ヒロヒコの "My Treasure Box"

宅録、DAW、ギター、プログレ、ビートルズ、映画音楽など趣味の四方山話

U.K. 1979年初来日公演の思い出

2017年01月20日 | プログレ
 UK UK UK UK…!延々とわき起こる冒頭のU.K.コール。これはライブの主催者側がアーティスト登場前に観客に依頼し発生したものだ。国内盤ライブアルバムNIGHT AFTER NIGHTの解説にも述べられている。ということはそれを書いた川上史郎氏はその時その会場にいたに違いない。そして私自身もそうだった。U.K.の日本公演は今まで私が見た中で間違いなく最高のライブのひとつであった。

 1979年5月。3人組になり2枚目のアルバムを発売したプログレバンドU.K.が来日した。4名のスーパースターが集合したスーパーグループとの位置づけだったU.K.(そしてそれはそのとおりだったが)は、78年にファーストアルバム「憂国の四士」を発表した。実は私はあまり気に入らなかった。多分期待したとおりの楽曲ではなかったと感じたのだろう。(今は大好きなアルバムとなっているが。)しかし、その後ギタリストのアラン・ホールズワースとドラマーのビル・ブルフォードが抜け、フランク・ザッパの元でエディ・ジョブソンが共演したロック系ドラマー、テリー・ボジオが加入した3人編成によるセカンド・アルバム「デンジャー・マネー」はすぐに気に入った。多少ポップな要素も加わっていたが、1曲目のDANGER MONEYのようにプログレ・ファンが安心して聞くことのできるサウンドが満ちあふれているアルバムだった。そして、何よりもジョブソンのキーボードとヴァイオリンがとてもかっこよかった。そのU.K.が来日する、これは行くしかない。私は友人と示し合わせ、2回分の公演のチケットを購入した。

 さて、冒頭の話しだ。私達が行った2公演(79年5月30日中野サンプラザ、6月4日日本青年館)とも公演前に主催者がステージに登場し、本日の公演はライブ録音されますと宣言した。当然のことながら観客は大喜びである。そこで求められたのがU.K.コール。後日日の目を見たライブアルバムには私と友人の声も含まれているはずだ。そしてライブのオープニング曲はDANGER MONEY。このイントロが凄かった。ジョン・ウェットンの弾く(踏む)Moog Taurus Bass Pedal(ジェネシスでもおなじみ)の重低音が座席にまで響いて来たのである。それは椅子が震えるほどだったと記憶している。初めて聞くボジオの重たいドラミングも印象的だった。40年近く過ぎた今でも強烈な印象を忘れていないその曲は残念ながらアルバムには収録されていない。そこで後年西新宿に多くあったブートレッグの専門店で当時の日本公演の海賊版を探し求めた。今手元にはDANGER AFTER NIGHTという大阪での録音盤がある。比べると公式アルバムは多少のオーバーダビングを施しているかもしれないと思えるほど、サウンドは厚くて乱れがない。しかし当時実際に目にしたのは、たくさんのキーボードに囲まれて弾いたりヴァイオリンソロを奏でるジョブソンの勇姿、ウェットンの張りのあるヴォーカルと時おり伴奏楽器のようにも聞こえるベース・ギターさばき、そしてたくさんのタムとシンバルに囲まれ運動選手のように力強くたたきまくるボジオのドラムから成る迫力満点の素晴らしいステージだった。

 本公演で初披露された新曲Night After Nightはイントロの難しそうなフレーズをジョブソンがいとも簡単に弾く驚きの曲だったし、4人編成だったファースト・アルバムの曲をどのように演奏するのかという興味もあり、本当に堪能したライブであった。その後定番となったウェットンの「キミタチ、サイコーダヨ」のフレーズもこの時が初出だったはず。

 手元に残る当時の公演チケットを眺めながら良き思い出に浸っていた私だが、2013年ジョブソンはウェットンと組んでU.K.の2枚のアルバムを完全再現したライブを川崎クラブチッタにて行っていた。(続く)

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