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レブンアツモリソウは、この島の固有植物。
一ヶ月にも満たない開花時期の終盤に間に合い、この花を見ることができた。
寒冷地を好むラン科の植物で、このレブンアツモリソウは、特定の虫でしか受粉ができないことと、その発芽から生育も時間がかなるなど幾多の条件をクリアしなければならないとかで、絶滅危惧種となっているようだ。
保護育成活動がなされているのはもちろんのこと、花を観察する時に花を揺らしたりしないなど、注意を払う必要がある。
レブンアツモリソウ群生地を後にして向かったのは、島の西北端にあるスコトン岬。
やはり霧雨と強い風が吹きつけてくる、厳しい自然環境があった。
それしか、体感できない状況だった。
また来た道を南下して、島の南の西側にある、桃のような形状の桃岩と猫の後姿のような猫岩が見える桃台猫台へと移動したが、移動した先もやはり霧雨と強い風が居座っていた。
もちろん、桃岩と猫岩を拝めることはできず、そこに咲いていた花を写真に収め、旅の記憶とする。
島を南北と移動していると、島の特徴に気がつく。
バスガイドの方の説明にもあったのだが、南半分には、ハイマツやトドマツなどの樹木が生えていても、北半分は木のないいわゆる「礼文島」の観光写真にあるようななだらかな丘陵地が続く景色になる。
明治ごろの幾度かの大火で北側の木々が消失し、川を境に南側への延焼は止まったとのこと。
その後、植林をして復活を目指すものの、北の厳しい環境では、人の努力は実を結ばなかったようだ。
「花の島 礼文島」と言われていても、そこに咲く花の植生は高山植物であり、本州などにおいて2500m付近の森林限界と同じような条件となると、植林という行為が困難を極めるということがわかる。
私が憧れた景色の背景にこのような経緯があったことを知って、今ある自然を失ってからでは元に戻すのが、どれほど困難を極めるか、元には戻らないかを考えさせられた。
たしかに、場所は遠く離れるけれども、かつてのギリシャは豊かな森が国土を覆っていたそうだが、文明の発達と共に木々は伐採され生活燃料に使われたり、土木工事に使用されたりと、ただ切り倒されていた。
彼らには、伐採と植林が対を成す考えはなかったのだろう。
そして、今のギリシャの景色が出来上がった。
話を元に戻そう。
観光バスでの周遊を終えて、宿泊するホテルは、北の久種湖(くしゅこ)にほど近く、スコトン岬と金田ノ岬にはさまれた入り江に面していた。
ホテルから歩いて浜辺に行き、貝拾いをして童心に返る。
ホテルのルームキーについていた貝殻には、綺麗な穴が開けられていて、実は人工的に開けたものではなく、この浜辺で取れる貝だけにある特徴なのだと教えてもらったのだ。
その実態は、ちょっとグロく、エゾタマキガイにツメタガイが吸い付くことによって開いた穴なのだそうだ。
うむむ、でもなんとなく可愛いからよしとして、気に入った貝を拾い集めた。
観光ポイントを巡るのも楽しいが、貝殻集めや石探しなどのシンプルで没入感のある行為は、人の記憶の原初的なところに刻み込まれるのではないだろうか。
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スコトン岬
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チシマフウロ
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レブンシオガマ
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センダイハギ
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穴あき貝
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ゴロタ浜
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さて次回は、アカシア花盛りの北海道で締めくくろうか。
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