rock_et_nothing

アートやねこ、本に映画に星と花たち、気の赴くままに日々書き連ねていきます。

要石詣で

2011-04-20 23:00:13 | 旅先から
今日は、家人と鹿島神宮へ出かけた。
肌寒く、綿菓子のような雲が団体で、空を占拠している。
雲の隙間からは、ライトブルーの空を覗かせ、太陽の光をきらめかせていた。

3月11日の東日本大地震で、大鳥居が倒壊してしまい、鳥居の支柱跡には、盛土がしてあった。
大鳥居から楼門までの参道の両脇にある石灯籠は、やはり地震の影響を受けたのだろう、大型クレーン車が作業をするために配備してあった。

手水舎でお清めをしてから楼門をくぐり、本殿へ進む。
本殿を過ぎ、奥宮本殿へ行く参道に一歩足を踏み入れると、すうっと冷りとした空気が変わるのを肌で感じる。
これは、どの寺社を訪れても感じることだ。
きっと誰しも、そんな経験に思い当たるだろう。
人の一生の何倍も生きてきた杉や檜・楠木の古木が、参道の両側にすっくと立ち、超然とした佇まいから発する霊気がなせる業かもしれない。

奥宮本殿の脇の道を奥に向かって歩いていく。
そこから450メートルいくと、要石が祭られている場所にたどり着た。
真新しい鳥居と囲いが、要石を守っている。
何年か前に訪れたときには、なかったものだ。
昨年の11月に、奉納されたとある。
要石は、地中で大なまずが暴れ地震を起こすといわれているの頭と尾を押さえる杭の役を担っているという伝承がある。
地上に見える部分は、ほんの一部分にしか過ぎず、その全容はわからないらしい。
ちなみに、千葉県香取市にある香取神宮は、鹿島神宮と共に日本最古の神宮の3つのうちの2つであり、香取神宮にも要石がある。
これらの二つの要石が共に、鹿島神宮が大なまずの頭を、香取神宮が尾を押さえているとされている。
そして、家人と二人、大なまずの鎮静を祈願して、要石に参拝した。

この鹿島神宮、神宮境内に何本か道が走っている。
人がやっと通れるほどの細い道、その道の先には、何かが祀ってあるらしい。
要石の手前に、杉の根元に食い込むように石があり、側の小木に、絵馬がかけられていた。
内容からすると、結婚祈願とその成就報告に関した、霊石、霊木なのだろう。
古からの霊気が立ち込める神聖な場所として、人々の思いを受け入れてきた歴史を感じることができた。

きっと、要石は、このたびの震災以降、参拝客が多くなって、ただならぬ人々の祈願懇願に、古来よりの力を強く発揮しなくてはいけないと、身構えている様子を想像する。
香取の要石と共に、思いを通わせながら。