お母さんの見栄

お母さんは旅行と言うとすぐ荷物を膨らませる。
バスタオルやドライヤーなんかを持ってきちゃったりするので
タオルを持って来たら罰金ね！とでも言っておこうかと思う。

そして”旅行の準備”と言って、旅行前にわんさかお金を使う。
それは同じ女性として気持ちはよく解るけど。

何をそんなに買うんだと聞くと、まずは洋服で
親戚に会うのだから綺麗な服装でないといけない
上着は、鞄は、そういえば時計が、とかなんとか。
田舎なんておおらかそうに見えて、ちょっとみっともなかったりすると
親戚の間では何年もブツブツ噂されるんだから！と必死。

確かにうちの親戚って服装とか、あの時誰がどう言ったとか、
細かい事をグチグチという所あるんだけど
北海道なんて遠いしもう当分会うことないんだから
噂なんて好きなだけさせればいいじゃない。
それに私が数年前にプレゼントしたブラウスやらがあるじゃないか！と説得。

今度は手土産。
空港で買おうと考えてるようなのでそれは高くつくからやめて
おじいちゃんおばあちゃんが北海道を出てから住んだ神奈川県の名産品で
二人が好きだった落花生があるから、それの小さいのを買って
「ゆかりのもの」ということで喜んでもらおうと提案。
家にお邪魔するところも何軒かあるからその分必要なのはわかるけど
10個は必要、あと”もしも”の為に・・とか言い出す。

そんなに手に土産持てるかっつーの。
”もしも”は”ごめんなさい”でいいじゃないの。
こっちは旅行で訪れるんだから身軽で行く事も
親戚多いんだからそんなに用意できない事もわかってくれるでしょう？
会いに行くだけでは喜んでもらえないのかうちの親戚は、と怒る。

最後にお見舞いとお香典。
お見舞いはお互いの意見が一致したけれど、
お香典はお母さんが３万、私と弟で一万ずつ、合計５万は必要だという。
こればっかりはその家によっても違うでしょうけれど
お母さんはともかく私は会った事もない、家系からいってもかなり遠い方に
私や弟がそれぞれ１万も包むのはおかしいよー・・。

でも昔は可愛がってくれたし、離れてもいろいろ送ってくれたーとか言うけど
日ごろのご恩は貯めずにその場で返しとけ！！！
可愛がられたなら尚更、お金で気持ちを見せようとする事なんて
望んでないと思うよー。
それってその方じゃなく、渡す相手に対する見栄じゃない？
遠いところからやってきて、ちゃんとお線香あげに来たってだけで
喜んでくれてると思うんだけどな。

お母さんは手元にお金がまったくない人なので
お香典にしろ手土産にしろ、私が用意する事になる。
私もそもそもの病気の治療でスッカラカンなので
これらの要望を聞くとなると、一つだけ残ってる定期を解約してもまだ足りない。

各口座にある屑みたいな預金をかき集めてなんとかなったとしても、
旅行当日はとっても寂しい事になるだろう。
旅行代金だってカードで分割払いなのに、このうえキャッシングかしら。


かくいう私も「このホテルでがっかりされては・・」なんて言ってるあたり
見栄っ張りは親譲りなんだと確信する。


でも、
私の生活をそんなに苦しくしてまで、この旅行を成功させる意味ってなんなんだろう。
それともお母さんの見栄を守る事も含めて、親孝行旅行なのだろうか。