goo blog サービス終了のお知らせ 

ヒロヒコの "My Treasure Box"

宅録、DAW、ギター、プログレ、ビートルズ、映画音楽など趣味の四方山話

大学時代のバンドLamb(ラム) について〜曲のリミックス・ヴァージョンをアップしました。

2022年03月28日 | 音楽制作

 東京での学生時代の最大の思い出はバンド活動である。2年生から軽音楽同好会に所属した私は3年生の頃、その後も縁を持ち続けることとなったメンバーとバンドを結成した。本来プログレ好きの自分だが、まさにその手のコピーバンドとして活動を開始。当初はイエスやジェネシスなどのコピーだったが、その後オリジナルにも着手して、集大成として卒業までにアルバムを作ろうということになった。それが写真にある「招待夢」(しょうたいむ)である。主たる録音が1980年3月と記載されているので、42年前の今頃頑張って制作していたことになる。

    

 バンドのメンバーはドラムのYくん、キーボードのKさん、そしてヴォーカル担当の私の3人。ギター・メンバーがなかなか定着せず、結局私が高校時代に一緒にやっていた他大学のTくんにお願いした。これが見事にマッチング。そしてベースは飛び入りで練習に参加してくれたベーシストSくんを皆がとても気に入り、口説いて何とか加入してもらった。

 その他このアルバムには多くの人達の協力を頂いた。今考えると皆さんよくぞそこまで力を注いでくれたと感謝に堪えない。まずは録音にエンジニアとして携わってくれたMさん。当時某レコード会社の社員で、個人的に4チャンネルのオープンテープ・デッキを所有しておりそれを惜しげも無く使用させてくれた。三田にあったMusic Studio OUR HOUSEのYさんも、趣味だからということで無償で8チャンネルのテープレコーダーで演奏を録音してくれた。この方々の協力がレコードのベーシック・トラック音源になっている。さらに、「晩秋」という曲ではヴァイブラフォンのソロを入れたのだが、その奏者は、これまた高校時代のドラム担当メンバーだった他大学のAくん。そのヴァイブラフォン自体は楽器店から無償で貸してもらい、彼の自宅で録音した。ベースのS君が加入する前に暫定的にベースで参加してくれたTくんも彼の友人。さらに、アルバムジャケットや各楽曲をイメージしたイラストの数々。これらは当時の女子高校生達の手によるものだ。

 アルバムの制作はその後、オーバーダビングやマスタリングなどの処理があり、結局卒業までには完成しなかった。バンド・メンバーも社会人としてそれぞれの道に進んだ。私は北海道立の高校教員となり某地域に赴任。そこで出会った生徒達にイラストや歌詞のタイピングなどをお願いした。これは決して教師としての立場を利用したのではない、と釈明させて頂く。明らかに才能のある美術部員の生徒2名、そして商業科の生徒にレコード制作の話をしたら、とても興味を持ってくれたのである。特に、当時はワープロやパソコンなどない時代だから、和文をタイプするのは「和文タイプライター」という特殊な機器と技術が必要だった。商業科の生徒はそれが当たり前のようにできた。Fさんは一生懸命歌詞を打ってくれ、そしてSさんとKさんの手によるイラストと共に立派な歌詞カードが完成した。アルバムジャケットのイラストも、「招待夢」という言葉からの連想をイメージ化したものだが、全体の楽曲が持つトーンを端的に表した秀作だと思う。本当に感謝である。

 さて、前置きが長くなったが、この度このアルバムのリミックスに着手した。最初に仕上げたのがA面3曲目の「晩秋」である。これは私の曲であるが、主な編曲も自分で行った。学生最後、バンド活動最後だからという思いで、やりたいこと全てをつぎ込み、とても過重なアレンジとなっている。だが、それらを見事に演奏しているメンバーの力量が凄い。この曲では、大学のサークルで女の子バンドのヴォーカルをしていたRさんにソプラノボイスでの参加を依頼。彼女も無償で協力してくれた。YouTubeにアップしたので、ぜひお聴きください。

    

    「晩秋」はこちらから。

 続いて、「真夏のかげろう」。ギターのT君の曲に私が作詞した作品。実はこの曲はアルバム未収録。私が北海道に戻ってしまったなか、東京在住の残りのメンバーで伴奏パートを録音。その後私の歌を仮に入れたがそのまま放置されていた。今回、そのヴォーカル・パートはそのまま使い、ハモりや12弦ギターなどを加えて形にしてみた。40年ぶりの完成である。

    

    「真夏のかげろう」はこちらから。

 他の楽曲も暇を見つけてリミックスに取り組む予定である。今回、40年ぶりに自分たちの作品、アルバムを見つめ直し、当時のメンバーの意気込み、努力、そしてその成果である演奏力を思い出すことができた。何よりも、繰り返しになるが、周りの皆さんの多大な協力があったことを改めて実感。もう連絡も取れない人も多いが、この場を借りて心から感謝申し上げたい。ありがとうございました。


No More Heavy Snow! と最近の音楽

2022年02月23日 | ミュージック

 災害級の大雪である。年末年始、そして2週間前にも大雪を経験し、公共交通機関の運休が発生した中、追い打ちをかけるように今週もまた来てしまった。近くの郵便集配ポストも写真のとおり。実際にはこの後さらに大雪に見舞われた。ボヤいてもしょうがないので、

閑話休題。

最近、カバー曲やオリジナルをアップしたのでよろしくお願いします。特に宣伝もしていないのでほとんど見られていませんが(笑)、、、

まずは大好きな久石 譲氏の映画音楽から、「風の時間」(映画「ふたり」)と「Silent Love」(映画「あの夏、いちばん静かな海」)のメドレー。


久石譲メドレーはこちら

続いて、村松健氏の楽曲から「レインフォーレスト〜ひぐらしの森」。主旋律があまり弾きこなせていません、、、


レインフォーレストはこちら

以上の2曲は、90年代に北海道美唄(びばい)市で開催された、Live Under The Space Callion で演奏させて頂きました。

さらにオリジナルを2曲紹介。
「ラム酒とワイン」。ボサノバです。


ラム酒とワイン」はこちら

「素敵な君」。これは87年に作った曲です。録音も4チャンネルのカセットテープレコーダーでした。
年明け、息子にカウンターメロディとハモりを加えてもらいました。


「素敵な君」はこちら

音楽シリーズ、機会を見て続けます!

 

 

 


令和4年1月にあえて MacBook Air 整備済製品を買う(その2)

2022年01月12日 | 音楽制作

 年末年始に当地は豪雪地帯になってしまった。今日も昨晩から降雪が続き、その降り方はご覧のとおり。これが水分を多く含んだ重たい雪で、対処するのに汗だくになった。除雪は良い運動、という言葉を遙かに超える今日この頃である。

   

 さて、前回ご紹介したM1 MacBook Air、使ってみてその早さに驚いた。快適である。まだ重たいソフト使用や作業をしていないのだが、感覚的にはiMacのIntel Core i7より遙かに早い。ついでに内蔵スピーカーから出る音も素晴らしい。しばらく動画サイトの音楽を聴き続けるほどであった。

  

  そして前回言及したように、HDMI接続、SDカードスロット使用対策として注文したUSB-Cハブが到着。品はExcutyというブランドの 7-in-2 USB Type C ハブである。USB 3.0ポート3個、Thunderbolt 3 ポート1個、4K HDMIポート1個、Micro SDカードリーダー 1個、SDカードリーダー1個という構成だ。本体に装着すると色合い的にはぴったりである。そして、HDMIのみまだ試していないが各ポートの反応に問題はない。ただ、SDカードやUSBメモリを繋げると写真のようにかなり横長になってしまう。そして、パソコン本体の蓋を閉じてスリープ状態にしても左端のライトが点灯したままなので、多分その間充電が消耗している。試しに装着したままスリープ状態にして一晩様子を見たが、充電がかなり減っていたので、スリープの時は外した方が良いと思われる。だが、USB-Cポート2カ所とイヤホンジャック1カ所しかないAirにはこのようなハブは必須だろう。値段も3,680円とそれほど高価ではなかったので重宝すると思う。

  

 ついでにと言っては語弊があるかもしれないが、Inateckというブランドのポーチ付きケースも購入。こちらは1,600円ほどであった。サイズ的にAirにピッタリで、十分なクッション付き。色合いも良いのでこちらも活用していこうと思う。

  


令和4年1月にあえて MacBook Air 整備済製品を買う

2022年01月05日 | 音楽制作

 令和4年最初の買い物はM1 MacBook Air のデフォルト・モデルである。本当は昨年、新型MacBook Pro 14インチの発売を待ち購入する予定であった。だが、いざリリースされると価格が25万ほどすることがわかり、その夢は瞬時に消えた。それでも、Macのノートパソコンは手元に置きたく、Air の基本モデルがアップルの整備済製品として9万7千円台で発売されていた(1月2日現在)ので、いろいろ考えた末これに決めた。

  

  

 今年MacBook Air の新型が登場すると言われている。様々にリーク情報が出ているが、同時に現行のこのM1 Air も最高のコスパ商品として評価が高い。基本的にYouTubeチャンネルのインフルエンサーの多くが褒めちぎっているということで、この期に及んでではあるが心が動いた。恐らく私が今の仕事において必要なことの範疇であれば、この1台で十分なはずだ。

 当初、MacBook Pro を考えていたのは、外部ポートにHDMI端子が復活したこと*と外でDTMをやる見込みがあったからである。具体的には趣味でやっている音楽制作でヴォーカルをお願いしている相方の歌を外のスタジオで録音するという思惑があったのだ。このご時世なので自宅まで来てもらうのも難しいだろう。Proなら重たい音源があってもサクサク動くはず。だが、調べてみると、その程度ならこの最低スペックでも充分のようだ。使用するソフトはCubase 11 なのだが、不要な音源はなるべく入れないようにしつつM1でどう動くのか、今後検証してみようと思っている**。

 そして、もう一つは、私はかつて2009年という遙か昔だが13インチMacBook Proをメインで使っていた。スペースグレーの色合い、持ち運びやすい大きさ、そして性能の良さに満足していたのだが、数年後突然起動しなくなった。いろいろ調べたらロジックボードが破損したことがわかり、修理には7〜8万かかるだろうと言われ使用を断念。今までアップル製品をたくさん使っていたが、唯一の故障品となった。その思いがスペースグレーのノートパソコン購入に繋がっている。新型Air(もうAirの名称は消えるかも)はカラーが増えるらしいがスペースグレイ色が残るかどうかはわからないからという判断もあった。

 実はMacBook Air の同じものを妻がすでに持っている。ノートのマックは多分4台目だと思うが、本製品はバッテリーの持ちが長くてとても快適とのこと。そして、注文して2日後に届いた私のこれは、OSはMonterey(12.0)になっていた。整備済製品と言っても、全く新品を購入したのと同じようにシールドされた箱に入り、本体も全く問題なし。今メインで使っているインテルiMacはCore i7のCatalina(10.15)。OSもM1チップも私にとっては初めて。今後いろいろ試してみようと思う。
*HDMI接続に加えてSDカード使用対策としてUSB-Cハブを別途注文中。到着次第検証してみる。

**Cubase 11が現在MacOS Montereyに未対応である。しばらく待つしかない。


ザ・ビートルズ Get Back を見て

2021年11月28日 | ザ・ビートルズ

 ザ・ビートルズのGet Back(Disney+チャンネル)を見た。1969年1月の約1ヶ月にわたるセッションの膨大な記録を3本のパートに分けて構成したものとなっている。

   

   (ディズニー+公式チャンネルからhttps://www.disneyplus.com/ja-jp

 まずは50年前とは思えない映像の美しさ。丹念にブラッシュアップしたのだろう。全体で8時間ほどあるのだが、パート1は集まれば何とかなるだろう的見切り発車な内容のため、2時間半を見るのは辛いものがあった。だが、パート2に入り、特にキーボード奏者のビリー・プレストンが参加したあたりからバンドの雰囲気が変わり、俄然面白くなってきた。そしてパート3のメインはあの伝説のルーフトップ・ライブ。これが通しで見られるだけでもこの作品的価値は大きい。

 いくつか気のついたことがある。まず、かつての映画LET IT BEの印象から、このセッションはメンバーのエゴがむき出しになり暗い雰囲気に終始した、と思っていたのが決してそうではなかった。確かに意見の相違や一時的にジョージが脱退したなどのトラブル発生もあったのだが、クリエイティブな活動の中で異なった意見が出るのは当たり前である。それを乗り越え曲を仕上げるため悪戦苦闘・試行錯誤していた様子を知ることができた。時には真剣に、時にはユーモアを持って。その気になればメンバーが力を合わせ充分に成し遂げることができたのだ。だからこそ、次のABBEY ROADが産まれたのだろう。

 次に曲を仕上げる手順として、特に作詞に関してお互いに考えを出しながら進めていたことがよくわかる。レノン/マッカートニーとクレジットされていたのはそういうことかと改めて理解した。場合によってはジョージも自曲について「この後が思いつかなくて」などとメンバーに話していた。

 こうしたメンバーやスタッフとのやり取りは実はすでに公表されており、日本では青土社刊藤本国彦著の「ゲット・バック・ネイキッド」に詳しいとレコード・コレクターズ11月号のLET IT BE特集で紹介されていた。当然ながらその記事の記述とGET BACKは映像的に重なっている。

 パート3で紹介されるルーフトップ・ライブは直前まで行うかどうか迷っていたらしい。だからこそ事前の配慮するべき準備が何もなされていなかったのだろう、演奏が始まって騒音、治安妨害として2名の警察官がやってくる。彼らの氏名も紹介されていたが、職務上トラブルとして対処しなければならなかった彼らの毅然とした、そして少し困った表情が印象に残った。

 それにしても、このルーフトップライブには興奮した。ライブバンドとしてのビートルズの演奏力はさすがであった。そしてビリー・プレストンのピアノがそれに彩りを加え、最高の演奏を作ってくれた。周囲の人々の反応も面白かった。多分、旧作映画のLET IT BEを見た時にも思ったはずだが、改めて感じた次第である。だが、これだけの曲の録音素材がありながらも結局はしばらく放置されてしまうことになる。

 こうしたことが理解できるGet Back は長尺だった。古くからのビートルズ・ファンにはとても受けると思うし私は大満足だったが、リアルな彼らを知らない世代にはどうか。せめて2時間程度に再編集し、映画館で見たい人がだれでも見られるようになればさらに良いと思う。


A Momentary Lapse of Reason / Pink Floyd : ピンク・フロイド「鬱」リミックス&アップデート・ヴァージョン

2021年11月07日 | プログレ

 ピンク・フロイドが87年に発表したA Momentary Lapse of Reason(邦題「鬱」)のリミックス&アップデート・ヴァージョンが単体でリリースされた。19年に発売されたThe Later Years のボックスセットに含まれていた音源の単独発売である。

  

 このオリジナル版が発売された当時はまだレコードが主流で、私も輸入盤を購入していた。ロジャー・ウォーターズとの別離を経て残り3名がクレジットされた(厳密にはリック・ライトはゲスト参加)新生ピンク・フロイドのアルバムということで大変期待していたと思う。針を落として1曲目のSIGNS OF LIFEからフロイドらしいオープニングで、また全体的にギルモアの独特のギターサウンドが聴かれ充分に満足したことを覚えている。LEARNING TO FLYのような地味だと思われた曲も、後のライブ映像を見て改めて好きになったりしたものだ。

 今回のヴァージョンではニック・メイソンの新たなドラミングが加味され、またリック・ライトの使われていなかったキーボード・サウンドを復元したのが「アップデート・ヴァージョン」の意味らしい。実際どこがどのように変わったのか?これを判断するのはなかなか難しいと思ったのだが、試しにアルバム最終の曲で、私の大好きなSORROWを新旧で比較してみた。

 まず気がついたのはドラムのスネア音である。旧ヴァージョンでは深くリバーブがかけられており、これは80年代のロックサウンドでは必須な音処理であった。が、アップデート版ではそれが無くなり、生音のようなサウンドである。また、曲の終盤のキーボードが旧ヴァージョンではデジタルシンセがメインに聞こえるが、アップデートではオルガンがメインになっており、これは間違いなくリック・ライトの奏法である。ここだけで判断すると、80年代の打ち込み+デジタルサウンドが本来のバンドサウンドに変わった(戻った)処理をしていると思われる。実際、ニック・メイソンのインタビューを読むと、「リックの仕事の一部を改めて取り入れる機会を得たのも良かったね。(中略)バンド感を圧倒的なものにしてくれた気がする。このリミックスのメリットの1つがそうであるといいね!」と語っている。(SONY MUSIC https://www.pinkfloyd.jp/artist/PinkFloyd/info/532843

 アルバム・ジャケットの写真も変更されている。今ならこの砂浜に置かれている無数のベッドはCGだろうと思うかもしれないが、本物を使ったヒプノシスの作である。旧バージョンでは右奥に数匹の犬がいるが、新バージョンでは海水が流れ込んでいる別ショットが使われている。これもリアルな場面なのだそうだ。そして飛行機が大きく写し出されているのだが、旧作のジャケットをよく見ると奥の方に小さく飛んでいる。だが、今回使用されたのはそれではなく新たに撮影された機体とのことだ。オリジナルのアートワークを大胆に変えたことで、まさにアップデートの意味合いが深まっていると思う。

 なお、私が今回購入したのは輸入盤の1CDと2枚組のLPである。LPの方は180g重量盤でハーフスピード・カッティングの45回転仕様。当然のことながら音は抜群に良い。そして付属のブックレットも大きく見応えのあるものとなっている。


アコギ談義その4 YAMAHA FG-400D

2021年10月29日 | ギター

 ヤマハのFG愛好家には80年代の名器と謳われているらしいFG-400D。妻が高校生の頃買ってもらったという一本である。かつて、もう弾くことはないので処分してと言われたことがあるが何とか確保。ただ、私も詳しいことは知らなかったのでネットで検索。

 トップはエゾ松単板、サイドバックはパリサンドル(合板)。ネックはナトー、指板と下駒はローズウッド。ペグは前期TM-30Dのゴールド仕様、というスペックである。長年放置しており弾きづらい状況が生じていたためリペアに出したことがある(ここに記載)。そして、弾きやすく、きらびやかで大音量を出すギターとして戻ってきた。

 エゾ松は北海道で取れ主にピアノ用の響板材とのことだが、そのためかヤマハがギターのトップ材として使用。今は貴重で、ギターには使われていないと聞く。見ると所々黒く変色している部分があるが、逆にそこが良い雰囲気を出している。サウンドホール周りやバイディングの装飾、ゴールドのペグも豪華。バックの木目も際立っており目を引く。メインとして毎日弾くわけではないが、時々味わってみたい音色と魅力を持つギターである。


ザ・ビートルズ LET IT BE スペシャル・エディション版が到着

2021年10月24日 | ザ・ビートルズ

 10月15日のリリースに伴って数日遅れでLET IT BEの50周年スペシャル・エディション版が到着した。同時に久しぶりにレコード・コレクターズの11月LET IT BE特集号も買ってみた。今回のスペシャル・エディションについて何の予備知識もないので同雑誌の力を借りようと思ったのである。

  

 さて私が注文したのはリミックスの音源+アウトテイク・ハイライトの2枚組CD版である。まずジャイルズ・マーティンによりリミックスされた音源は、最初に聴いただけではオリジナルミックスとの違いが分からなかった。I’VE GOT A FEELING の最後でジョンとポールが違ったメロディを同時に歌う部分があるが、確か左と右に明確に分かれていたが、今回は中央に寄っているかな?と思った程度である。ということでレココレを紐解く。76ページからのスペシャル・エディション解説(文・小山守)によると各楽器の分離が薄まって丸みを帯びた音像になっていて、同時にヴォーカルの生々しさがいっそう際立っている、特に数曲で聞かれるオーバーダビングされたストリングスの音が全体に溶け込んだ質感になっている、という。それを読んで、やはりI'VE GOT A FEELING のヴォーカル処理もそういうことかと、改めて聞き直してみた。でも、やっぱりあまりわからないな、、、まあこのアルバムは、変わりすぎない方が良いのかもしれない。それにしても、収録時間はトータル35分程度しかなかったのですね。

 ディスク2の方は多分初めて聞くものばかりだ。リハーサル的ではなく完全演奏のテイクが多いのが良かった。これもレココレに詳しい解説が載っているのでとても参考になった。音源についてのみではなくレココレの特集記事ではLET IT BEが出来るまでの背景なども改めて説明されていて、読み応えのある内容であった。

 なお、付属のブックレットにポールの言葉や、詳しい解説、そしてレコーディングの詳細などが記載されている。時間のある時にじっくり読んでみたいと思う。

 そして来月いよいよ映像版GET BACKがディズニー・プラスで配信される。楽しみに待ちたい。


祝!ジェネシス復活コンサート!!"The Last Domino? Tour"

2021年10月11日 | プログレ

 一番好きなロックバンドであるジェネシスが先月末からとうとう復活コンサートThe Last Domino? Tourを開始した。延期に次ぐ延期があったが、まずは開催を祝したい。そして、YouTubeのサイトではそのライブの模様をアップしてくれている人達がいて、全容がつかめる。何と有難いことか!それにしてもイギリスでは普通に客が入り、普通に盛り上がっている。もうそんな状況になっているのかと、まずはそちらに驚いた。

 ジェネシスのライブは、バリライトの開発に関わった経緯もあり照明にはいつも凝っている。今回もドミノ風のオブジェが天井に設置され、そこから縦横無尽に光が飛び交う。動画を通してもその様子はわかるが、やはり会場内で経験してみたかった!

 オリジナルメンバーのマイケル・ラザフォードやトニー・バンクスは70歳を超えているだろうが、昔と変わらないスタイルで楽器に向かっている。フィル・コリンズは脊髄手術の後遺症?からほぼ椅子に座ったままヴォーカルに専念する。サポートギタリストのダリル・スターマーは割と元気にギターを弾きまくり、そして今回はフィルの息子であるサイモン・コリンズがドラムで参加。彼のドラミングは父親とは違って重たい感じのトーンだが、複雑なジェネシスの曲をこなしているのはさすが父親譲りだ。

    

 ところで動画を見ていてオープニングのBehind The Lines でマイクが手にしているベース・ギターに目が行った。驚いたことにどうもYAMAHAのモーションベースなのではないかと思われる。私が持っているベースギターが古いヤマハMB-40なのだが似ている。いわゆるP/Jピックアップ(プレジション型とジャズベース型の両方を備えている)であり、ヘッドのデザインがYAMAHA、というかその丸形ロゴマークでほぼ間違いないだろう。私が所有するのは安価なものでコントロール用ツマミの数などが違うのだが、調べてみるとMBベースは90年前後の時代に発売されていて、高価な方ではMB-1やMB-75というモデルがあったようだ。マイクが弾く個体にはゴールドに輝くブリッジが見られ、MB-75と似ている。今このデザインと同じモデルは出ていないので、マイクはセミビンテージのヤマハを使ったのでは、と思われる。それもオープニングで。そういえば、ジェネシスとして初来日した78年の雑誌取材記事で、持ちこまれたアコースティック12弦ギターがAlvarez 製と紹介されていたことを思い出す。これは日本のK.YAIRIの輸出仕様である。実はマイクは日本びいきなのかもしれない。

 ちなみに私の持つMB-40はミディアムスケールのベースギターで、体が小さい私にはちょうど良いかと思って数年前に購入した。だが最近こちらの練習はサボっている。この機会にスラップ弾きの練習を再開しよう。

 ジェネシスの祝!復活コンサートが私のベースギターの話しになってしまった。ライブの写真はYouTubeのこちらから。もちろん、今後もジェネシスの活動に注目していきたい。


アコギ談義3 ギブソンVS マーティン(その2)

2021年10月09日 | ギター

      

 さて、今回のお題のギブソンVS マーティン。と言っても対決しているわけではない。製造年も張っている弦も違うので正確な比較はできないだろう。ただ言えるのは、マーティンM-36のボディはJ-45ほど深くはないにもかかわらず圧倒的に音量が大きいということ。このギターが95年製の26年選手だからだろうか?J-45とは逆に5〜6弦の響きが厚く感じる。意外だったのは試しに張っていたFenderの弦がこの上なくいい音がすること。値段は500円台である上に、数ヶ月交換していなかったので久しぶりに弾いた時に本当に驚いた。もう一度この弦を使って確認しようと思う。

     

 M-36を改めて説明すると、トップはスプルース単板。サイド&バックはローズウッド単板。ネックはマホガニーで指板はエボニー。”0000”(クアドラ・オー)シェイプとも呼ばれ、”000”(トリプル・オー)シェイプよりも一回り大きなサイズで、広く、豊かな低域とレンジを持つという。他にはローズウッドブリッジ、べっ甲柄ピックガード、D-35と同じ3ピースのバック面や、指板のホワイトバインディングなど、個性的な仕様も備えている。

 私の個体は1995年製、お茶の水の楽器店Hobo’sで中古で購入。こちらも試奏なしのネット購入だった。ただ、Hobo’sさんには以前訪問して、店員さんと話をしたことがあった。信頼感と買いやすさがあった気がする。このギターをホームページで見つけた時もメールで何度かやり取りをして状態を確認し、スタッフの言葉を信じて購入に至った次第だ。

 M-36はあのジョージ・マーティンが愛用していたとMartin Club Japanのホームページでは紹介されている。録音スタジオ向きのサウンドと考えられていた節がある。我がギターは25年以上の歳月が過ぎ、トップのスプルースは深い飴色になっている。前回、J-45の甘い木材の匂いについて述べたが、実はこちらも木材の良い匂いがする。これがK.YairiのエレガットCE-1になると完全に木の匂いだけなのだが、この魅力的な香りは何なのだろう?

 J-45はサイドとバックがマホガニーである。実はM-36の前にもう一本、マーティン・ギターを買っていた。こちらに詳細を載せたが、OOO-1である。(現在は息子の所有。)このギターもサイドとバックはマホガニーで、これもなかなか良い音を聞かせてくれる。一方、M-36はローズウッド。どうしてもローズウッドの一本が欲しかったということで購入に至ったわけである。

 ここ10年の間の物価上昇が影響したのか、名のあるアコギの中古価格は今は20万円台になっているようだ。私が探していた頃はまだ10万円台で買えたと思う。当然ながら予算的にはこれ以上は増やせないということになる。目移りはしやすいのだが、今あるものを大切に、いつまでも使っていければと思う。


アコギ談義その2: ギブソンVS マーティン

2021年10月03日 | ギター

 ロンブーの敦氏が、シンガー・ソングライターとして「あいみょんみたいになりたい」という理由でアコギを買いに行く動画がYouTubeにアップされている。楽器店で最初に見たのがテイラーのコーナーだった(すでに一本所有している模様)が、その後店員さんの紹介でギブソンのJ-45を手にしてかなり気に入った様子。それで購入決定かと思いきや、マーティンも見たいということでD-45を試奏する、という展開であった。このように、アコギと言えばやはりギブソンとマーティンの名前が出てくるだろう。そこで、今日の談義テーマはギブソンVS マーティンである。両者のギターにはどのような特徴があり、どちらが良いのか?などを論じたサイトや動画はたくさんアップされている。そこで、たまたま私も両方のギターを持っているので今回談じてみたい。

 この話題として紹介される定番のマーティンのアコギはD-28だろう。だが、私が持っているのはM-36というマイナーなギターである。最初はD-35を所有していたのだが、それがM-36に代わった。一方ギブソンはJ-45。先に購入したということでJ-45から紹介しよう。

    

 J-45についても本ブログで紹介したことがある(こちら)。Rim Shotというアリスのベーヤンさんがオーナーをしている楽器店から購入した2006年製、赤ラベルの中古だが、直に店に行ったのではなく、ネットショッピングである。だから試奏もせず、ただ店の説明と写真を見ての購入だった。いろいろ探して最終的にこれにした理由の一つは「価格」である。上を見れば切りのない中、無理すれば手の届く範囲だったと思う。それでも高額だったので、この時だけはローンで購入した。一度も弾かずに高額なギターを買うなんて、今考えると無謀である。だが、北海道の地方に住んでいた私は近くに楽器店はなかったからネットショッピングだけが頼りだったのだ。思いが叶ったのか、届いたギターはお気に入りの一本となった。最初の一振り?からとってもいい音がしたのだ。当たり外れが分かるわけもない自分だったが、少なくとも、これがギブソンの音なのか!と感動したことを覚えている。そして、他のYouTube動画で言っている人もいるが、ギターの匂いがとても良い。リッケンバッカーの620を新品で購入した時は塗装の甘い匂いがしたのだが、J-45はサウンドホールの中からその匂いがするので、多分木材の香りなのだろう。それにバニラのような香りがミックスされた何とも心地良い匂いなのである。

 話がそれてしまったが、私のJ-45は今年で生誕15年となった。深いボディの振動が体に伝わるふくよかな音なのは購入当時と変わらない。そして、抱えていても弦の美しい響きがストレートに耳に伝わってくる。特に2弦の響きが良い意味で異質で、他の弦にはない倍音が含まれている気がする。これはグレッグ・レイクがギブソンのウエスタン型ギターで弾き語る「展覧会の絵」のThe Sage(賢人)の音と似ているとずっと思っていた。2弦部分だけ後ろにずれているサドルの形(オフセット型)が影響しているのだろうか。(オフセットもオクターブ調整のためと聞いてはいるのだが。)J-45はコード弾きのドンシャリ音、ジャキジャキ音には定評があるが、指弾きのアルペジオも絶対に美しいと思う。特に私のJ-45は5、6弦より1〜3弦の響きが良いように思われる。

 本器にはサドルの下にピエゾ型のピックアップが着いている。現行型はサウンドホールの所に調整つまみがあるように見えるが、06年製には何もない。ボディの中に9Vの電池を装着する袋があって、コードが伸びているだけ。なので、アンプで調整するしかない。今までで一度だけ、バンド演奏のライブでアンプ(Rolandのジャズコーラス)に繋いで演奏したことがある。あの時は観客が800人以上いたのでピックアップ付きのJ-45は重宝した。でも、どのように聞こえていたのか、自分ではよくわからなかったのが悔やまれる。(続く)


アコギ談義その1: K.Yairi の12弦ギター YW600-12

2021年09月12日 | ギター

 最近YouTubeの中で、「初めてアコースティック・ギター(以下アコギ)を買いました」のような動画が好きで見ている。楽器店に行っていくつかのギターを見たり、お勧めを聞いたりしながら最終的に好みの一本を決めて購入。「買っちゃいました〜」と言いながらのヤッター感と、これから練習を頑張るゾー的笑顔がとっても良いと思いながら見ている。こちらも思わず笑顔になっている。

 それは自分が初めてギターを買った時のことを思い出しているからだ。実は最初に買ったのは小学校卒業直後の春休みに入手した当時数千円のガットギターだった。それを中高生の時ずっと弾いていたのだが、あれはどこに行ってしまったのだろう。とにかく、弦高が高くて試練の日々だった。でも「禁じられた遊び」や基本的なコードはマスターできた。ということでその件については以下省略させて頂く。

 本格的なギター購入は大学生の時である。大好きなGenesis のコピーを本格的にしたくてアコギの12弦を探し求めた。6弦ではなく12弦である。その時私にとってアコギとは12弦のことだったのだ。当時は東京に住んでおり、また大学が神田にあったのでお茶の水の楽器店巡りをした。正確にどの店を巡ったのかは覚えていないのだが、購入したのは谷口楽器さんだったと思う。そこで巡り会ったのがK.YairiのYW600-12であった。

   

   (K.yairi の輸出用ブランド Alvalez 製とのこと。)

 その邂逅に至るまでY社製やM社製、その他の12弦ギターはいくつか目にした。一応試奏させてもらうのだが、どれもしっくりこなかった。一番の問題は弾きにくいということ。12本も弦があるのだから指の力も思った以上に必要だった(と思う)。肝心の音色もあまり気に入らなかった(と思う)。ところが、ヤイリのギターは全く違った。まず音が綺麗でびっくりした。このことは今でもはっきり覚えている。そして弾きやすい。それにも驚いた。とうとう見つけた!という感じだった。だから問題は金額。学生の身で高額な物は買えない。確か7万くらいだったと思う。一夏のバイト代でも買えない金額だったはずで、ローンを組んだかと思う(不確か)。だが、多少無理をしてでも欲しかったのだ。購入を決めた時には、今各動画の皆さんが見せてくれた笑顔を私も披露したはず。

 そして、これを書きながら思い出したのは、カワセ楽器の12弦ギター用弦を愛用していたこと。その理由は単に安かったから。12本の弦の中で、3弦の副弦が細くて結構切れやすい。ちょくちょく交換していた。店舗がお茶の水にあったのだが、今も売っているのだろうか。(ググるとホームページがありました。弦も通販で販売中です。失礼しました!)

 ということで、実質的初購入のアコギはK.Yairi YW600-12 1977年製である。言うまでもなくヤイリ・ギターは永久保証。今まで一度メンテナンスに出している。(その詳細はこちらこちらに。)

 さて、最近またアコギを弾き始めたこともあり、これから少しの間アコギ談義を続けていこうと思う。かつて本ブログで自分のアコギを紹介をしたこともあるが、改めて書いてみたい。

   

   ヘッドのロゴは K.Yairi だがペグ裏のマークはAlvarez 。

   指板のポジション・マークが気に入っているが、指板の削れが目立ちます。

   

   12本の弦交換は大変です。

   

   昔のギターケースとロゴ。1977年製なので今年44歳?

 


【特報】ザ・ビートルズLET IT BE のスペシャル・エディションが発売決定

2021年08月27日 | ザ・ビートルズ

 映画LET IT BE のリニューアル・ヴァージョンGET BACK について以前こちらで紹介したが、この映画は当初は今年の8月に公開予定であった。本来なら今頃劇場で見ることができたはず。だが、結局は11月にディズニー・プラスで配信されることになった。宣伝文句は次のとおり。「伝説のロックバンド、ザ・ビートルズの3話構成6時間超の時空を超えた《オンライン・ライブ・エンターテインメント》が、ディズニープラスで独占配信。彼らのラスト・ライブのノーカット完全版とともに明かされる衝撃の真実とは?11月25日(木)・26日(金)・27日(土)ディズニープラスにて全3話連続見放題で独占配信」。何と6時間を超す映像が見られるようだ。当初の映画より長尺となったのか?私はたまたまディズニー・プラスを見ることの出来る環境にあるため、これは楽しみになってきた。

 そして、ビートルズ最後のオリジナルアルバムLET IT BEについては「50年後の後追いビートルズ」のラスト記事としてこちらで紹介した。その時、この時点での記念盤などの動きがあるのか?とコメントしたのだが、8月26日付けで同アルバムのスペシャル・エディション版が発売となる旨発表があった。リリース日は10月15日全世界同時とのこと。突然のニュースに驚いたのだが、なるほど、これは映画の公開に合わせての販売戦略だと思いついた。

   (Universal Music の広告から)

 今回のリリースもいくつかのヴァージョンがあり、詳しくは UNIVERSAL MUSIC JAPANの記事  や TOWER RECORD の記事、そして映像版はYouTubeを参照いただきたい。例によってアウトテイクやリハーサル音源、そしてニューミックスによるサラウンド音源、アナログ盤などが網羅されている。特筆すべきは当初リリースが予定されていたGet Back LPの新マスタリング音源が収録されていること。(これはすでに公開されていたのでしたっけ?)

 リアルタイムでLET IT BE を体験していた私としてはこのラスト・アルバムがとても思い出深くて、大好きなサージェント・ペパーやアビー・ロード以上に食指が動くのだが、やはりスーパー・デラックス・エディションは高価すぎて無理だと結論。いつもの2CDデラックス版の予約に落ち着く。(でも今ならTOWER RECORD さんはポイント15%に加えて国内盤スーパー・デラックス版も10%引きでお得です。)ホワイトアルバムのスペシャル・エディションが発売された時は、それに向けた各雑誌の特集号や冊子が発売された。今回は映画の公開もあるからそのような動きがさらに活発になりそうだ。情報も知識もない私なので、今後に期待しつつ今回はこの特報の紹介のみとしたい。


推理小説読後感その4(ネタバレなし)〜最高の推理小説、今邑 彩作品

2021年08月11日 | ミステリー小説

 「密室大図鑑」掲載の海外ものとして前回紹介したクリスチアナ・ブランド意外に購入したのがエドワード・D・ホック「サム・ホーソーンの事件簿Ⅰ」(創元推理文庫)より「投票ブースの謎」、そしてジョン・スラデックの「見えないグリーン」(ハヤカワ文庫)である。2冊とも本当に興味をそそる密室の謎を持つ作品なのだが現在未読。最近私の読書法が国内作品と海外作品を交互に読む傾向になっていて、別の海外物を読んでから日本の今邑 彩(いまむらあや)氏の小説に目を通したらハマってしまい、何とホックもスラデックも忘れてしまったのである。

    

 それくらい今邑氏の作品は面白かった。最初に読んだのが「金雀枝荘の殺人」(中公文庫)。実はこれも密室ものであり見取り図もある。加えて幽霊?も登場するというオカルティックな風味が私の好みを刺激した。何より今邑氏の物語はとても読みやすい。ストーリーがスッと入ってくるので途中でやめることができないのだ。そして、推理小説としては定番の「意外」な犯人!そうなると一番怪しくない人物を犯人と仮定して読むことになるのだが、それにしてもこの人はあり得ないよな、と思わせておいて何と!いう展開もある。どの作品もプロットとトリックがよく出来ている。

    

 今邑作品の中で特にハマったのは警視庁捜査一課・貴島柊志が登場するシリーズである。密室状態となった部屋にある鏡の前で途絶える足跡の血痕など、怪奇現象が絡まる「i(アイ)鏡に消えた殺人者」など4作品がある。これらはどれも密室事件。他に北川景子、深田恭子で映画化された「ルームメイト」やクリスティを思わせる「そして誰もいなくなる」、背筋が寒くなる「赤いべべ着せよ…」などを読了(以上すべて中公文庫)。どれも素晴らしい。繰り返しになるが作品の構成が見事で、どんどん読ませる。そして謎の解明と意外な犯人。推理小説としては申し分なし。他にも未読の作品がいくつかあるが、作者が若くして亡くなってしまったのは本当に残念。もっとたくさん今邑ワールドに浸りたかった、、、。

    


ビル・エヴァンス・トリオの最新リリース2作品〜 On A Friday Evening / Behind The Dikes

2021年08月10日 | ミュージック

 最近ビル・エヴァンスの新リリースCDを2枚購入した。ジャズは好きな音楽のジャンルではあるが、ここ最近は限られた時間の中あまり聴く機会が持てなかった。その中、エヴァンスの未発表音源が発売になるということで久しぶりに食指が動いたのである。

 ビル・エヴァンスの作品で私のお気に入りは定番のWaltz For Debby、Moon Beams、そしてハーモニカのトゥーツ・シールマンスと共演したAffinity。この3枚はLPとCDの両方で持っている。さらに亡くなる前年、もしくは数年前のアルバムI Will Say Goodbye、You Must Believe In Springも。総じて激しいものより、My Foolish Heartのようなロマンチックな演奏が好きだ。

    

 そこで新たな音源について。深い考察はできないので単に感想を。1枚目は On A Friday Evening。エヴァンスが、1975年6月20日、バンクーバーのクラブ Oil Can Harry's で行ったライブの音源である。ラジオ番組オンエア用に録音された演奏とのこと。そのオリジナル・テープが45年の時を経て日の目を見たわけだ。何より I Will – や You Must - と同じエディ・ゴメス(b)、エリオット・ジグムンド(ds)とのトリオ編成ということで聴いてみたいと思った。だが、全体的に力強い演奏が多くて、私好みではなかったのが残念。

    

 2枚目は Behind The Dikes。こちらはエディ・ゴメス(b)とビル・エヴァンス・トリオのドラマーとしては最長を務めたマーティ・モレルとのトリオによる1969年オランダでのライブ音源を集めたもの。2カ所の異なる場所でのライブと、最後の2曲は名アレンジャーのクラウス・オガーマンがアレンジしたオーケストラ演奏とトリオの共演。2枚組である。本音源には Waltz For Debby やスタンダードの名曲が並び美しい演奏が満載。とても気に入った。ブックレットも当時の事を振り返るゴメスやモレルのインタビューが載っていて読み応えがある。目下の所ヘビーローテーション中である。