ものぐさ園芸で何よりも役に立つのがギボウシである。なにしろ何の世話をしなくても、毎年同じように芽を出し、美しい葉に成長してくれる。そのたくましさは雑草並みだ。このもともと純国産種の植物は欧米ではパーフェクトプラントと呼ばれ、多種多様の品種改良が行なわれ、逆輸入されている。生育に手間ひまがかからないうえに、その多様性と美しさはまさしくパーフェクトだ。
ところで毎年のことながらこの時期、山菜を求める人間によって野山は荒らされる。たとえばタラの芽を採取する場合は小さい芽をひとつのこしておくだけで、後から何回でも芽が吹き出してくるのに、首元からすぱっと切って全部もっていってしまうのでそれで終わりになってしまう。
だけでなくそこらへんにあるタラの芽を一網打尽にもっていってしまう。実に不愉快だ。かれらは山菜を採るさいのマナーと常識を心得ていないのか、無視しているのか。食料は市場に満ちあふれているうえ、その大部分がゴミと消える現代、山道で車を止め、道ばたでごそごそし山菜を求める人間がすべて同種の人間にみえ、実に浅ましく思える。
首を切られて、でくの坊のようにつったっているタラの木は、人間の小市民的な醜い欲望を象徴しているようで暗い気持ちになってしまう。
イノシシだけでなく、山道には人間の冊がいるぞ!!