漕手のやんごとなき日常

~立教大学体育会ボート部の日常を漕手目線で~

事実は一つ、解釈は無数 4年丹羽健太

2024-08-18 20:21:38 | 長めの日記

こんにちは

瑞稀から紹介をうけました、「世界のKENTA NIWA」になりたい丹羽健太です。

早いもので引退前最後の日記になってしまいました。

何を書こうか、随分と悩みました。最後だから「素晴らしい日記を」なんて思ったものですが、文章でものを伝える事はあまり得意でないし、何をどう書いてもこの4年間のことを伝えられるとは思えません。

それほど立教ボート部での4年間は本当に楽しくて、濃くて、辛くて、充実した時間でした。そんなボート部を振り返って今思うことを少し書かせていただきます。最後まで読んでいただけたら幸いです。

 

入部の経緯

私の入部の経緯については過去の日記で書かせていただいているので詳しくは省略しますが、一番の決め手は、サッカーにはない競技性に惹かれたからです。「数字で勝敗がつくスポーツ」、「努力や結果が全て数字で表れるスポーツ」などなど。

もちろんその中で「立教大学ボート部」を選んだ理由には「人」と「環境」がありました。

高校3年目の夏に私が一番求めていたもの、欲しかったものは自分自身に対する「自信」でした。

 

小学生からクラブチームに所属し、サッカーを本気でやっていた10年間、さまざまな学びがあり楽しくて充実した時間でしたが、自分の「自信」につながるような経験があまりありませんでした。

絶対に負けられない緊張感のある試合にチームを代表して出場した経験、土壇場で点を決めて勝利に貢献する経験などは何一つありませんでした。

高校3年生の春には、泣きじゃくりながらコーチに「なんでカテゴリー上げてくれないんですか」「なぜ試合で使ってくれないんですか」「もっと俺を見てください」みたいな生意気なことを言いに行ったこともありました。駒場高校のサッカー部員にとって一番怖い場所でもある体育教官室の前でよくそんなことをしたなと思い、今振り返ると恥ずかしいですが、

競技の終わりが見えている時に何一つ結果を残せていない自分自身の怒りを相手にぶつけてしまっていたように感じます。

そんなこんなで気がつけば引退し、受験勉強に切り替えた高校3年生の夏にボート競技と立教大学ボート部に出会いました。

 

入部の動機は「自分を試してみたかった」が一番大きいかもしれません。

どこまで頑張れるのか、どこまで努力できるのか。学生生活最後の4年間はこれまでのサッカーでの悔しさを背負って数字と自分自身と向き合おうと決めました。

 

ボート部での経験

ボート競技は想像の倍以上辛くて楽しくて学びのあるものでした。

数字はシビアで一切嘘をつきません。

ただただ数字と自分と向き合う日々の練習。昨日の自分を超えることって本当に大変ですが、半年、1年とそれを続けていたらものすごく成長していることに気がつきました。

2000mTTをエルゴで引くたびに練習の成果が数字になって返ってくる。サッカーにはない楽しさでした。もちろん毎回ベストを更新できるわけではなく、その度に悩み、悔しくて練習する、の繰り返しでした。

ボートは水上でも非常にいい経験を与えてくれました。

先輩のラストレースを一緒に戦った経験や、大雨大波の中発艇した全日本選手権など、これ以上ないほど緊張しました。

 

「これから限界を越える」そんなことがわかっているスタート前ってものすごく緊張します。そんな時はいつも、「社会人になってからの大事なプレゼンテーションでこれほど緊張するだろうか」なんて考えていました。

ボートの練習や試合は苦しくて、辛くて、悔しい。これが9割と言っても過言ではありません。でもボート部を4年間続けて頑張ってこれたことは、同期、先輩、後輩のみんなのおかげです。試合になると遠くから応援しに来てくれる親御さんやOBOGの皆さんのおかげです。

ボート競技をはじめてから、「人の大切さ」を身にしみて感じました。応援がこれほどチカラになることは知りませんでした。

苦しくて辛い逆境を乗り越えた経験、仲間に支えられてあと一歩を頑張れた経験、逃げ出したくなるような緊張、ボート競技から得られたものは入部時に想像していたものを遥かに超えていました。

 

信頼と絆で結ばれた同期 面白くてかっこいい先輩 ヤンチャで可愛い後輩たち

4年間の寮生活は濃かったです。

性格や価値観が一人一人異なり、刺激的で、日々の何気ない会話から多くのことを学びました。

大学生活の4年間、多情多感でアイデンティティが変化し得るこの時期にさまざまなバックグラウンドを持つ部員と寝食を共にして沢山のことを学びました。

気がついたら、これまで聞いたことのなかったジャンルの曲を口ずさんでいたり、今まで観たことのなかったような映画をみんなで観たり、他の人の趣味に片足突っ込んでみたり、同部屋の先輩に影響されて写真の魅力を知り、気がついたら全財産を一眼レフに投じていたり。

部員一人一人が持つさまざまな価値観やアイデアを知って、自分のアイデンティティが再構築されていきました。

かっこいい先輩に影響されて、パワーあふれるヤンチャで可愛い後輩からエネルギーをもらって、何よりずっと近くで一緒に頑張ってきた、応援してくれた同期がどんな時も助けてくれて今まで頑張ってこれました。ありがとうございます。

 

最後に

「点と点を繋げるということ」

 10年間のサッカー人生がなければ、間違いなく立教ボート部へはいなかったと思います。もしサッカーで悔しくて辛い経験をしていなければ、物事がうまく行っていれば、競技を変更して入寮して、実家を離れてボート部へ入部する決断はしなかったと思います。一生ものである仲間と素晴らしい経験は手に入らなかったと思います。

サッカーを本気でやっていて良かったと、今振り返って思います。

 

そしてボート競技を通して間違いなく自分に対する「自信」をもつことができました。

競技を通して「自分ってこんなに頑張れるのか」と自分でも驚くような出来事はたくさんありました。サッカーでは知ることのなかった新しい一面にも出会えました。

何より「人が成長するスピードの速さ」を身にしみて感じました。

 

最近の大きな決断に、「大学院留学」があります。

去年の夏に就活を嚙り、その年の10月に就活を辞めて海外の大学院に進学することを決めました。(決断に至ったきっかけや考えについては長くなってしまうので割愛させてただきます。)

悩み考えた末での結論ですが、ボート部に入部し、尊敬する先輩と出会い、競技を通じて人が成長する速さを実感したことが、最後の決断を後押ししてくれました。

おそらくボート競技を始めていなければこの決断には至らなかったと思います。

 

 私がこの日記で伝えたいことは、「過去のポジティブな点もネガティブな点もいずれ繋がり、実を結ぶ」ということです。そして「今の決断は将来の点に必ず繋がる」ということです。それを私たちは信じて生きていくべきだと思っています。

これらは、スティーブ・ジョブスがスタンフォード大学卒業生に贈った有名なスピーチでも語られており、私も大好きな哲学です。

 

そして、この言葉とも繋がります。

「事実は一つ、解釈は無数」

双子の弟に教えてもらった言葉です。

たった一つの事実をどう解釈するかによって、感情が変わり、思考が変わり、行動が変わり、結果が変わる。ということです。

 

 

立教に入学してからボート部へ入部をするという決断はかなりチャレンジングで、誰にとっても「挑戦」であったと思います。

ボート競技や生活の中には辛いことも苦しい事もあるかと思いますが必ず意味があります。4年間を振り返ってそう感じます。

 

でも本当に辛い時は抱え込まずに周りの人に相談してください。こんなこと言っていますが、私も先輩や同期に何度か相談したこともありました。

一人で壁を乗り越えるのが苦しくなった時は、必ず周りの人が助けてくれます。

 

随分と長くなってしまいました。最後まで読んでくださった方はありがとうございます。

インカレという大舞台に向けて残された貴重な時間を精一杯楽しみ、目標に向かって精一杯頑張ります。

誰がなんと言おうと目標は「インカレ優勝」です。さあ頑張ろう。

応援よろしくお願いします。

 

次回は

次回は、インカレ連覇に向けて絶大なリーダーシップを発揮している山田雄恒です。

お楽しみに!

 
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