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50年後のザ・ビートルズ追体験〜11月22日は「ザ・ビートルズ(通称ホワイト・アルバム)」

2018年11月22日 | ザ・ビートルズ
 50年前の今日、イギリスにてザ・ビートルズの2枚組アルバムが発売された。前作のMagical Mystery Tourからほぼ1年ぶりの新作であった。その通称「ホワイト・アルバム」を今レコード盤で聴いている。
        
 ホワイト・アルバムは1968年11月22日に本国英国にてリリースされた。当時の私は小学生で、自分がこのアルバムを購入したのはそれから2〜3年後の中学生の頃だった。その時にはキング・クリムゾンやイエスなどプログレ大好き少年だったはずだが、ビートルズ・ファンにもなっていた私は2ヶ月分の小遣いを貯めて何とか手にした記憶がある。しかし、知っていた曲はOb-La-Di Ob-La-Daくらいで、アルバムを通して聴いた最初の印象は短い曲が多くて何かまとまりがないなという感じだった。それでも、特にポールの作ったI Will、Martha My Dear、Mother Nature’s Sunなどはすぐ好きになったし、各サイドに1曲ずつ入っていたジョージの曲も気に入った。そして何度も聴くにつれ、そのI WillとWhy don’ we do it in the road?のポールの歌声があまりにも違うことに驚いたり、Rocky Raccoonのメロディが妙に耳に残ったり、BirthdayやEverybody’s Got Something…のロック調のリズムが体に染み込んだり、リンゴが初作曲したDon’t Pass Me Byのカントリーさを面白いと感じるなど、徐々にアルバムの楽しさや良さがわかってきた。その中であえて一番好きな曲をあげるとしたらGood Nightだろう。自分はポール派だと思っていたが、この曲はジョンの作曲。ゴージャスなストリングス・サウンドとリンゴの渋い歌声に魅了された。しかし、何だかよくわからないRevolution #9もジョンが作ったということがわかりビートルズの奥深さを知ったのはずっと後のことである。
          
 今思うと、サージェント・ペパーの「総天然色」から「真っ白」になった(中身のポスターはサイケデリックな側面もあるけど)訳は収録された曲に現れているのではないだろうか。ビートルズのメンバーは68年2月頃からインドの瞑想キャンプに赴きそれぞれが曲を書いた。同行したドノバンからアコギを借り、そして演奏法を教わったそうだがその成果が多くの曲に現れている。5月には50周年デラックス盤にセットされた「イーシャー・デモ」で聞かれるように4人が集まり持ち寄った曲で新作に向けてのセッションを行った。この時はメンバーが結束してアルバム作りに向かっていたと感じられる。しかし、その後スタジオ入りしてからはオノ・ヨーコの出現などで人間関係がこじれ、リンゴの一時脱退という事態まで引き起こし、レコーディングはぎくしゃくしたものとなった。こうなるとそれぞれの曲をそれぞれで作り上げるという動きになるのは必然だ。ジョージが若きクラプトンにギターを依頼し録音したような動きもそれまでにはなかったことだ。だが、こうした様々な出来事が改めてバンドとしての結束感を導いて、最終的に2枚組アルバムの完成に至ったのである。結束から個別へ、個別から結束へという流れがバンドとしてどうあるべきなのか、どう進むべきなのか白紙に戻して提起した、そんな思いがこの真っ白ジャケットに表されているのではないだろうか。などと独りごちていると、実際にはこのアルバム用にイラストが準備されアルバムタイトルも別案があったが、他のバンドが似たようなアルバムを出すことがわかり、従来との対極にある「白紙」に戻ったということだったらしい。まあ、個人的感想なのでご容赦を。
        
 私が所有する本作は中学生当時に買った国内ステレオ・アナログ盤、30周年記念の紙ジャケ盤とTHE BEATLES IN MONOのCD、MONO LP BOXのアナログ盤、そして先日発売された50周年デラックス盤CD3枚組の5種である。今日は50年後の追っかけビートルズの日なので2種類のアナログ盤を聴いている。特に国内盤LPは聴きたい人に貸したり、押し入れの中に置いたままという状況だったのでジャケットの表面がすっかり汚れてしまっている。打たれたナンバーはA 080681。この番号は何を意味するのだろうかと今更ながら思う。そして、この国内盤には4面とも曲間の溝が見あたらない。確かに音的にも切れ目なく曲が続く所もある。そのつもりでモノラル盤を見たら曲間がわかる作りになっていた。これにも何か意味があるのだろうか?また、この頃にはステレオ・ミックスでのリリースに意味が出始めていたので、メンバーもその気になってステレオ盤を制作したとのこと。事実アメリカと日本ではステレオのみのリリースだったらしい(米国では11月25日、日本は69年1月21日発売)。
        
 本アルバムの制作・発売時期には様々な出来事があったことが各文献に詳しい。例えばジョンの大麻所持逮捕と離婚、ヨーコの流産、ビートルズ初のソロアルバムとしてジョージの「不思議の壁」の世界リリース、立ち上げたApple Recordsの経営など。こうした中でリリースされたホワイト・アルバムは50年後の今も大きな話題となるほどの問題作であり、ロック・ミュージックとしての傑作なのだと思う。本ブログでも結果として3回も記載することになったのは、結局の所私自身も色々思うところのある大好きなアルバムであるということなのだ。

※参考文献
 THE BEATLES REMASTERED CD GUIDE(株式会社ミュージック・マガジン)
 THE BEATLES MATERIALS VOL.1(同上)
 ビートルズ・ストーリー’68(株式会社音楽出版社)

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