がありました。
ここにも「星降る中部高地の縄文世界」のポスターが…
学芸員さんの説明を受けたのは、この「のこぎり職人」さんのことと「寒天製造」のことです。「諏訪鋸」は江戸時代に高島藩が推奨して始まったようです。今は「信州鋸」として県の指定伝統工芸品になっているそうです。
「寒天造り」はこの地の寒さを利用した産業です。江戸時代の1840年ごろに丹波地方で寒天造りを学んだ人が諏訪に伝え、農家の副業として始まり、その後専業化したようです。天然製法の寒天製造としては全国一だそうです。昔は水車で天草を砕き、大きな釜で煮て広蓋に流し込んだようです。それが夜間の凍みで凍り、日中の天気で溶けて乾燥し、を繰り返して完成します。
昔の農機具も展示されていました。江戸時代には坂本養川の高島藩への献策によって農業用水路、滝之湯堰と大河原堰ができ、 農業も盛んになりました。
当時の家も再現されていました。茅葺屋根や囲炉裏の存在は当時を偲ばせます。
この博物館ではサークル活動も盛んで、「裂き織」の方々が織った作品が展示されていました。
絶滅危惧種の「ミヤマシロチョウ」の観察を続けているグループの展示もありました。
年々少なくなっているミヤマシロチョウ…今年は越冬巣の確認もできなかったそうです。
次に向かったのは標高1100mの「笹原」地区です。八ヶ岳のふもとに向かって登って行きました。八ヶ岳はの上空は曇ってきました。
笹原公民館で郷土料理作り体験です。この地区は移住された方も多く、地元の方と手を組んで地域の活性化を図るべくいろんな企画をしています。今回は郷土料理の担当の方々に教えていただきました。この地区の気候風土が生んだ食文化とこの日の食材です。(パンフレットより)
作ったのは「凍み大根の煮物」「あぶらえ餅」「凍み豆腐の味噌汁」「天寄せ 琥珀かん」です。それぞれのレシピもここに記録しておきます。手書きレシピが貼ってあって、それを見ながらの調理実習でした。しかも調味料の記入はなく、目分量とのことでした。
「凍み大根の煮物」は、じっくり味のしみた凍み大根の美味しいこと!
「あぶらえ餅」の「あぶらえ」は「えごま」のことです。初めて作った我が家の「えごま」も、こうして実習ができたのでおはぎにしようと思います。私たちはちょっと「あぶらえ」を緩く伸ばしすぎてしまいました。
「凍み豆腐のみそ汁」は我が家でも作りますが、ここの手前味噌も美味しかったです。
特産の寒天を使った「天寄せ 琥珀かん」は豆腐とお醤油を使うのが特徴です。レシピにはありませんが、クルミを刻んで混ぜました。
沢山の漬物もごちそうしてくださいました。もちろん材料も地元産、手作りです。
地元の方のお話を聞きながらおいしい郷土料理をいただきました。お弁当持参の案内でしたが、お弁当は開かずじまい、お腹一杯になりました。
次に向かったのは「泉野」地区の「穴倉」です。この穴倉は冬の寒い時期(農閑期)に、隣近所の方が集まって作業をする小屋です。竪穴式住居のように半地下になっていて、囲炉裏で暖を取っています。昔は4~5軒に1つくらいに穴倉があったそうですが、今はこの一つだけ…多くの方が集まれるように大きな穴倉です。
中には大きな囲炉裏があって火がたかれ、梁も燻されて黒くなっていました。縄を編んだり、しめ飾りを作ったり、草鞋(今は布草履)を作ったりされています。
布草履はその道具も手作りされていました。工夫してスリッパも作っておられました。
このツアーの最後は「のこぎり職人」さんのお話でした。今も現役で「信州鋸」を作られている方です。地元の諏訪大社の御柱を切り倒すのに使う大きな鋸もこの方の作です。御柱に使う木を見立てした時に、その木に印として打ち込む「なぎがま」もこの方の作です。この「なぎがま」は守矢資料館にもあります。
その他の鋸も見せていただきました。280年続いている信州鋸の伝統ですが、一時期150軒あったのに今は2軒だけだそうです。でも、技術を身に着けようとする方もいて、20人の職人さんがいるそうです。
この職人さんに鋸の「目立て」の実演をしていただきました。鋸は使ったことはあったのですが、目がこのようになっていて、これを修理して使う為の「目立て」は知りませんでした。鑢を使って手早く作業されるのは、さすが年季の入った職人さんでした。
このツアーの集合、解散は茅野市美術館でした。解散後、美術館の企画展を鑑賞しました。
一般公募の写真展も気になって覗いてみました。
いい企画のツアーで、一日目いっぱい楽しませてもらいました。
「ミュージアムピクニック」は、内容が盛り沢山ですね。
ひとつのイベントでこれだけ見て回れて、その上体験までできたなんて、
本当にお得感いっぱいのイベントでしたね。
濃い内容で素晴らしい体験記です♪
秋の「八ヶ岳の恵みと人々の営み」といいテーマも気になるところですが・・・
「茅野市八ヶ岳総合博物館」・・・
寒天のことなど、知っているようで知らないことばかりです。
ミヤマシロチョウは、実際には出会ったことがない蝶。
以前ご一緒した時に、1頭でもいいから会いたかったですよね!
その節は大変お世話になりました。前年度くらいまでは知人のブログで、
毎年ミヤマシロチョウを見てたのですごく残念でした・・・
もう茅野周辺では幻の蝶となってしまったのでしょうか。
郷土料理作り体験・・・たくさんの料理を作られたのですね。
手書きレシピとか調味料は目分量で…など、
その土地のおばあちゃんから教えていただくような、
いかにも郷土料理っぽくていいですね(笑)
実家でも「あぶらえ」と言ってましたから、
わたしはつい近年まで「えごま」という言葉を知りませんでした。
お彼岸には、タッジーマッジーさん宅ではきれいに選別された、
あの「えごま」でおはぎ作りですね♪
我が家でもほぼ一年中、お味噌汁には凍み豆腐が入ります。
…と言っても、スーパーで買ってくるサイコロ状にカットされた、
お手軽な「みすずの凍り豆腐」です・・・
以前はワラで連結された本物(?)の凍み豆腐を使いましたが、
毎日のお味噌汁用には手軽さも大事かと…(笑)
「天寄せ 琥珀かん」は懐かしいです!
何か行事の時や寄り集まりの時など、お重にやタッパーで持ち寄った一品。
仕上がった料理とお漬物を囲んでのお昼ご飯、いいですねぇ〜
泉野地区の「穴倉」・・・
建物もですが、囲炉裏を囲んでいる写真を見ると、
なんだかタイムスリップでもしたかのような光景です。
「のこぎり職人」さん・・・
「信州鋸」を知らなかったので、興味深く拝見しました。
このような」伝統も地域の誇りですね♪
そして、凍みる信州には様々な生活の知恵があることが改めてわかりました。
盛り沢山の貴重なレポート、ありがとうございました♪
この企画は本当にいつも充実の内容…
おかげで茅野に詳しくなりました!
秋の「八ヶ岳の恵みと人々の営み」も気になるテーマ…
これは他の行事と重なって参加できずに残念でした。
「茅野市八ヶ岳総合博物館」では、寒天や鋸について知ることができました。
そして「ミヤマシロチョウ」…
あの時はせっかく来ていただいたのに残念でしたね。
原村の観察会もあの年以来なく、茅野でももうないとの事でした。
見るなら浅間山麓かなと教えてもらいましたが…
八ヶ岳山麓では本当に幻の蝶となってしまいましたね。
郷土料理作り体験は地元のおばあちゃんから教わる感じでした。
その中には80代のおばあちゃんも!
皆さん生き生き活動されていて元気をもらいました。
私は初めて「あぶらえ」って聞きました…みさとさんは「えごま」よりお馴染みだったのですね。
我が家の初物を作る前に今回、実習ができて良かったです。
凍み豆腐のお味噌汁は我が家でもおなじみです。
そうですね、いつものお味噌汁には手軽さが何より!
サイコロ状のものもいいですね。
「天寄せ」も諏訪地方ではおなじみ…
私は諏訪へ来るまではお惣菜っぽい天寄せは知りませんでした。
ゼリーにお豆腐やお醤油を使う!と、驚いたものです。
「穴倉」が昔の話でなく、現役で使われているのにビックリ…
本当にタイムスリップしたかのようなひと時でした。
「信州鋸」のことも知らなかった世界…
寒い中で、工夫して生活していた知恵が今も続いていることにも感動でした。
長々と綴ってしまった記録…
読んでいただいてありがとうございました。
又知識を含まらせられたようですね。
のこに蝶、よくわからない「穴倉」等
外野の人間でも興味を持ちました。
いい企画をたててくれますね~。
身近なことごとでも知らないことがいっぱいですので 私も近くでこのような機会があったら是非参加したいものです。
寒天造りのこと
凍み大根
凍み豆腐(お味噌汁ですか~、今度作ってみます!)
凍みる地だからこそおいしいものが出来上がるのですよね。
そして「天寄せ 琥珀かん」
名前も出来上がりもすてきですね。
以前に私の実家で作る「ぺろぺろ羊かん」のことをブログに書いたときに
「こちらでは『天寄せ』という料理があります」とコメントいただきましたね。
やはり 私の方とは違って「甘い」ものではありませんね。これは懐石料理に出るようなお品。
「天寄せ 琥珀かん」! 覚えておきます!!
漬物、煮物・・どれもこれもおいしそう!地元ならでのお料理ですよね。
漬物は時間がたつと味が変わってしまいますね。
何十年も前のことを思い出しました。
永六輔さんが ラジオで
「漬物はいただいてはこない」(なぜよ!私)
「その地で食べるのが一番いい。東京へ運んできてしまうと味が違う。変わってしまう」(私「納得」)
「泉野」地区の「穴倉」
私が旅番組で見たのは ここなのですね~。
一軒だけなのですか~。
あの時に見た「寒天の里」での 寒天の味噌漬け・・その後何回も前を通りながら 行きは開店前、帰りは家路を急ぐ・・で まだお店に入っていません。あ~あ。
農機具も独特ですね。
こうして保存展示されているのはすばらしいこと。
私の方・・
(何も捨てない)「お山の家」にあった農機具、養蚕道具 漆器など(初代のテレビまであったのですよ!!)あれって 民俗資料館があれが収蔵してほしかった。
勝沼の資料館にはぶどう作りや出荷、ワイン醸造の道具だのが展示されていますが あれは 私が「勝沼の恩人」と呼ぶ方が 農家の畑に隅っこにほったらかされているものを救い上げて収集したと聞いています。断捨離していない時代ですね。
あ~ のこぎりの「目立て」
あれは技術が必要ですね。 「器用」だと思っていた祖父も父も「目立て屋さん」に任せていました。
「目立て屋」さんは 年一回か二回かどこからか回ってきてくれていたような・・
「富山の薬売り」さんみたいに・・
いっぱい反応しながら拝見しました。
長々とおじゃまいたしました。
あ、2/22(土)なのですね~
・・その日から始まる予定だった我が公民館行事の「文化祭」は中止され、3月開催予定の市の文化祭も中止になり 陶芸教室で作った作品たちは発表の機会をなくしました。
展示の機会などはどうでもいいこと。
今の日本。
新型コロナウィルスから 切り抜けなくっちゃね。
早く早く 終息してほしいものです。
茅野市は八ヶ岳のふもとの市です。
縄文遺跡があったり、高原があったりと見どころいっぱいです。
同じ諏訪地域でも新たな人が多く入ってきている地でしょうか。
町おこしも盛んで、このツアーも「まちづくり推進機構」の方の企画でした。
企画もそれに乗っかる地元の方も元気があるなと感じました。
ここの美術館は文化庁の援助もあって、とてもいい企画をしてくれます。
美術館が地元の人たちとよく連携しているとも感じます。
「穴倉」はわかりにくいでしょうか。
竪穴式住居のような建物に皆が集まって作業をしたりお茶を飲んだり…
集会所のような場所かとも思います。
とっても寒い土地ですから、一緒に暖を取れば効率的ということでしょうか。
寒い土地ならではの工夫がいろいろあって興味深かったです。
本当にこの美術館はいい企画を立ててくれます!
何度も参加させてもらって、いつも満足の内容です。
近い所でも、改めて知ることも多いものです。
凍みる土地ならではの美味しいもの…
昔の人の知恵に感服です!
私にとって「天寄せ」は諏訪に来て知った言葉です。
いろんなものを寒天で固めてしまうのに驚いたものです。
takeさん家の「ぺろぺろ羊かん」もいいですね。
今回の「琥珀かん」はお砂糖が入ってちょっと甘かったですが…
このお醤油の色で「琥珀かん」とは粋ですね。
「漬物」は確かに時間がたつと味が変わってしまう…
その場で食べるのが一番だけど、遠くの人にも食べてもらいたい!
これで思い起こすのは義父のこと…
実家で作った漬物を樽ごと東京方面の親戚にトラックで運んでいました!
毎年暮れの恒例行事で、皆さんも楽しみにされていた様です。
ずいぶん昔の話ですが…
茅野が旅番組で取り上げられていたのですね。
穴倉に寒天ですか…どちらも今回企画された「ちの旅案内人」のガイドツアーにありますよ。
「松木寒天」さんもなかなか立ち寄れないのですね。
松本の時間を十分とりたいですものね。
でも、いつかそのうちのどうぞ…
農機具やら生活用品やら…「お山の家」のことは胸が痛みます。
初代のテレビ…これは科博の企画展で見ましたよ。
どれもきっと貴重な展示品になったことでしょう!
勝沼にはそうした貴重品を救い上げてくれた方がいらしたのですね。
ありがたいことです!
のこぎりの「目立て」はご存じだったのですね。
そして「目立て屋さん」が行商されていたのですか?
そうした方がいたとは!…でもありがたいことですよね。
いろいろ私も知ることができ、ありがとうございました。
そうなんです、この企画はどうにか実施してもらえて良かったです。
3月15日の「ちのを編む みんなのサロン」で蔵や鏝絵巡り企画…
参加申し込みをしていたのに、昨日中止の連絡が入りました。
ほとんどの行事は中止ですものね。
本当に早く終息宣言となってほしいと祈るばかりです。