rock_et_nothing

アートやねこ、本に映画に星と花たち、気の赴くままに日々書き連ねていきます。

モーツァルト・ピアノソナタKV333、弾む眩い光の音玉、湧き上がる喜び

2011-04-12 16:26:50 | 音楽たちークラシック
なんとなくアトリエ、最近は洗濯物干し部屋で、音楽を聴きながら洗濯物を干している。
震災前には、アトリエとしての機能も果たしていたけれど、今は気持ちが落ち着かなく、絵を描く状態にあらず。
とある縁で我が家にやってきたコーラルの大きなスピーカーで、制作をしながら音楽を楽しむ。
クラシックはもちろんのこと、ロック・ポップス・ボサノヴァなど、そのときの気分で聴き分ける。
この3日くらい前から、モーツァルトのピアノソナタ集KV281・330・333をウラジミール・ホロビッツの演奏で楽しんでいる。
KV333は、弾むよう日眩い光の音玉が、ピアノから湧き出て零れだす音楽だ。
テンポよく溢れる音は、誰一人として人の入り込んだことのない、林の中にそっと湧き出る冷たく透明な泉の清水に射し込んだ光がその水に凝縮して、きらきらと煌いているかのような光景を脳裏に映し出す。
天上的な幸福感を、聴く者にもたらしてくれる、まさにモーツァルトの真骨頂とも言うべき楽曲だ。
弾み湧き出る音に感覚をゆだねると、心ばかりかこの重い木偶の体にも翼が生えて、天使と共に舞い踊れる錯覚を与える。

音楽や芸術(絵画・彫刻)は、美しく幸福感を感じられるものが好きだ。
いっぽう文学と映画には、これは当てはまらない、どちらかといえば内省的なものをよしとする傾向が強い。
だから、モーツァルトの音楽は、軽やかで楽しく美しいから大好きなのだ。

  

ウイリアム・ブレイク「天国への階段」
この絵は、光り輝く天国への階段をモーツァルトの音楽で導く光景を視覚化してくれている。
「幻視の画家」といわれるブレイクは、詩もなす。
あまり一般に知られていないけれど、素晴しい絵を描いている。
明るく華やかではないが、幻想の世界に導いてくれる。
そこには、モーツァルトのレクイエムに通じる光を内包した闇がある。
真っ暗闇ではない、青白くほの明るい闇が。
現実は、辛く厳しい。
美を感じ、生み出せる人間に与えられた能力。
芸術は、希望と美を追い求めるべきなのだと、強く願い確信する。