黒沢永紀オフィシャルブログ(旧・廃墟徒然草)

産業遺産と建築、廃墟、時空旅行、都市のほころびや不思議な景観、ノスタルジックな街角など、歴史的“感考”地を読み解く

同潤会上野下アパート #02

2010-07-01 01:32:34 | ・同潤会アパート
現存する唯一の同潤会の集合住宅、
上野下アパートをシリーズでお送りしています。
Mapion
前回は建物の外観を見ましたが、
今回は中のエリアを見て行こうと思います。



中庭の面積はそれほど広くはなく、
どちらかというと狭い方だと思いますが、
大きな銀杏の木を中心に大小さまざまな植栽が、
程よい配置で植えられていて、
囲い塀の外と内側では別世界です。



前回の記事でも少し触れたダストシュート。
現在では使われていないようですが、
その周りを植木鉢で囲んでいます。
植物の配置は、三ノ輪アパートにはあまりみられず、
どちらかというと今は亡き青山とか代官山に通じる、
印象をうけます。



清洲橋通りに面した1号館の裏側。
中央に移る太い管は、
各階の壁から太いパイプが結合されているので、
トイレの配水管かと思いますが、
上部の色が違っています。



横長の2号館の裏側にも同様の配水管があり、
やはり同じ様に上部の色が違っています。
前回の記事の画像にも沢山写っている様に、
この配水管は道側の前面にも何本も設置されていて、
同様に上部だけ色が違っています。
その形から、屋上の雨水の配水管ではなく、
臭気抜き管のような気がします。



当初、奇麗な青緑は緑青のたぐいかと思いましたが、
配水管に銅関連の素材を使う筈もないな~と思って、
もう少し良く見てみると、
どうやら薄青緑に塗装しているようです。

完成当時の写真を見ると、同様の造りになっていますが、
残念ながらカラーではないので、当時の色はわかりません。
しかし、
上野下アパートは同潤会の解体後、
協和会という自主団体が管理し、
増築や改築などをしないよう徹底しているそうなので、
おそらく、当時もこの色だったんではないでしょうか。

で、なぜ臭気管に拘ったかというと、
これがいいアクセントになっているんです。
上野へ行かれた際には、
ちょっと足を伸ばしてご覧になる事をお薦めします。



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2 Comments

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いつまでも (pulin)
2010-07-01 10:42:44
なんにせよ、住んでいるところが誇りにできるというのは羨ましいです。

私事で恐縮ですが、自分には住んでいる場所を見られたくないという意識さえあります。
自分の不徳のいたすところなんですが。
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▼pulinさんへ (KLO@廃墟徒然草)
2010-07-02 05:16:05
上野下アパートのような例は、極めて稀な例で、
普通は見られたくない、なり、
わざわざ見せる必要もない、
程度に思う事が多いんじゃないかと思いますが、
どでしょか。
また、協和会の方とお話した訳でもないので、
はたして誇りに思っているかどうかは、
わかりませんが。。。(汗)
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