Runrun日記

最近読んだ本ー蒼穹の昴



台風一過の晴天です!
長野や関東、東北では甚大な被害が出てしまったようです。



最近読んだ本。
1898年、清国で起こった、戊戌(ぼじゅつ)の政変前後の事を描いたものらしい。

私は、歴史小説が好きなのだけれど、近代の歴史は、現代に直結する忌まわしい出来事が書かれているようで、避けていました。日韓の現状や香港での騒ぎ、全てこの時代になした出来事が起因しているのでは? 欧米諸国の植民地主義が起因しているのに、彼らは知らん顔している。

19世紀は、産業革命を終えた西欧列強が、東アジアへ覇権・毒牙を伸ばしてきた時代。日本は素早く明治維新をなし、富国強兵の道を進んだが、朝鮮や清国はそうはいかなかった。アヘン戦争(1840年)にアロー戦争(1856年~)、ベトナムをめぐっての清仏戦争(1883年)。清は、植民地主義者によってボロボロにされていた。

光緒帝は、若手官僚を登用して、日本の明治維新のような立憲君主制の民主主義国家に変革しようとしたが、保守派・守旧派に受け入れられず弾圧されてしまった。

浅田次郎 著作 『蒼穹の昴 1~4』 講談社文庫

初め、無学な私は、『蒼穹』と云う字が読めなかった 
そうきゅう? 本文を読んで行ったら あおぞら と仮名が打ってあった。
満天の蒼穹(あおぞら)の中に、ひときわ輝く星・スバル!

大清国光緒12年・西暦1886年から物語は始まります。

白太太(パイタイタイ)という星占いの老婆が予言します。春児(チュンル)には、昴の星が付いていて、必ずやあまねく天下の財宝を手中に収むる。梁文秀(リョウウエンシウ)は長じて殿に昇り、天子様のかたわらで天下の政を司る事になろう。
文秀は、科挙の試験を首席(状元)で合格し、官吏となり光緒帝を助けます。春児は、自ら男根を断ち、宦官となり後宮・西太后の下に出仕します。中国には昔から、宦官といって去勢した男性を役人として使う文化?が有ったようです。宦官なら、高級官僚になっても子孫を残せないから王位を簒奪される心配がなかったから?

この物語には、架空の人物と実在した人物が様々に出てきます。
中国の四大悪女の一人とされている西太后。本当は優しい母性の人だったの? 清国を治める責任感に押し潰されそうになり、ヒスを起こして宦官達をたたきのめしてしまいます。清国は、自分の代で終わらせてたいと思っていた。可愛い光緒帝にそんな苦労を掛けたくなかった。
李鴻章(りこうしょう)は、優秀な政治家・軍人だったらしい。西太后を愛していた? 西太后を助け正しい政治をしようとしますが・・
栄禄は、この小説では、完全な悪役ですね。西太后の初恋の人だったらしい。どんなに悪い事をしても西太后に許されてしまう。守旧派!
袁世凱(えん せいがい)も悪役で登場します。日清戦争の時も要領よく立ち回ったらしいし、戊戌の政変でも光緒帝の変革派を裏切り密告します。

しまった、これは浅田次郎さんの小説なんだ! 私は霊とかまやかしとかの小説は嫌いなんだ。浅田さんは「地下鉄に乗って」とか「椿山課長の七日間」とかを書いています。タイムスリップしたり、幽霊を出したりするのが得意な人だったのだ。
この小説では、清国の六代皇帝・乾隆帝の亡霊が現れ悪さ?をします。
5000年に及ぶ、歴代の皇帝たちは天命を持っていたそうだ。龍玉という巨大なダイヤモンドの玉があって、それを持てる人に天命が有るのだそうだ。乾隆帝は、清王朝を終わらせようとして、その龍玉を砂漠の向こうに隠してしまいます。ですから、後の皇帝には天命がない! そして西太后を暗殺するように唆します。暗殺は失敗しますが、西太后は、光緒帝が指示したものと誤解してしまいます。

春児を助ける宦官達や、妹の玲玲、文秀の仲間の譚嗣同、魅力的な人物が多数出て来て面白いですね。この小説の魅力は、登場する人たちの人間愛!

梁文秀は、戊戌の政変の後、日本に亡命しますが、実際には梁啓超と云う人が日本に亡命したそうです。文秀は架空の人だと思うが、梁啓超の亡命をモデルにしたのでしょうか。

この小説のお気に入り度:★★★★☆

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