うまさいと

お馬さんは好きですか?

Dubai World Cup Dayの展望。

2007-03-30 09:56:40 | 競馬
ひっそりとチラシの裏のつもりだったけど、どうせならこっちでも書いちゃおうということで転載。ほとんど役には立ちません。とりあえず明日から一ヶ月間ネットできない環境になるので、書いたままほったらかしになります。間違いを指摘されても直すのが一ヵ月後というのが恥ずかしい。あと、Kahayla Classicはさっぱりわからん。純血アラブは仏産が強いと勝手に思い込んでいますが果たして。

Godolphin Mile

個人的にはGold for Saleの復活に期待なんだけど、望み薄だろうってことだけど。それなら2年前のQEIISで最下位なのになぜか記憶に残ってるMullins Bay辺りもいいかなと。Kandidateに軽く捻られてるのは甚だ疑問ではあるけれど。芝でもあれだけ負けたCourtmasterpieceがもう復活するとは思わないし、それならいっそのことVortexじゃだめですか?


UAE Derby

王道路線のAsiatic Boy、牝馬路線のFolk、古馬に圧勝してきたEu Tambemと非常に見応えのある一戦だと思う。今年はWC, UAE Derby,Duty Freeというのが観たい順番。この3頭立てかなと思ってるけど何か割り込んでくるのかねぇ。この3頭ではEu Tambemを推したいと思います。穴ならGomezを乗せてきたDay Passかなぁ。


Dubai Golden Shaheen

プレップであれだけ負けたTho's Echoはいらないと思うんだけど、昨年の2着からして合ってるのかなぁ。叩き良化型だと思うから、もう一戦くらいあってもよかったかもね。General Georgeとか。正直言うと、この面子ならひょっとしたらアグネスジェダイやるんじゃないかと思う。National Currecyを思い出すなぁNational Colour。心情的にも現実的にも南アの快速女王が一発かますと考えるのが妥当かね。いつも通り米国馬に占拠されるというのが実際的なオチか。

Sheema Classic

ここはHostがこえぇ。そう書くともう誰も読まないだろうから一応他のことも書く。Sir Percyは鉄砲が微妙な気がするけど昨年の春は大丈夫だったんだよな。Championのあれを除けば本命なんだけど。Youmzainはどこまで強くなってるか。Red RocksはBC Turfを観てもそんなに強い気はしないんだよなぁ。それならタフネスCollier Hillがまとめて面倒見ちゃうかも。人気になってるポップロックは2着と予想。


Dubai Duty Free

正直Lava Manなんで来るんだよと思った。Big Capでいいじゃん。日本の2頭で決まってもまったくおかしくないし、むしろ大いに想像できるんだけどなぁ。アドマイヤムーンは次の香港のWQEIICを獲るってオーナーの鼻息が荒らいみたい。ってことはここは叩き台?それはないか。力はあるし。このレースは何が勝ってもおかしくないな。Stormy Liverがここらで男になるかな。とりあえずPompeii Rulerにも注目。English Channelはアメリカ馬ってだけで印象悪いなぁ。アローワンスをトラックレコードで駆けてきたし見せ場は作れるか。


Dubai World Cup

Discreet Catが回避しなければ面白いな。この2頭見てるとPleasantly PerfectとMedaglia d'Oroの一騎打ちが懐かしく思える。どっちか片方が抜けても成り立たなくなるよな。Invasorは普通に走るだろうけどDiscreet Catのはちゃめちゃな勝ち方が観たい。数年前のPrince of Wales'sの時みたいに潰しあったりしないで兄弟は仲良くしなきゃだめだよ。といっても今回は2頭立てみたいなもんかもしれんし、それは無理か。Premium Tapは結局サウジの王様が持ち主でいいのかな。

Dubai World Cup展望。

2007-03-27 20:19:23 | 競馬
ノートパソコンのキーボードに珈琲がかかるという漫画のようなことをしでかしたので随分とお休みしておりました。あと、とりあえず4月からGWまでは更新は無理な場所にいそうです。元からそんなに更新してないって?本当にその通りですはい。さて、今年のDubai World C.(UAE-G1 D2000m)をまったりと見て行きましょう。

公式ページ

HORSE/WGT/OWNER/TRAINER
Discreet Cat (USA)/57.0/Godolphin/S bin Suroor
Premium Tap (USA)/57.0/King Abdullah bin Abdulaziz & Sons/John Kimmel
Bullish Luck (USA)/57.0/Wong Wing Keung/T Cruz
Forty Licks (ARG)/57.0/Prince Sultan Mohd Saud Al Kabeer/I Jory
Kandidate (GB)/57.0/A J Richards/C Brittain
Vermilion (JPN)/57.0/Sunday Racing Co Ltd/S Ishizaka
Invasor (ARG)/57.0/Sh Hamdan bin Rashid Al Maktoum/K McLaughlin

まだ枠順は決まっておりません。Gran Premio Carlos Pellegrini(ARG-G1 T2400m)連覇などの実績を誇るStorm Mayorが、出国書類が整わず、26日のブエノスアイレス発の飛行機を確保できなかったりと災難続きで結局参戦を断念(ふてきさん@異端血統最前線)したため、7頭立てに。先にドバイに行ってからサウジアラビア入り(移籍は今月最初に正式決定した)というややこしそうなプランで書類が余計にややこしくなったのかなと勝手に予想。


今のところブックメーカーのオッズで2.5倍をちょっと切る位で1番人気になっているDiscreet Cat。05年7月のメイドン勝利後Godolphinにトレードされ、6戦6勝と未だ負け無し。昨年のUAE Derby(UAE-G2 D1800m)も勝っています。前走は昨年末のCigar Mile H.(USA-G1 D8f)では1.32.46と伝説のトラックレコードに近いタイムを叩き出し圧勝。とにかくスピードの違いを見せ付けるようなレース振りをするお馬さんです。何だかんだ言うよりもInvasorに勝ったことのあるお馬さんと言えばわかりやすいかもしれない。
現在のところの不安は、当日に軽い熱発が出て前哨戦のBurj Nahaal(UAE-G3 D1600m)を回避したこと。レーシングマネージャーのSimon Crisford氏にると大事には至らなかった模様ですが果たして。関係ないけど04年の勝ち馬Pleasantly Perfectも熱発でSanta Anita H.(USA-G1 D10f)を回避した気がします。今までの最長距離はUAE Derbyの1800mなので、あと1fの延長がどう出ますか。

これに対するInvasorは前述のUAE Derbyで4着に敗れた以外は10戦全勝のウルグアイ三冠馬、というよりも昨年の米年度代表馬。米緒戦のPimlico Special H.(USA-G1 D9.5f)からDonn H.(USA-G1 D9f)までG1を5連勝。Discreet Catと違いレース振りは派手ではないですが、地力を感じさせる走りをします。この間のDonn H.では窮屈なところに入ったものの、前が空いてからはすんなり抜け出し貫禄の勝利。実績、順調さという面で言えばこちらが上。距離面での不安も全く無く、実力通りの走りはしてくるものと思われます。オッズは2.5倍ほどで僅差の二番人気。やっぱり派手さが無いんだろうねぇ。

サウジアラビアに移籍(「King Abdullah bin Abdulaziz & Sons」ってのがサウジのオーナーシップってこと以外はよくわからんけど、王族が何万人もいる国だからなぁ。調教師は未だJ Kimmmel師のまま)してAllamという新たな名前をもらったPremium TapはCustodian of the Two Holy Mosques C.(KSA-G1 D2400m:昨年までの通称キングズCが距離短縮したものだと思う。きっとこれが正式名称)を完勝。今年から東海岸に拠点を移したK Desormeauxがわざわざサウジまで乗りに行ってますと。昨年のBreeders' Cup Classic(USA-G1 D10f)でInvasor, Bernardiniに続く3着ということで、実力では上の2頭に次ぐことは間違いない。オッズは6倍位かな。

ヴァーミリアン(Vermillion, 英語だと格好良いな)は25倍前後の人気。実は地方交流重賞では4戦4勝と負け無し。2歳戦とはいえ、芝重賞を勝っていることはプラス材料だと考える。ダイワメジャーと合わせてスカーレットインクの一族の活躍を観たいところではある。とりあえず私はエルコンドルパサーが大好きなんで応援する方向ではあるのだけれど、争覇圏内に入るのはちょっと厳しいのかなと。

25倍前後の3頭の内の2頭目であるForty Licksは05年の亜年度代表馬。サウジアラビアに移籍してからは4戦4勝と圧勝続きで、管理するI Jory師、手綱をとるM Kinaneの評価も高かった。しかしPremium Tapsの4着に敗れてしまい連勝ストップ。しかもI Jory師のOmikron(覚えてますか?04年のJCDでブービーのナイキアディライトから更に9馬身程はなされた最下位だった彼を)にまで遅れをとる体たらくといいとこなし。今回は巻き返しなるかというところ。余談ですがStorm Mayorとの対決になれば、05年のGran Premio Carlos Pellegriniの1,2着が揃うことになったのか。Fire Wallもサウジにいますし、何だか凄いお馬さんがたくさんですねぇと。この辺りは南米に詳しい方々にお聞きするのが一番です(責任逃れ)。

もう一頭の25倍、香港のBullish Luckはここに出てくるのかと個人的に驚いた。昨年はDubai Duty Free(UAE-G1 T1777m)の方に出走して5着だったのでてっきり今回もそちらかと思ってました。欧州在籍時代から合わせても実戦でのダートは未経験だと思うのですが、香港にはオールウェザーがあるんでその辺りの調教を見ての参戦ということかなと。正直に言って未知数。でも、ちょっと怖い。

25から40倍と人気は無いものの、Maktoum Challenge Round II(UAE-G3 D1800m)を圧勝してきたKandidateが最後の1頭。昨年はSeptember S.(GB-G3 T12f)を勝っており、Round IIの着差だけ見れば、本番でも20倍の3頭よりは通用するんじゃないかと勝手に考えてるのですけれど。何でこんなに人気無いんだっけか。


あと残りの予想ははてなで

はてな

ひっそり先行発表。

2007-01-16 23:50:54 | 競馬
INVASOR RULES THE WORLD(sportinglife)

くそ忙しい時にはエントリを書きたくなるの法則。


というわけでランキングのプレリリース(多分)が発表されました。ちと上位だけを並べてみる。

Invasor 129 Kiaran McLaughlin (USA)
Bernardini 128 Tom Albertrani (USA)
Discreet Cat 128 Saeed bin Suroor
Deep Impact 127 Yasuo Ikee (Japan)
George Washington 127 Aidan O'Brien (Ireland)
Lava Man 127 Doug O'Neill (USA)
Rail Link 127 Andre Fabre (France)
Barbaro 126 Michael Matz (USA)
Dylan Thomas 126 Aidan O'Brien (Ireland)
Hurricane Run 126 Andre Fabre (France)
Electrocutionist 125 Saeed bin Suroor
Shirocco 125 Andre Fabre (France)
Heart's Cry 124 Kojiro Hashiguchi (Japan)

とまぁこんな感じです。123からは2歳馬が入ってくるのでここでストップ。個人的な感覚としては2004年と似ているなという感じです。126以上の世界十傑(といって良いのかどうかは知らんが)では二大陣営が3 vs 3ということで仲良く引き分け。

今年はとりあえずドバイの方々のお馬さん(『Godolphin』と言うとInvasorが入らないからなぁ)の活躍が顕著であった年ではなかったかと。アメリカで活躍した上位3頭は共にその関係のお馬さんですし、ちょっと下を見るとElectrocutionistもいます。急逝さえしなければもう少し良い数値も望めたかもしれませんが、とにもかくにも充実した一年ではあったでしょう。対するCoolmoreはGeroge Washington, Dylan Thomas, Hurricane Runとランクイン。ドバイ関連馬がアメリカで勢力を伸ばすのとは対照的に欧州で活躍しました。いや、それって毎年のことなんですが。

とにかく今年の前半がドバイさん(以下こんな略にする)が英国で勝てない勝てないで出走自粛なんてことにもなってましたから、後半戦の巻き返しは見事という他ありません。そんな中で孤軍奮闘していたElectrocutionistが亡くなってしまったことも、欧州におけるキャンペーンがうまくいかなったことをそのまま表してしまったと言えるかもしれません。これはひとえに、昨年後半に行った大量の現役馬の獲得がElectrocutionist以外はことごとく失敗に終わってしまった(Shawanda, Valixir, Silica's Sisterなど)ことに帰結できると言っても過言ではないでしょう。その反面、Belmont S.を制したJajilやスプリントで活躍したHunny Hughesなどを加えると、米国では欧州での失態が嘘のような活躍ぶりでした。来年以降はどうなるのか、目が離せません。

CoolmoreグループはK Fallonの英国での騎乗停止などもあり、満足な一年であったとは言えないでしょう。長距離でYeatsなどが奮闘したものの、本来のクラシックでの強さというのが鳴りを潜めてしまっているという感じでした。それでもGeorge Washingtonで2000 Guineas S.を、Dylan ThomasでIrish Derbyを獲得しているのですから凄いのですけれど。George WashingtonのBreeders' Cup Classicは健闘したとは言えますが、Dylan ThomasのJockey Club Gold C.は可哀想な程でした。Breeders' Cup TurfでのHurricane Runの負け方を見ても(あれはもはやMontjeuの呪いとでも言えそうですが)米国でのキャンペーンが不調に終わったことが不満の残る一因になっているのも間違いありません。

また、Prideが123, Ouija Boardが122を獲得したことも忘れてはいけません。セックスアローワンスがなんぼだったかは忘れましたが、共に芝の世界最上位にランクインするレベルだったことは見逃せません。Prideの唸りを上げるような末脚は目に焼きついて離れませんし、Ouija BoardのBreeders' Cup Filly & Mare TurfやAlexander Goldrunとの火の出るような一騎打ちは今年を代表するレースでしょう。

そして最後に日本馬の活躍が顕著であった年とも記憶されることでしょう。'Japanese sensation Deep Impact'という表現からもそれを窺い知ることができるのではないでしょうか。欧州遠征における実績は結果的に残すことができなくなってしまいましたが、少なくとも芝では最も高い数値をもらっているのですから、胸を張っていいでしょう。そして、ハーツクライもまた124を獲得したことは大きな前進です。

うまくまとめられませんがこれでおしまいということで。

bloodhorse的2006年。

2007-01-02 00:55:48 | 競馬
あけましておめでとうございます。昨年はあんまり更新していなかったのですが、今年は4月からは少し時間ができるはずなので更新回数が増えると良いですね(他人事)。

Seasons of 2006(bloodhorse)

さて、今年の一発目はbloodhorseのPatricia Ranft氏による2006年回顧。日本人の日本人によるアメリカ回顧とはまた違ったものが見られるかな、と期待していましたのでちょいちょいつまみながら訳してみるということで。

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冬。
Danzigが亡くなりました。筆者は何年か前の夏にDanzigのたてがみをもらったそうで、そういった意味でも印象深かったのでしょう。ここには書いていませんが、Maktoum殿下も亡くなりましたね。人馬共に巨星墜つといったところかと。

2歳馬がUS$16,000,000で取り引きされたのが3月のことでした。これは世界レコードの裏側。(06/5/25)にて詳しく書いております。CoolmoreとGodolphinが激しく遣り合った結果、ということを書いていますがその通りです。その後、なんですが。このお馬さんはバルバドスのゴルフコースから'The Green Monkey'と名付けられました。きっと、そのうち、1600万$の価値を見せてくれると思います。今はまだ・・・ね。

春。
長らく3月半ばだったFlorida Derbyの日程が大幅に変更になったのが昨年のこと、それまではFlorida Derbyの日にはTurfway Parkに友人と行ってたもんだよと書いてます。この日程の変更によりKentucky Derbyまで5週間という期間があることが微妙だよねーという話になっていたのですが、それを完全に覆すことになるBarbaroが出現しました。

Blue Grass S.ではSinister Ministerが12-3/4馬身差という大差の逃げ切り圧勝を飾ったのがこのレースでした。こういった大差勝ちのお馬さんは否応無く本番でも注目されるわけですが、05年もWood Memorial S.においてBellamy Roadが17-1/2馬身差で逃げ切っていましたね。そしてこの2頭は共に本番では沈みました・・・。

光もあるが影もある。Kentucky Derbyを無敗の6連勝で制したBarbaroでしたがPreakness S.ではまさかの故障、競走中止。生死の境を彷徨う大手術を耐え抜き、左後脚には今も20本以上のボルトが埋まっています。そして同時にBernardiniが輝いたのもこのレースでした。しかし、この時は余りにもBarbaroの故障が衝撃的で一部以外では正当な評価をされていなかったという記憶もありますが、ベイヤー指数は113と悪くはありませんでした。ちなみにゼッケンが「BERNADINI」となっていたのはご愛嬌。

夏。
Barbaroの状態は一進一退を続けるまま。そしてBernardiniがスター街道を上り始めます。あの故障に隠れて目立たなかったのが、Jim Dandy S.を9馬身差、Travers S.を7-1/2馬身差とぶっこ抜き、連勝街道をまっしぐら。'Someone reminds me that an acquaintance had said in late April “the best 3-year-old isn’t even running” in the Derby, in reference to the brilliant Bernardini.'という通り、確かにBernardiniの調教師だったかがそんなコメントを残していた気がします。

秋。
9/17、癌により05年のチャンピオンスプリンターであるLost in the Fogを失いました。そしてこのmid-Septemberには9/9にElectrocutionistが心臓麻痺で亡くなるなど、何か暗い時期でした。

そしてBreeders' Cup。Bernardini vs Lava Manという図式を打ち崩したのは『南からの侵略者』ことInvasorでした。アルゼンチン生まれでウルグアイのスーパースターという経歴を持つこのお馬さんが、輝けるBernardiniを直線で抜き去りました。

最後に筆者は「今年のヒーローはBarbaroだ」と書いています。えぇとどなたがどこで書いていたか忘れましたが、ベイヤー氏だったかの「活躍って意味で言えばInvasorなんだろうけど人気は断然Barbaroだよね。それで年度代表馬ってのもどうなんだろうね」的なコメントを訳されていたと思うのですが、正にそんな感じだと思います。その点日本は「特別賞」とかいう奥の手があることですしねぇ。

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こんな感じです。日本から見ていたものとさほど変わりはないかな、という気はします。あぁ良かった。

それでは、今年もよろしくお願いいたします。

三冠よ、矜持を持て。

2006-12-30 10:45:43 | 競馬
ディープインパクトが引退ということで、さて何を書けばいいのやら。いつも以上に読み手のいない文章になりそうですがまぁいいや。あんまり難しいことは書けません。

私がこのお馬さんを認識したのは若駒Sの後だったと思います。当時は「若駒Sで圧倒的な勝ち方を見せたお馬さんがいる」というのを耳にしただけでしたが、弥生賞までには随分と評判が上がっていましたっけ。元々レディブロンドやブラックタイドの印象が強烈だっただけに「あぁ、あのお馬さん達の弟ねぇ」という具合でした。事実、弥生賞の勝ち方が私にとってはさほどインパクトのあるものではなかった(最近インパクトのある勝ち方だと思った3歳春のレースはタニノギムレット@アーリントンC)だけに、世間の「三冠確実!!」みたいな風潮に辟易していたことも相俟って「ブラックタイドの方が強いっしょ」と言っていた記憶があります。

ダービー時には東京競馬場にディープインパクトの像が飾られるなど、胴元が不自然(不必要とまで言うつもりはありませんが)に盛り上げ役に走ってしまったということに対して嫌悪感を持ちました。とにかく「ダービーの時点で」というのがまずかった。「二冠馬」というのは確かに素晴らしいお馬さんではありますが、91年から06年までの16年間に於いて7頭(ナリタブライアン、ディープインパクトを含む)もいます。「公正競馬」と銘打つ程の組織ならば、そういった意味でも「公正を期して欲しかった」と思いました。というか像を出した時点ではまだ皐月賞しか勝っていませんし。

その半面、菊花賞の飛行船は心憎い演出だったなと思います。現地で観戦していましたが、古くはメイズイのくす玉にはじまりこの飛行船まで『負けたらどうすんだよ』と言わんばかりの演出をJRAがしたのは個人的にも良かったと思います(くすだま位は毎回用意しているのかもしれませんが)。もし負けたらあの飛行船は出てこなかったでしょう(勿論それを作ったことも内密に終わるわけで非常によろしい。「雑費」とかにしちゃえばいいし)し、こういったところで採算を度外視するのは大いに結構であります。JRAへの「頭の固いお役人体質」という批判を回避するための絶好の機会であったともとれるでしょう。逆に、ダービーの時点で等身大の像を作ってしまうなどあれだけ無茶をやったからこそ菊花賞時にもこれだけのことができたと言えるのかもしれませんが。

ただ、これが「ディープインパクトだからここまでやった」という面があったにしろなかったにしろ、胴元とそれを取り囲むファンの「三冠」に対する姿勢が如実に浮かび上がったのもまた事実です。そして、この『三冠に対する姿勢』こそが現在も形骸化していない三冠路線としての矜持を持つ要因の一つにもなるのでしょう。そしてまた、菊花賞を獲ることによって「三冠馬」として凱旋門賞に乗り込むという図式があったことで、ディープインパクトで競馬を知った方々にも非常にわかりやすい形で「世界戦への挑戦のための資格」を得たのではないかと思います。どんなスポーツにせよ「日本を制覇したから海外へ」というのが明確な分岐点になるわけで、そういった意味で非常にわかりやすかったことがディープインパクトを宣伝する上でも、応援する上でも好都合だったのでしょう。逆に、海外に於いても「無敗の三冠馬」というだけでもインパクトは十分であったこともまた付け加えておきたいと考えます。その上で「三冠」が形骸化せずに生き続けることの新たな側面を見た気がしました。

閑話休題。

翌年、凱旋門賞という大目標に向かう過程において更に天皇賞・春、宝塚記念と勝ち鞍を積み重ねていきました。とにかく凱旋門賞という目標が大きかったので私個人が見逃していたこととして挙げたいのが、古馬を代表する中長距離路線の5つの内、4つまでをもきちんと勝っているということは、もっと評価されてしかるべきでしょう。近年ならばスペシャルウィーク、ゼンノロブロイの3勝を上回るものであり、それも「ディープインパクトだから勝って当然」といった雰囲気の中でのものであるだけに、非常に価値の大きいものであり、また関係者の方々は並々ならぬプレッシャーを背負われたと思います。凱旋門賞のパドックになぜかJRAの理事長がいたりと不思議ではありましたが。どうなのよそれ。

凱旋門賞でのイプラトロピウムの検出についてはここでは語ることは何もありません。「もしも勝っていたら」というおそろしい想像をすることは容易ではありますが、この想像をさせること自体がディープインパクトの凄さかと思います。10回やったら3~4回は勝つんじゃないか、位のことは私も考えてしまいます。あさ◎における1972さんのコラムを見ていただければわかるように、海外では「作戦ミス」という評価が一般的なようです。武豊騎手が以前にホワイトマズルで脚を余して負けたということで「前で勝負しなければいけない」というプレッシャーがかかっていたのではないかというのはいささか邪推かもしれませんが、一番しっくりくる言わば「落としどころ」ではあるのでしょう。10年後に通っぽい方がそういうことを言うのではないかと思います。ま、そんな自分が一番言ってるのかもしれませんが。

さて、ディープインパクトについて語る際に必ず話題になるのが「新たなファンを引き込んだか否か」ということです。新規のファン層の開拓にはなったと思いますが、さてここからどうやってつなぎとめるかでしょう。ディープインパクトに代わるスターを探すなどということは至難の業であり「期待したことをやってくれる」お馬さんなど滅多に居ないのが実情です。

まだまだ競馬界を取り巻く問題は山積しています。しかし、形骸化していない三冠路線の有意義な面が新たに見つかったということ、それこそが「大衆文化」である日本競馬の『文化』としての成熟の一つの結果であったと考えてよいのでしょう。私個人の中で、ディープインパクトの存在はこのことを思い付かせてくれただけで永遠の存在になったと言えます。三冠を獲ることにより、4歳で凱旋門賞を狙うという目標の上では不利なのかもしれません。パートI国になった今、三冠レースを日本調教馬限定にしてしまうとカナダのようにノングレードレースにしなければならなくなるかもしれません。しかしその上で、世界に冠たる日本三冠路線として独自の地位を大事にして欲しいと考えます。