音楽変わる。
ハリー「死ねばよかったんだ・・・」
エド「・・・え・・・?」
ハリー“おまえのせいで
いつも日陰にいる俺
おまえがいないと
何もかもうまくいく
目障り 消え去れ
俺の目の前から立ち去れ
邪魔者 二度と現れるな
この世にいる限り
心掻き乱される おまえに!!”
エド「・・・ハリー・・・おまえがそんなことを考えてたなんて、知ら
なかった・・・」
ハリー「おまえは甘いんだ!!大事なことは何一つ分かっちゃ
いない!!マリィのことも・・・俺の気持ちも!!」
エド「違う・・・ハリー・・・俺は・・・」
ハリー「俺は気付いたんだ・・・おまえがいる限り・・・いつまでも
このままだと・・・」
エド「ハリー・・・」
ハリー「だから俺は決めたんだ!!」
※
ハリー“おまえを殺す コーラス“おまえを殺す”
ここで”
ハリー「折角トンネルのひび割れを利用して、うまい具合に俺の
手を汚さず、おまえを殺れると思っていたのに・・・」
エド「・・・なんだって・・・?じゃあこの・・・落石事故は・・・」
ハリー「そうさ・・・俺が全部仕組んだことさ!!」
エド「ハリー・・・」
犬「ワンワンワン・・・」
ハリー「のら犬が危ないめに遭いそうだと知ったら、必ずおまえ
は危険だと分かっていても、このトンネルの中に助けに
入ると思ったんだ。俺が逃げ遅れたのは、計算外だった
が・・・」
ハリー“この世から立ち去れ
俺の目の前から
消えてくれ!”
ハリー「仕事熱心で正義感溢れる警察官は、命を賭けて可哀想
なのら犬を助ける為に、飛び込んだトンネルの落石事故
で残念ながら・・・(石を持って振り上げる。)」
エド「ハリー!!」
※2
Jの声(エコー)「やめて!!」
一瞬、光が輝く。
ハリー「わあっ!!(眩しそうに光を避け、振り上げた石を落と
す。)な・・・なんだ・・・ま・・・眩しい!!」
一つの光がフワフワ浮いている。
※3
ハリー「なんなんだ、この光は・・・!?わ・・・わあっ!!何も見
えないっ!!やめて・・・やめろ!!あっちへ行け!!」
Jの声(エコー)「ずっと・・・ずっとパパの代わりだと思って、大好
きだったのに・・・オイラも・・・母ちゃんもハリーの
こと、すごく頼りにしてたんだ!!心から!!」
J“信用してたのにそれを裏切った
傷付き騙したあんたを許さないオイラ
パパを奪った犯人だったなんて
今まで知らずに大好きだったのに
嘘吐き ハリー“分からない
嫌いだ 何のこと
あんたのことなんて 知らない
大っ嫌い!!” 何の話し”
Jの声(エコー)「オイラはともかく・・・母ちゃんまで騙してたなん
て・・・。母ちゃんが父ちゃんの代わりに、どれ程
あんたを頼りにしてたと思ってるんだ!!」
J“心から信用して
生きてきた なのに!!”
Jの声(エコー)「許さない!!」
ハリー「わあ―――っ!!」
ハリー、消える。
――――― 第 3 場 ――――― B
J「兄ちゃん・・・大丈夫かい・・・?」
エド「・・・え・・・?」
J「こんな姿じゃ驚くよな・・・」
エド「・・・おまえ・・・もしかして・・・」
J「うん・・・さっき兄ちゃんと出会った・・・」
エド「あの時の少年・・・。この光の玉がおまえなのか・・・?」
J「うん・・・兄ちゃん怖くないの・・・?オイラのこと・・・」
エド「怖い・・・?いいや・・・なぜだろう・・・なんだか初めて出会
った時から・・・おまえのことを他人とは思えない・・・」
J「・・・兄ちゃん・・・信じないかも知れないけど・・・」
エド「もう・・・おまえの言うことなら信じるよ・・・(静かに笑う。)」
J「オイラ・・・未来から兄ちゃんに会う為に来たんだ・・・。」
音楽流れる。歌う。
エド“なぜだか懐かしい
温もりを感じる
不思議なこの感覚
なぜだか分からない”
J“とても会いたくてたまらず”
エド“俺のことを知ってるのか・・・?”
J“心の中で考えて”
エド“どこかで感じた思いは・・・”
エド「・・・俺に会いに・・・おまえ・・・J・・・なのか・・・?」
J「・・・やっと気付いてくれたね・・・」
エド「・・・そうか・・・どうりで他人と思えない筈だ・・・。ちょ・・・ちょ
っと待てよ・・・でもJの名前は・・・ジェシカ・・・女の子だ・・・。
おまえは・・・」
J「オイラこう見えても女の子だよ!!」
エド「えーっ!!痛っ!!・・・嘘だろ・・・!?あんな格好で・・・
泥だらけだし・・・どう見たって少年・・・」
J「失礼だな父ちゃん!!」
エド「・・・父ちゃん・・・って・・・何だか変な感じだな・・・。まだ・・・
俺の中のJは・・・こんな小っちゃくて・・・それが・・・俺・・・こ
の事故で死ぬのか・・・?」
J「オイラの父ちゃんは死んだ・・・」
エド「・・・そうか・・・」
J「でもこの世界の父ちゃんは・・・」
J“助ける為に来た”
エド“俺のことを助けにか・・・?”
J“パパに会いに”
エド“俺に会う為にここへ・・・?”
J“そうよ”
(後方中央、エンゼル登場。)
エンゼル“時間だ”
光の玉からジェシカの姿に変わる。
J“子犬を助けて死んだ
私への
最後の願いを
聞き届け エド“愛しい娘だ
パパに会う為に 死んだ
ここまで来たのよ なぜだ”
願いが叶った
お別れね エド“必ずこの俺が
会えたパパに・・・ 助けると”
この世界の私
可愛がってあげて
それがこの私も
幸せになること”
エド“分かった必ず守るよ”
J“一目でも会えて良かった”
エド“命を賭けた約束だ”
J“お別れの時がきたのね”
J消える。(エコー“さよなら”)
エド「ジェシカーッ!!」
紗幕閉まる。
――――― 第 4 場 ―――――
音楽流れ、紗幕前。(天界。)
大王とエンゼル、上手より登場。
エンゼル「大王様・・・487万3647番とその父親は・・・」
大王「まぁ、こう言うこともあるじゃろう・・・。」
エンゼル「じゃあ“生き返った”・・・と・・・?」
大王「誰かさんの柄にもない“思い遣り”に免じて・・・今回のこと
は、目をつむってやろう。未来は随分、変わってしまったが
のぉ。(笑う。)」
エンゼル「大王様!!」
大王「うむ・・・。」
天使達に両腕を掴まれ、下手より
ハリー登場。
ハリー「何すんだよっ!!離せよっ!!」
大王「エンゼル!代わりの新入りを早く連れて行くのじゃ。地界
へな!」
エンゼル「分かりました!さ、おまえ達、そいつを早く向こうへ連
れて行け!!」
天使達「はっ!!」
ハリー「は・・・離せ・・・離せよーっ!!離しやがれ!!畜生ーっ
!!」
(天使達、ハリーを連れて上手へ去る。)
大王「やれやれ・・・全く騒がしい男じゃのぉ。」
ハリー「離せーっ!!」
大王「地上は平和じゃのぉ・・・(笑う。)」
エンゼル「はぁ・・・」
大王、エンゼル下手へ去る。
紗幕開く。と地上。
エド、佇む。
エド「未来のJ・・・元気にしてるんだろうか・・・。未来の俺は、今
も生きておまえのことを可愛がっているか・・・?もう二度と
会うことはないけれど・・・お互いに大切な者を守ろうぜ・・・
同志!」
エド、歌う。
“未来へ続く道の先に
必ず幸せが待ってると”
上手より、マリィとJ登場。
マリィ「あなた!少しはJのこと、叱ってくださらない?」
J「パパ!(エドの側へ。)」
マリィ「Jったら、男の子と木登りばっかり・・・。今日も買ったばか
りのドレスを破って帰って来たのよ。あなたからも何とか
言って頂戴!」
エド「(笑う。)まぁまぁ、いいじゃないかマリィ。女の子でも元気が
一番!なぁJ!ほら、お土産だ!お祖母ちゃんの家から取
って来たんだ。子どもの頃の、パパの宝物だったんだぞ。(
ボールを取り出し、Jの方へ差し出す。)」
J「(ボールを取って。)わーい!ボールだ!パパ、キャッチボー
ルしよう!!」
マリィ「あなた!」
J「パパ!大ー好き!!(笑う。)」
マリィ「もう、2人共!ホントに・・・」
※4
マリィ、J下手へ去る。
エド、歌う。
コーラス“例え何があっても
大切だと思うもの守ろう”
エド“誰もが幸せになること
それがみんなの願いだから
行こう”
エド「きっと未来のJも、元気に走り回っているんだろうな・・・」
Jの声「パパーっ!!」
エド「ああ、今行くーっ!!」
――――― 幕 ―――――
それでは次回掲載作品の紹介をしておきたいと
思います♪
次回は、少しお話ししていました、ドン、デンさんの
物語をご覧頂こうと思いますが、書いているうちに、
今回はドンさんメインのお話しになってしまいまし
た^^;
只今、佳境に入りかけた辺りを執筆中の・・・
“ドンのハッピーサンタクロース”お楽しみに(^-^)
※ 髪の毛がエライことになっています・・・(^^;全般、
この状態だったのを、ビデオで見て初めて気付いた
次第です(>_<)
※2、手には何も持っていません~・・・(^_^;)
※3、この“光る玉”は、もっと“光る玉”にしたかったので
すが・・・知識のない我々には中々難しく・・・試行錯誤
の上、団員が考えて写真のようなものになりました^^;
照明さんが、場面に合わせて照明チェンジして下さった
ので、それなりに雰囲気の出た場面になったのでは
ないか・・・と・・・(^_^;)
※4、見えていませんが、変身前と後、同一人物であること
が分かりやすいように、“J”は脱いだ帽子を首に引っ掛
けたまま登場しています(^_^)
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20:00 ・・・ “J”―未来の君へ― 2幕開演。
本当は、ここはガキ大将とマイクだけの予定でしたが・・・
右2人は次場面の出早です^^;
次場面とは ↓ です(^_^;)
声を聞いて頂くと分かるのですが、実はここ・・・“男”は
4人出ていないといけません(^^;)
・・・が、人手が足りず・・・4人の声に3人の登場人物と言
った、変なことになってしまいました~・・・(>_<)
因みに真ん中の“男”操作が私です(^_^)
マリィさん。
“J”に持ち代え、再登場です(>_<)
“J”の回想場面です(^-^)
なので、ママのことは見えていない設定です(^^;
“J”、男の子らしい立ち姿だと思いませんか・・・?^^;
「一体どうすれば・・・」
このワンちゃんの「ワンワンワン・・・」と、ハリーさん操作は、
私が担当させて頂いています(^_^;)
このワンちゃん、どこかでご覧になったことがありませんか?
ビデオのハリーさんを見て、一人で大笑いしたと言う場面が
ここです(^^;
上写真はまだマシな方で、ほとんどどっちが前か後ろか
分からないくらい髪でお顔が覆われてたこの場面のハリー
さん・・・(>_<)
少し精神状態が普通でなかった為・・・と、ご理解下さい^^;
分かり難いかも知れませんが、ハリーさんと、ひっくり返って
いるエドの真ん中で、丸い形の・・・分かるでしょうか・・・^^;
変身した“J”です(^_^;)
しばらく ↓ のように、変身した“J”に怯えているハリーさん
なのですが、結構長い場面だった為、この怯える演技・・・
いつまでもしてた感があります・・・^^;;
↓
ハリー「わあ―――っ!!」
この場面、照明が少し暗いと思いませんか?
会場の照明さんが、いきなり伝えた場面で、その場面に
合うように、照明を変えて下さったのです(^O^)
今まで、良くて会場の備え付けの照明器具をお借りする
ことが出来るくらいで、ライトチェンジなど、一度も経験が
なかったので、その協力に感激致しました(^^;
ハリーさんがやられてしまって、“J”は人間形に戻りまし
た(^-^)
はい、私早持ち代えで再登場です(^_^;)
↓
“J”はここで帽子を脱いで、ロングヘアーの女の子に
変身致しました(^_^)
・・・が・・・
髪を結わえていた紐が取れず・・・焦ってしまいました^^;
↓ のように、団員が手を伸ばし、頑張って取ってくれた
のですが、演技をしながらなので、“J”が妙に低く・・・
それでも動かなければ・・・と、きっとお客様からは、変な
動きをしている“J”に見えたことでしょう(^_^;)
この場面、客席からの「え~・・・」など、驚きの声が聞こえ
もれてきたのですが・・・実はその頃、アタフタの舞台裏なの
でありました(>_<)
やっとこさ髪の紐が取れました~(^^;
↓
実は・・・ここから少し舞台裏でアクシデントがあり・・・
本来ならばこの場面、天使達2人と、その天使達に捕まえ
られたハリーさんが登場予定でした(>_<)
見て頂いていたお客様には、音声では話しをしているのに、
目では見えない状態になってしまい、ホント申し訳ありませ
んでしたm(_ _)m
・・・で・・・急遽、私が操作していた“J”を、他の団員に
2体持ちで託し、この場面のエドを、私が操作しておりま
した(>_<)
その後、本来のエド操作団員が復活して、エドを引き取り
に来てくれたので、再び私は“J”に持ち代え、登場致し
ました(^_^;)
幸せな親子 ↑ ↓
この場面の“J”は、写真では分かり難いですが、ワンピース
に変わっています(^_^)
それと同時に、靴も最初の黄色からピンクに・・・と、エドの髪
に白髪のエクステを付ける予定でしたが・・・上記アクシデント
の為、変身させ係りの私がエド操作をしていたので、他の
団員が慌てて変えてくれた、お洋服のみの変身になってしま
いました~(>_<)
“J”はすっかり女の子です♥
――――― 幕 ―――――
20:35 ・・・ “J―未来の君へ”2幕終演。
21:35 ・・・ 撤収。
今回、記念公演と言うことで、今まで思い憧れていた会場
で、初めて尽くしの公演開催でありましたが、沢山の方達
の協力と、応援に駆けつけてくれた観客席の皆様の、応援
とに後押しされるように無事成功終演を迎えることが出来
ました(^_^)
本番では、色々なアクシデントもあり、目、的には不味い
ところもあったかと思いますがお許し下さいm(_ _)m
また新しい作品作りに励んで行く所存でありますので、
これからも“リトルパイン”のことを宜しくお願い致します♥
公演に関わって下さった全ての方達に心より・・・
「ありがとうございましたm(__)m」
ミュージカル人形劇団“リトルパイン”
代表 どら。
― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪
(どら余談^^;)
色々とお騒がせしましたが、ようやく今まで通り、“グーグル
版”ワールドでの動画投稿が出来るようになりました(^O^)
散々、今まで苦心して復活を試みてきましたが、全くもって
どうすることも出来ず・・・諦め“YouTube”なるものを介して
公開し始めたところではありましたが、なんとも簡単に、
インターネットのバージョンアップでそんな問題の数々は、
全て(?)解決したようであります・・・(^^;
色々と公開ページをウロウロしてしまい、ご迷惑をお掛け
した皆様には、本当に申し訳ありませんでしたm(_ _)m
引き続き、以前同様“グーグル版”に、動画公開して行こう
と思っていますので、またそちらもよければご覧になりに
いらして下さいm(_ _)m
早速、“アリアの海”3動画を投稿しました(*^^)v
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――――― 第 3 場 ―――――
カーテン前。
下手より、村の医師エドワード、グレミン牧師
話しながら出る。
エドワード「いやぁ、昨夜の嵐は凄かったですなぁ・・・」
グレミン「ええ、全くです。もう少しで教会の屋根が、吹き飛ばさ
れるんではないかと、ゆっくり眠りにつくことも出来なか
った程ですから・・・」
エドワード「(笑って。)私もですよ、グレミン牧師。」
グレミン「(一瞬、不思議そうに。)え?あなたもですか、先生・・・
。」
エドワード「可笑しいですか?私が嵐などに怯えて眠れないの
は。」
グレミン「いえ・・・(口籠もる。)」
エドワード「(笑って。)自分でも可笑しいのだから、グレミン牧師
に不思議がられるのも尤もですがね。お陰で昨夜は
読む暇もないままに、買って置いてあった書物の山
を、随分と整理することが出来ましたよ。(再び笑う。
)」
グレミン「それは嵐に感謝しなければならないと言うことですね
?」
エドワード「その通りです。」
グレミン「ところで今日はどちらへ?」
エドワード「いや、何ね、検察官と言う訳でもないのだが、一昨
日、隣町で起こった、旅籠の火事で亡くなった宿主
の検視を頼まれましてね。」
グレミン「それはそれは・・・。では今から隣町まで?」
エドワード「ええ。今晩は泊まりですよ。(笑う。)」
そこへ上手より、新聞記者ジョセフ、幾分
早足に出、エドワードたちを認めて近寄る。
ジョセフ「エドワード先生、グレミン牧師、おはようございます!」
エドワード「(ジョセフを認め。)やぁ、おはよう。」
グレミン「おはよう、ジョセフくん。」
ジョセフ「昨夜は凄かったですね!教会は大丈夫でしたか?」
グレミン「村人たちが、いつもこまめに修理をしてくれているお陰
で何とかね。」
ジョセフ「それはよかった。」
エドワード「君も今から、隣町へ出勤かね?」
ジョセフ「先生も隣町へ出掛けるところだったんですか?」
エドワード「ああ。よかったら一緒に私の馬車で・・・」
ジョセフ「大変有り難いのですが、先生、我々は当分この村から
一歩たりとも出ることが出来なくなったんですよ。」
エドワード「・・・と言うと?」
ジョセフ「(上手方を指差して。)この先の村の出入り口の1本道
が、昨夜の嵐で崖崩れに遭い、道路が寸断されたので
す。」
グレミン「え!?」
エドワード「(驚いて。)本当かね!?」
ジョセフ「たった今、出勤しようと出掛けて行って、この目で見て
来たばかりですから確かですよ。」
エドワード「何てこった・・・私はこれから大切な仕事があったと
言うのに・・・」
ジョセフ「仕方ないですね・・・」
グレミン「家屋が無事だっただけでも、感謝しなければ・・・」
その時、下手よりミリオッタ出る。続いて
アンドレ、エリザベス出る。
ミリオッタ「おはようございます、皆さん。」
皆、一斉にミリオッタの方を向く。
エドワード「おはよう、ミリオッタ。」
ジョセフ「おはよう!今日は早いんだな。昨夜の嵐が怖くて、眠
れなかったかな?(笑う。)」
ミリオッタ「失礼ね!それよりどうしたの?皆揃って何の相談?
」
エドワード「それが昨夜の嵐で、この先の道が通行不可能にな
ってしまって、仕事に行けない我々は、途方に暮れ
ていたと言う訳だよ・・・。」
ミリオッタ「え・・・?」
アンドレ「通れない・・・!?」
ジョセフ「・・・(ミリオッタの後ろのアンドレたちに気付いて。)・・・
ミリオッタ・・・誰だい?」
ミリオッタ「昨夜、旅の途中にこの村に立ち寄られたご兄妹・・・
宿屋がなくて困ってらしたから、うちへお泊めしたの。」
ジョセフ「おまえのところへ?」
ミリオッタ「ええ。丁度空き部屋もあったし・・・。それより・・・(アン
ドレの方を向いて。)先を急いでたようだけど、この村
から出られないのなら仕方ないわ。道が元通りになる
まで、うちにいらっしゃって下さいな。」
アンドレ「しかし・・・」
ミリオッタ「うちは構わないのよ!!ね、そうしなさいよ!!」
ジョセフ「ミリオッタ・・・」
困惑した面持ちのアンドレ、嬉しそうな
ミリオッタでフェード・アウト。
――――― 第 4 場 ―――――
楽しそうな音楽が流れてくる。(カーテン開く。)
フェード・インする。と、舞台は村の丘。
其々の位置にポーズするアーサーと
ジャクリーヌ、幸せそうに歌う。
2人“待ち望んだ今この時・・・
幸せに満ちた心の充実
あなたといればただそれだけで
たとえ何が起ころうと
回りは全てバラ色に変わりゆく”
アーサー“冬の寒さも2人でいれば”
ジャクリーヌ“涙の時もあなたがいれば”
2人“ただそれだけで
全ては幸せ色に染まりゆく
花の香りも芳しく
あなたの温もりに心時めく
2人で共に生きる喜びに
満ち足りた今この時・・・
あなたさえいれば
この世は全て
生きる希望へと変わりゆく・・・”
アーサー、ジャクリーヌを抱き締める。
2人幸せそうに微笑み、手を取り合い
上手奥へ出て行く。
入れ代わるように下手より、2人を見て
いたようにアンドレ、エリザベスゆっくり
出る。
エリザベス「私たち、いつになったらこの村から出られるの?」
アンドレ「私にも分からないよ・・・」
エリザベス「もう一週間も経つのよ!今までこんなに長い間、同
じところに滞在したことって、私たちが生まれ育った
村くらい・・・」
アンドレ「仕方ないだろう。真逆、空を飛んで行く訳にもいかない
し・・・」
エリザベス「(溜め息を吐いて。)羽があったらいいのに・・・。私
・・・ミリオッタのこと嫌いだわ。」
アンドレ「どうして?親切な人だと思うけど・・・。」
エリザベス「確かに親切よ!でもその親切が・・・!お兄さんは
・・・どう思ってるの・・・?」
アンドレ「どう思うも何も・・・知ってるだろ?私は誰に近付くこと
もしたくないんだ・・・。おまえが一体、何を心配している
のか分からないけれど、道が直れば、この村とも直ぐに
お別れだ・・・。」
エリザベス「本当ね?」
アンドレ「ああ・・・」
エリザベス「昔から私の勘はよく当たるのよ・・・。お願い、お兄
さん、ミリオッタにだけは近付かないでね・・・。」
アンドレ「ああ・・・可笑しな奴だな・・・(笑う。)」
エリザベス「私だけよ・・・お兄さんの側にいてあげられるのは・・・
。」
アンドレ「・・・分かっているよ・・・私の為に、おまえにまで不自由
をかけていることは・・・」
エリザベス「(アンドレの腕にしがみつく。)そんなことないわ!!
私はお兄さんの側にいられることが幸せなんだから
・・・。」
アンドレ「こうして立ち寄った村で、おまえの気に入った場所が
見つかれば、私に気兼ねすることなく、おまえの好きな
ようにしてもいいんだ・・・」
エリザベス「私はずっとお兄さんと一緒に行くわ・・・(小さくくしゃ
みをする。)」
アンドレ「ほら、私に付いてこんなところまで登って来るから・・・
暖かくなったと言っても、午後からは丘の上はまだまだ
冷えて来るんだ。さぁ、先にお帰り。もうそろそろお茶の
時間だろう?」
エリザベス「でも・・・」
アンドレ「私も直ぐに戻るから・・・」
エリザベス「(頷く。)早くね・・・」
アンドレ「ああ・・・」
エリザベス、アンドレを気にするように
上手奥へ出て行く。
アンドレ、エリザベスが出て行くのを
見計らって、後方小高く盛り上がった
丘の上へ腰を下ろし、ゴロンと横に
なる。
そこへ一時置いて、上手よりミリオッタ、
誰かを捜すように出、アンドレを認め
嬉しそうに駆け寄る。
ミリオッタ「こんなところにいたの!?」
アンドレ、ミリオッタを認め、ゆっくり
起き上がる。
アンドレ「・・・何か用でも・・・?」
ミリオッタ「もう直ぐお茶の時間なのに、姿が見えないからどこへ
行ったのかと思って!この場所はこの村で一番見晴
らしのいい丘なのよ。登って来るのは結構大変だけど
、眼下に広がる村を見た途端、そんなことは吹っ飛ん
でしまう程!!ね、素敵だと思わない?」
アンドレ「(立ち上がって服を払う。)私は余計なお喋りに付き合
う気はないので・・・(出て行こうとする。)」
ミリオッタ「(アンドレの腕を取って。)待って!折角ここまで来た
んだから、もう少し楽しみましょうよ!」
アンドレ「・・・お一人でどうぞ・・・」
ミリオッタ「駄目よ!あなたも一緒でないと!」
アンドレ「君に一言忠告しておこう・・・私に・・・近付かない方が
いい・・・」
ミリオッタ「近付かない方がいい?何故?」
アンドレ「私は昔から・・・側にいる人々を不幸にしてしまう運命
を持って生まれた者なのだ・・・」
ミリオッタ「(笑う。)私、そんなこと気にしないわ!」
アンドレ「気にするしないの問題じゃない。君も私に近付くと、き
っとロクなことはない・・・。怪我の一つもしないうちに・・・
余計な好奇心を出して、あれこれ私に構うのを止める
ことだ・・・。」
ミリオッタ「エリザベスはどうなの?あなたはずっとエリザベスと
2人、旅して来たのでしょう?もし本当にあなたが、今
言ったような人なら、真っ先にエリザベスがどうかした
んじゃなくて?今まで色々あったんだとしても、それは
単なる偶然で、何もあなたがいたからそうなったんじゃ
ない筈よ、きっと・・・。」
アンドレ「・・・どう思われても・・・今までのことは、私の幻想でも
夢でもない・・・本当に起こったことなのだから・・・」
ミリオッタ「へぇ・・・でも今まで確かに色々あったかも知れない
けど、これからも同じようなことが起こるとは限らない
でしょ?ね?」
アンドレ「それは・・・だが・・・!」
ミリオッタ「今までどんな町や村を見て来たの?私なんて、生ま
れてから一番遠くに出掛けたことって隣町よ!(笑う。)
あなたから見れば、きっと私の世界なんて、ちっぽけ
な世界なんでしょうね・・・。」
アンドレ「(溜め息を吐いて。)本当に知らないからな・・・。」
ミリオッタ「ひょっとして・・・だからずっと旅して来たの?自分の
生まれ育った故郷を捨てて・・・一所に留まることなく
・・・」
アンドレ「・・・だったら・・・?」
ミリオッタ「そんなのって、悲しいじゃない・・・」
アンドレ「・・・親しい者たちが私の目の前で次々と亡くなるんだ
!!そんな別れを、運命にまざまざと見せ付けられるく
らいなら、私はどこの地にも愛着を持たず、ただの通り
すがりの旅人として生きて行く方が、余程いいんだ・・・
。」
ミリオッタ「エリザベスも納得しているの?それで・・・」
アンドレ「ああ・・・」
ミリオッタ「あなたの生き方は、ただ運命に流されてるのよ・・・。」
アンドレ「何・・・?」
ミリオッタ「だってそうでしょ?何故逃げてばかりいるの?何故
もっと立ち向かおうとしないの?辛いことから目を背け
て生きて行くのは、勇気ある者の選択ではないわ・・・」
アンドレ「放っといてくれ・・・おまえに“死神”と呼ばれ続けて来
た者の気持ちなど、分かろう筈がない・・・(ミリオッタに
背を向けて、出て行こうとする。)」
ミリオッタ「私だって!!父さんや母さんが・・・私の不注意で亡
くなった時・・・生きていくのが嫌になったわ!!まだ
ほんの小さな子どもだったけど・・・!!罪の意識に苛
まれて・・・何故私はあの時・・・火を点けたんだろう・・・
って・・・」
アンドレ「・・・火を点けた・・・?(振り返って、ミリオッタを見る。)
」
ミリオッタ「丁度あの日も・・・あなたたちが私のところへ来た時
と同じような、冷たい雨が激しく降っている日だった・・・
出掛けていた父さんと母さんが、雨に濡れて戻って来
たら、風邪をひくんじゃないかって・・・納屋で焚き火を
したのよ・・・。その為に納屋が火事になって、戻って驚
いた父さんと母さんは・・・馬を助ける為に中へ飛び込
んで、その小屋ごと・・・。ね!!私こそ裁かれるべき
者でしょ・・・」
アンドレ「何故・・・そんな風に平然としていられるんだ・・・」
ミリオッタ「これでも・・・こんな風に平気で人に話せるようになっ
たのは、つい最近のこと・・・。偉そうに言ったけど、やっ
ぱり立ち直るまで・・・何年もかかったもの・・・。けど私
には姉さんがいた・・・。あなたにもエリザベスがいるよ
うに・・・。それにいつも私の回りには、優しく見守って
くれたこの村の人達が大勢いたから・・・。あなたが立
ち直る為に、もっと他に誰かの手を必要とするなら、私
が力を貸すわ!!」
アンドレ「・・・何故・・・ただの通りすがりの私の為に・・・?」
ミリオッタ「・・・何故かしら・・・多分・・・あなたの目を見ていると
・・・昔の私を思い出すから・・・。辛いこと悲しいことを
全部忘れるのは無理かも知れない・・・。償いの気持
ちを持ち続けることも大切だわ・・・。けど・・・生きて行
く為には、前を向いて歩かないと・・・!!」
ミリオッタ、思わずアンドレの手を取り、
力強く歌う。
呆然とミリオッタを見詰めるアンドレ。
“夢を見よう
どんな小さなことでも
夢を見つめよう
たとえちっぽけで
人から見れば取るに足らない
そんな夢でも
夢を思い明日を夢見て
歩いてみよう
過去を見ないで
昨日流した涙のことも
きっと明日は乾いていると
信じて今日は微笑もう
心を開いて
自分を悪く言わないで
正しいと思う真実を
心の瞳を見開いて
今まで自分が拘った
どんな些細な思いでも
悲しみに打ち拉がれた
自分を捨てよう
未来を見れば
昨日の心の小ささに
閉じ篭った自分の殻が見える筈
きっと気付いて今日は微笑もう”
カーテン閉まる。
――――― “アンドレ”3へつづく ―――――
― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪
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(2幕。) 音楽流れ、幕が開く。
――――― 第 1 場 ―――――
呆然と佇む子どもたち、歌う。
子どもたち“あいつが死んだ
みんなの味方だった
あんないい奴が
死んだなんて嘘だ コーラス“信じない”
Jがいないと
丸でこの世の終わり
誰がみんなのことを
庇ってくれる” コーラス“あいつ以外に”
ガキ大将“おまえがいない コーラス“Jが死んだ”
信じるものか
喧嘩できないもう コーラス“信じない”
二度と会えないなんて”
紗幕閉まる。男たち慌てて登場。
男1「大変だーっ!!トンネル事故だーっ!!中に警官が閉じ
込められたぞーっ!!」
男2「エドだ!!エドが閉じ込められた!!迷い込んだ犬を助
けに入って、そのまま閉じ込められたぞーっ!!」
男3「え?何だって?同僚のハリーが一緒に閉じ込められた
・・・?」
男4「嘘だろ・・・ハリーが事故現場にいたなんて!」
男1「いつも真っ先に駆け付けるエドと違ってハリーは・・・」
歌う。
男たち“エドはいつも自分のことは コーラス“なぜ”
後回し 人のことばかりを
考え一番に飛び出して コーラス“ただ”
身の危険忘れ
ただひたすら人の為に
なることを考え
生きている” コーラス“何が大切”
(男たち下がる。)
マリィ、セリ上がる。
マリィ“エドはいつでも コーラス“エドは
みんなの幸せだけ ただ”
考え走り回る
それが心配” コーラス“心配ばかり
かける奴だ”
マリィ下がり、紗幕開く。
と、Jとエンゼル。歌う。
J“パパに会いたい
ただそれだけが願い
この身朽ち果てる前に
一目だけでいいから” コーラス“一目”
エンゼル“願い叶った
今こそ旅立つ
時間”
――――― 第 2 場 ―――――
J「父ちゃん・・・」
エンゼル「さぁJ、生きた父親に一目会いたいと言うおまえの願
いは、もう叶っただろう。そろそろ天界へ戻る時間だ。」
J「オイラ・・・」
エンゼル「ん・・・?」
J「父ちゃんが死んで・・・オイラまでいなくなったら母ちゃん・・・
きっと・・・悲しむだろうな・・・。母ちゃん・・・オイラにちっとも話
してくれなかったんだ・・・父ちゃんのこと・・・。オイラが悲しむ
と思って・・・。母ちゃんいつも笑って・・・オイラが淋しくないよう
に・・・。いつも笑ってた母ちゃんが泣くのを見たくないんだ・・・
!!」
音楽流れ、後方マリィ、セリ上がる。(回想。)
J(エコー)「ねぇ、母ちゃん!父ちゃんの話しして!父ちゃんって
どんな人だったの?優しかった?怖かった?それと
も・・・!ねぇ・・・」
歌う。
マリィ“忘れた昔の話しよ 遠い” J“どうして”
J“いつも教えてくれないけれど” マリィ“思い出だわ
記憶の片隅の”
J“タバコの香り マリィ“ただ
かすかに残る 昔のことだわ”
それがパパの思い出
とても会いたい マリィ“遠い話し
一目でも 思い出よ”
教えてよ
大きな腕の中に
包まれた記憶もないけれども
ねぇ マリィ“淋しい温もり
どんな人” 正義溢れてた”
(マリィ、下がる。)
紗幕閉まる。
J「オイラ、父ちゃんを助けに行く!!」
エンゼル「な・・・何をふざけたことを!!おまえは天界の掟を破
る気か!?天界の掟を破った者は、二度と天界へは
戻れないんだぞ!!それどころか、その魂までこの世
のチリとなって、消え去るのだ!!それがどう言うこと
か、おまえは分からないのか!?」
音楽流れ、2人歌う。
エンゼル“無理”
J“誰が何をどう言おうとも”
エンゼル“駄目”
J“大切な人を助ける為に来たんだ”
エンゼル“おまえは掟を破るつもりか
ただ一つの願い叶える為に
この地上にただ一度だけ
命を返され今
心残りなく思い断ち切り
天に向かう為
天界の少しばかりの思い
それを踏みにじるおまえの行いを
見逃すこと私はできない”
J“あなたにも心があるなら
このオイラのこと見逃してくれ
父ちゃんを助けたい思いだけ”
エンゼル“見逃すことは出来ない 無理”
J“この願い叶うならばオイラのことはいい
この身朽ち果ててもいい 二度と
魂が消えてなくなり
みんなに忘れ去られようと”
エンゼル“無理”
J“誰が何をどう言おうとも”
エンゼル“駄目”
J“大切な人を助ける為に来たんだ”
J「ごめん、おっちゃん!!」
エンゼル「あ!!これ!!はぁ・・・私はどうすればいいんだ!!
」
音楽流れる。
エンゼル「大王様・・・お許し下さい・・・。」
歌う。
エンゼル“困ったぞ
どうすりゃいい はぁ コーラス“誰にも
こんなこと 言えない
なるなんて ああ 前代未聞”
大王様には言えない
もしバレたりしたならば
二度と天界へ戻れはしない
この地上でひっそり隠れて
生きていくなんてごめんだ
有り得ない” コーラス“全くだ”
エンゼル「一体どうすりゃいいんだ・・・」
エンゼル“エンゼルと コーラス“全く
したことが 情けない
はぁ” どうすればいい”
エンゼル“天の国 コーラス“言えない
始まって 以来
ああ” 聞いたことない”
エンゼル“あいつも コーラス“どうすれば”
このままじゃ
消え去る
運命だから” コーラス“いい
ああ
誰にも
言えない”
エンゼル“アーメン!”
――――― 第 3 場 ――――― A
紗幕開く。と、トンネルの中。(滴の音。)
エド、倒れている。
エド「・・・いって・・・生きてたか・・・犬・・・おい・・・犬コロ・・・?」
犬「ワンワンワン・・・!(エドにまとわりつく。)」
エド「良かった・・・おまえも生きてたか・・・怪我もなさそうだな・・・
俺は・・・いっ・・・怪我だらけのようだ・・・(無理して笑う。)」
犬「ワンワンワン・・・ウーッ!!(唸る。)」 ※
エド「・・・犬コロ?」
ハリー、ゆっくり下手より登場。
ハリー「・・・生きてたのか・・・」
エド「・・・ハリー・・・」
ハリー「今の落石事故で、死ぬかと思ってたのに・・・」
エド「・・・え・・・?」
ハリー「おまえがいなくなったら、マリィもおまえの心配をするこ
とがなくなるんだ・・・」
エド「ハリー・・・」
音楽流れる。歌う。
ハリー“自分のことばかりそんな
おまえのことを庇う
彼女のこと愛してると
ふざけたセリフ言えるのか
俺なら彼女待たすことなど
しない泣かせない決して
おまえは自分が大切
そんな奴が難い” コーラス“仲間”
エド“おまえがそんな
風に俺を
見ていたなんて知らず” コーラス“2人の心は
ただ遠く離れ
ハリー“おまえのこと嫌いだった てく”
夢ばかり見た甘い奴だ”
エド“そんな風に思っていた
そんなことは知らなかった・・・” コーラス“今”
――――― “J―未来の君へ―”4へつづく ―――――
※ この場面の“犬コロ”の声は私でした~(^-^)
ずーっと以前に「犬の唸り声が苦手です・・・」とお話し
していたのが、このワンちゃんのことでした(^^;
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〈 主な登場人物 〉
アンドレ ・・・ 旅を続けている青年。
ミリオッタ ・・・ 村に住む娘。
ジャクリーヌ ・・・ ミリオッタの姉。
エリザベス ・・・ アンドレの妹。
アーサー ・・・ ジャクリーヌの婚約者。
エドワード ・・・ 村の医師。
グレミン ・・・ 村の牧師。
ジョセフ ・・・ 新聞記者。
クリスト ・・・ ジョセフの後輩記者。
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――――― 第 1 場 ―――――
鐘の音が鳴り響く中、幕が上がる。
豪華な音楽が流れ、ライト・オン。
すると、舞台上は草花が咲き乱れる
小高い丘の風景。
ポーズを取った3組の男女、楽しそう
に歌い踊る。
“明るい陽差しのように
心も何故だか騒ぐ
新緑の香り辺を包み
体が何故だか踊る
爽やかな風が頬を過ぎ
その心地良さに身を委ねる
変わりゆく季節に時の
流れを感じて逸るように・・・
春の息吹を感じながら
若芽の間を縫う様に
軽やかにステップ踏んで
爽やかな風が頬を過ぎ
その心地良さに身を委ねる”
踊っていた男女、掛け声と共にポーズを
取り、上手下手へ其々去る。
優しい音楽流れ、上手奥よりどこか冷めた
目をした、長身の一人の青年登場。
(青年の名前はアンドレ。)
アンドレ、歌いながらゆっくり中央前方へ。
“この広い大地に生かされる限り
決して我が心に安らぎが
訪れることはないと
ただ目覚めれば
再び蘇る悪夢に
この身を呪い生かされている限り
決して幸せに満ちた平穏が
訪れることはないと
ただ繰り返す
永遠の躊躇いに翻弄され
明日への希望すら地の果てへと
追いやる運命に抵抗さえ
思いつかずに
ただ流される・・・
陽が昇り続ける限り
明日と言う日が来る限り
この命果てるその時まで
ただ・・・生きるだけ・・・”
遥か彼方に思いを馳せるように、
遠くを見遣るアンドレ。
フェード・アウト。(カーテン閉まる。)
――――― 第 2 場 ―――――
ライト・アウトのまま、人々の暗い歌声が
どこからともなく木霊するように聞こえて
来る。段々と大きく。
“おまえは死神だ!!
おまえは死神だ!!
おまえと関わった人間は
たとえ血を分けた肉親さえ
死の淵へと追いやる!!”
人々の歌声、再び木霊するように遠ざかる。
歌声に重なるように、嵐の為の風雨が
吹き荒れる音が段々大きくなる。
上手スポットにアンドレと、アンドレの妹
エリザベス、風雨を避けるようにコートを
深く被り、肩を寄せ合って小走りに下手へ
走り去る。
風雨の音、幾分小さく。
フェード・インする。と、舞台はジャクリーヌ、
ミリオッタ姉妹の屋敷。(居間。)
中央、置かれたソファーにジャクリーヌ、腰
を下ろしてレース編みに指を動かしている。
ジャクリーヌの後方窓辺にミリオッタ、外の
風雨を心配そうに見つめている。
ミリオッタ「凄い嵐ね・・・」
ジャクリーヌ「(編み物の手を休めて。)ええ・・・この時期にして
は珍しいわね・・・。(ミリオッタの方を見る。)何か私
には、自然が目に見えないものに感応して、唸り声
を上げているように感じるわ・・・」
ミリオッタ「(ジャクリーヌを見て微笑む。)何、変なこと言ってる
の?結婚前って言うのはナーバスになるのかしら・・・
(笑う。)それよりどう?来週結婚式をあげる花嫁さん
の気分は。」
ジャクリーヌ「(大きく溜め息を吐いて。)何だかまだ実感がなく
て・・・」
ミリオッタ「(ジャクリーヌの側へ来て、膝を付きジャクリーヌの手
を取る。)・・・幸せになってね、お姉さん・・・」
優しい音楽流れ、話し掛けるように
ミリオッタ歌う。
“いつも・・・いつもありがとう
私の側で見守ってくれて
とてもとても感謝してる
私のことを愛してくれて”
ミリオッタ「父さんや母さんが亡くなってから、ずっと私の為に働
いてきてくれたんだもの、お姉さんには一番幸せにな
ってもらいたいの。」
ジャクリーヌ「ミリオッタ・・・ありがとう・・・。でも私がいなくなった
ら・・・」
ミリオッタ「大丈夫よ!!(立ち上がる。)私のことなら心配しな
くたって!!こう見えても柔軟性があるんだから!!
一人になったら一人になったで、何とかやっていける
わ!!」
ジャクリーヌ「(微笑む。)そうだったわね。(立ち上がる。)あなた
は昔から、私なんかよりずっと行動力もあって、私
の方がいつもどれだけあなたに助けられたか・・・」
ミリオッタ「そうよ!お姉さんの方こそ、私がいなくなって大丈夫
?(笑う。)それより、アーサーは今日は来れないわね
。来週になったら、もう嫌でも毎日顔を付き合わせて
生活するって言うのに、毎日必ず仕事の帰りに、お姉
さんの顔を見に寄るものね。」
ジャクリーヌ「(窓の方を見て。)雨・・・益々酷くなるわね・・・」
その時、風の音に紛れるように、扉を
叩く音が聞こえる。
ミリオッタ「誰か来た・・・」
ジャクリーヌ「風の音じゃないの?」
再び、微かに扉を叩く音。
ミリオッタ「ほら!(扉の方へ駆け寄る。)」
ミリオッタ、慌てて扉を開けると、雨具を
頭からすっぽり被った一人の青年、風に
押されるように入って来る。
ミリオッタ、青年入ると扉を急いで閉める。
ミリオッタ「・・・アーサー・・・?」
アーサー「(雨具のフードを取って。)こんばんは。」
ジャクリーヌ「アーサー!!(アーサーに駆け寄る。)どうしたの
!?こんな嵐の日に!!」
ミリオッタ、微笑ましく2人を見ながら、
横のタンスの引き出しの中からタオル
を出し、アーサーの方へ。
アーサー「毎日、君の顔を見ないと安心して眠れないからね。」
ミリオッタ「はい。(アーサーへタオルを差し出す。)」
アーサー「(タオルを受け取って。)ありがとう、ミリオッタ。」
ミリオッタ、2人から離れ、ソファーへ腰を
下ろし、テーブルの上に置いてあった本を
取って、読む。
ジャクリーヌ「だけど・・・」
アーサー「どうした?それとも君は僕に会いたくなかった?(微
笑む。)」
ジャクリーヌ「そんなこと!!勿論、会えて嬉しいわ!!」
アーサー「だったらよかった。それより今日は、午後から全く酷
い風雨だったよ。配達の荷物が雨に濡れやしないか
と心配する前に、飛ばされやしないかとヒヤヒヤもの
さ。(笑う。)」
ジャクリーヌ「(心配そうに。)大丈夫だったの?」
アーサー「勿論!力だけは人一倍あるものでね。さぁて、ジャク
リーヌの顔も見れたことだし、雨がこれ以上酷くならな
いうちに帰るとするかな。」
ジャクリーヌ「ええ。」
アーサー「そうだ、ミリオッタ!(ミリオッタの方を向いて。)君は
本当に僕たちと一緒に暮らさないのかい?(雨具のフ
ードを被りながら。)」
ミリオッタ「ええ!」
アーサー「僕たちに気を遣うことはいらないんだよ。」
ミリオッタ「ご心配なく!私のことなら誰に気を遣ってる訳でもな
くて、本当に一人で大丈夫なんだから!アーサーの方
こそ私に気を遣わないで、ジャクリーヌとの新婚生活
を満喫して頂戴!」
アーサー「OK。まぁ、目と鼻の先にいるんだ、何かあったらいつ
でも飛んで来るから!」
ミリオッタ「ありがとう、お兄さん!」
アーサー「(微笑んで。)ジャクリーヌの大切な妹は、僕にとって
も大切な妹だからね。じゃあジャクリーヌ、僕が帰った
後はちゃんと戸締りするんだよ。おやすみ!(ジャクリ
ーヌの頬にキスする。)」
ジャクリーヌ「おやすみなさい。」
アーサー「さよなら、ミリオッタ!(手を上げる。)」
ミリオッタ「さよなら!(手を振る。)」
アーサー、扉を開けて素早く出て行く。
ジャクリーヌ、扉を閉めて、窓から外を
見る。
ミリオッタ「(ジャクリーヌの側へ。)いい人ね、私のお兄さんにな
る人は。」
ジャクリーヌ「(振り返って。)アーサーもああ言ってるんだし、私
たちと一緒に暮らしたって構わないのよ、ミリオッタ
。」
ミリオッタ「もう、その話しは無し!私は父さんや母さんがたった
一つ・・・残してくれた、この家を守っていくから・・・。今
までお姉さんが守ってくれたこの家を、今度は私が・・・
守っていくから・・・。」
ジャクリーヌ「・・・ミリオッタ・・・分かった・・・もう言わないわ。」
ジャクリーヌ、ミリオッタ、ソファーの方へ。
その時、扉をノックする音が聞こえる。
2人、扉の方を向く。
ミリオッタ「アーサーかしら?(扉の方へ行く。)」
ミリオッタ、扉を開けると、黒いコートに身を
包み、肩を寄せ合うようにアンドレとエリザベス
入って来る。
ミリオッタ「(戸惑ったように。)あの・・・」
アンドレ「突然、すまない・・・」
ミリオッタ「(2人の様子を見て。)こんなに濡れてちゃ、風邪をひ
くわ!もっと中へどうぞ!お姉さん、暖炉に火を入れ
て!」
ジャクリーヌ「ええ。(暖炉の方へ行き、薪を焼べる。)」
ミリオッタ、エリザベスの肩を抱いてソファーの
方へ。アンドレ、2人に続く。
ミリオッタ「さぁ、コートを脱いで!(エリザベスのコートを脱がせ、
ソファーへ腰を下ろさせる。アンドレの方を向いて。)
あなたも!」
ミリオッタ、タンスの引き出しよりタオルを
出して、アンドレに渡す。
アンドレ「(タオルを受け取り。)ありがとう・・・。エリザベス・・・(
タオルを一枚、エリザベスへ渡す。)」
ミリオッタ、テーブルの上のポットからカップへ
飲み物を注ぎ、2人へ其々手渡す。
ジャクリーヌ「一体どうなさったんです?こんな嵐の中を・・・」
ミリオッタ「見かけない・・・顔ね・・・旅の方?」
アンドレ「(頷く。)・・・私はアンドレ・・・こっちは妹のエリザベス
・・・。今日中にもう一つ向こうの村まで行って、宿を取
るつもりだったのですが、この嵐で思うように進むこと
が出来なくて・・・。雨具も持たず、途方に暮れていたと
ころ、ここの灯りが見えたので・・・思わず扉を叩いてし
まいました・・・。ご迷惑でしょうが、妹の為に今夜一晩
だけ、ここで風雨を凌がせて頂きたい・・・。頼みます・・・
。(頭を下げる。)」
ミリオッタ「そう言うことでしたら・・・ね、お姉さん。」
ジャクリーヌ「ええ・・・。宿屋のないこの村に、こんな嵐の中、旅
のお方を放り出すようなことは出来ませんわ。どう
ぞ粗末な家ですけれど、我が家でくつろいで行って
下さい。」
アンドレ「ありがとう・・・」
ミリオッタ「丁度、一部屋空いてるし・・・」
ジャクリーヌ「ええ。」
アンドレ「いや・・・もうここで・・・」
ミリオッタ「あなたはソファーで良くても、妹さんが駄目よ。」
ジャクリーヌ「そうね。どうせ使ってない部屋ですし・・・どうぞ・・・
(手で奥を示す。)」
アンドレ「・・・(少し躊躇ったような面持ちをするが、頷いて。)・・・
じゃあ・・・(エリザベスの方を向いて。)エリザベス・・・」
ジャクリーヌ、アンドレとエリザベスを引率
するように、先に奥へ入る。
アンドレ、エリザベス、ジャクリーヌに続く。
ミリオッタ「後でお食事をお持ちしますわ!!」
ミリオッタ、何故だか分からないが、心が
時めくのを感じたように頬を紅潮させ、
瞳を輝かせて2人が入るまで、その方を
見ている。
入るのを見計らって正面。嬉しそうに、何
か期待に胸膨らませるように遠くを見遣り、
音楽でカーテン閉まる。
――――― “アンドレ”2へつづく ―――――
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