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「ドラジェ」フランスの祝い菓子

2011-04-05 01:29:23 | 食べ物たち
まるごとアーモンドを白や薄ピンク・青の砂糖の衣で包んだ、フランスのお祝い事やプレゼントに欠かせないお菓子の「ドラジェ」。
アーモンドは、不死のシンボルとされることから、ヨーロッパでは祝い事のお菓子の材料に使われているという。
このお菓子に初めてであったのは、パリのラ・モットピケの小さなお菓子屋。
ゆるい銀色のウエーブのかかった髪に赤い縁の眼鏡をかけた初老のマダムが、店番をしていた。
おずおずと店に入り、たどたどしい言葉で透明セロファンに入った三色の「ドラジェ」を買ったのが始まりだ。
涙の雫のような綺麗な形のお菓子を口に放り込むと、アーモンドエッセンスの香り漂うほの甘い砂糖の衣が口に溶け始め、カリリと噛むとアーモンドの香ばしさが口の中いっぱいに広がる。
一つ一つゆっくりと味わいながら、しかし止めることなく口に入れられる「ドラジェ」は、程なくセロファンの中から姿を消した。
そのお店には、セロファン入りのドラジェだけではなく、かわいらしい木製の小箱や陶器の入れ物にシフォンをひいた中にドラジェを詰めたものや、美しい絵が印刷された缶に入れられたものなど、様々な包装で売られていた。
それらは綺麗で楽しく、もちろん美味しく、いつかは陶器入りのドラジェを買えたなら・・・と思ったものだ。
とはいえ、お金のないしがない逗留者は、セロファン入りのドラジェを時々買っては、楽しんだ。
今でも、ドラジェは好物の一つ。
ドラジェを頬張りながら、ぼんやりと味覚を辿って夢想するのが、なんとも言えず幸せ感をもたらしてくれる。
きっと、ドラジェの一粒一粒が、舌の上を転がりながら、小さな祝福を授けてくれているのだろう。