rock_et_nothing

アートやねこ、本に映画に星と花たち、気の赴くままに日々書き連ねていきます。

どこか怖くて懐かしい The ghost of a flea ウイリアム・ブレイク

2019-12-08 23:14:36 | アート

The ghost of a flea

この絵の醸し出す雰囲気は、私の記憶の奥深くにくい込んでいる何かだ。
幼児期に見た、裸電球に照らされた薄暗い木の天井、冷たくて重い木綿の布団、薄暗い部屋の隅に蠢く鼠、あるいは得体の知れないもの。
神様が見えると言われた、数珠に連なる玉の一つの覗き穴を必死に凝視して、その奥へ行きたいと願った切ない気持ち。
そうだ、これに似た感覚をもたらすのもをしっている、ギレルモ・デル・トロ監督の映画「パンズ・ラビリンス」だ。
とても美しい映像で作られたこの映画は、牧神パンがなんとも怪異な造形で表現され、すでにここからダークファンタジーの様相を前面に出してきている。
あまりにも痛く暗い内容と、神経をヒリヒリと刺激するような映像だったので、最後まで見ることができていない。
しかし、それだからこそ見たところの映像はくっきりと私に入り込んで、思いがけないときにフラッシュバックされることがある。
ブレイクの、魂の奥を探るようなこれらの作品に、どうしようもなく惹かれ続ける。
それが、美しく癒しをもたらすものもあれば、鬱屈とした闇を露呈させるものも、ふり幅はとても広い。

なかなかブレイクだけの展覧会が催されることはないと思うのだけれど、あまり広すぎない会場で、できれば、東京ステーションギャラリーなどで企画して欲しいものだ。
数年前、ジャン・フォートリエ展があり、とても見たかったのだが、どうしても都合がつかなく悔やまれた。
展覧会は、その絵の雰囲気に即した会場で催すべきだと思っている。
それはとても大事なことだ。
ただ並べ展示するなど、その作品敬意も愛情も持ち合わせてない無粋な輩のすることではないだろうか。

このところの私は、ブレイクに倣いインナーワールドへの趣向が増してきたように思う。

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月夜ですが、雲多し  ウイリアム・ブレイクのような雲

2019-11-14 23:11:35 | アート


自動車が走り出してのほどなくのこと、家人が「ウイリアム・ブレイクの絵のような空だ」とうれしいことを言った。
確かに、幻想的な光景だった。




※大変申し訳ございません。11月14日にアップしてから、今日11月20日になるまで、文章の支離滅裂さに気がつきませんでした。あえて言い訳をするならば、この日は寝落ちながらの更新作業をしていたということです。

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それは太陽のせいだ ヨゼフ・アルバース

2019-08-04 17:03:00 | アート

Study for homage to the square:WAIT 1967

ただ暖色のグラデーションという安直さで、何もアルバースの意図であるはずもない、それはこのぎらつく灼熱の太陽と溜まりきった暑い空気のせいだ。
倦んだ脳みそから湧きあがったイメージが、アルバースを呼び起こした。
けれども、それは一見同系統のものと思われて、実は真逆の効果を持つ、冷静な赤や黄色、オレンジ色なのだ。
ドイツ出身のアルバースは、バウハウスに学び教鞭をとった、バウハウスを体現しているアーティストの一人。
バウハウスは、美術や建築などに合理主義的・機能主義的理念に重きを置く学校でもあり、流れともいえる。
だから、アルバースの芸術からは、あからさまなパッションは感じられない。
時には、そのような芸術もよいものだ。
程よく冷えている心地よさ。
さあ、この灼熱無間地獄へこの絵を対峙させよう。
ブルーよりもいい感じがしないだろうか?


Study for homage to the square:Starting


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無性に物悲しいときは、ジョエル・マイヤーウィッツの写真がいい

2019-06-30 22:00:20 | アート
bay sky

Cape Light Plate 7 Porch

どこかこの世ではない雰囲気が漂う、人物の写りこんでいない彼の写真が好きだ。
明かりの灯った家、夕暮れに輝くネオン、ビルと道路、やたらと長くて大きい自動車など、人と関わりの密なものであったとしてもだ。
そうだ、彼はエドワード・ホッパーの系譜、ものの捉えかたの随所にそれが現れている。
ほら、光のコントラストをソフトにしたら、マイヤーウィッツになる。
そして、どちらにもいいようのない切なさが、満ちているではないだろうか。

エドワード・ホッパー 海辺の家
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一瞬で消えた6月 なぜか未来派 ジャコモ・バッラ

2019-06-29 23:22:22 | アート

ジャコモ・バルラ 「綱で引かれた犬のダイナミズム」

今、ものすごく驚き、大事なことを忘れていたと後悔した。
6月が、あっという間に消し飛んでしまったような感じなのだ。
なんというか、それほど精神的に疲れきっていたのだと思う。
毒が、断続的に流入し、浄化作用を上回っていて、最近では睡眠にまでその影響を及ぼしていた。
けれど、涼しさの助けもあって久しぶりに眠れ、気持ちがやや上向きになっている。

だから、スピードを描いた、ジャコモ・バルラ 「綱で引かれた犬のダイナミズム」の絵をここに貼ろう。
シンプルな色と構図が、高速回転する足の残像で、スピードを可視化している。
それがとても面白く可愛い。
1912年あたりに描いたものだが、もちろん大真面目、ずいぶんと思い切ったことをしたものだと思う。
未来派という名にふさわしい、先取り感覚だ。
おかげで、鬱々と疲れきっていた私の心の澱を蹴散らしてくれて、今はかなり気分がいい。

絵というものは、自分のペースで向き合える、違う世界が存在する。
ほとんどが、自ら赴かなければ出会えないけれど、求めるならば、いつでもその扉を開いてくれる素晴らしい世界がある。
こうしてたびたび絵に心を救われることが、これからもあるだろう。
そして、自分もそのような世界を作り出したいと願っている。

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