りとるぱいんわーるど

ミュージカル人形劇団“リトルパイン”の脚本の数々です。

“J―未来の君へ―” もう一つのラストへ

2012年12月20日 19時00分00秒 | 未発表脚本



   未来から過去へやって来た“J”ですが、ラストでは新しい
   未来の“J”が登場し、最初に登場していた未来に存在
   した“J”が、未来へ戻ってどうなったのでしょうか・・・と
   言った、疑問を残したままの本編エンディングでありました。

   そこで、未来に戻った本来の主人公“J”が、戻った未来
   はどうなったのでしょうか・・・?の疑問にお答えするべく、
   “J―未来の君へ―”もう一つのエンディング・・・書いて
   みましたので、ご覧下さい(^_^)


    


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    ――――― 第 3 場 ――――― B    ※

         J残して、紗幕閉まる。
         音楽流れ、歌う。

         “大切な人 ただ守りたくて
         こんなとこまでやって来た
         たとえこの身が消えようと
         そんなことは構わない・・・
         自分よりも大切な人
         初めて出会った・・・
         思い描いていた通りのパパ・・・”

         そこへ下手より、エンゼル登場。

  J「(エンゼルを認め。)・・・おっちゃん・・・ありがとう・・・オイラの
   我が儘を少しの間、見逃してくれて・・・。もうオイラ、これで思
   い残すことはないや!さ、早いとこ大王のじいちゃんのとこへ
   行こうぜ!随分・・・約束の時間、過ぎちゃっただろ・・・」
  エンゼル「ジェシカ・・・」
  J「・・・え・・・?おっちゃん・・・オイラの名前・・・」
  エンゼル「ジェシカ・・・私はおまえが何故、自分の存在と引き換
        えにしてまで、父親を助けたいと願うのか・・・よく分か
        らなかった・・・」
  J「おっちゃん・・・」
  エンゼル「人間の複雑な心の在り方を、存分に見せてもらうこと
        が出来たぞ・・・。私の方こそ・・・ありがとう・・・。さぁ早
        く、自分の戻るべき場所へと帰るがいい。」
  J「・・・戻る場所・・・?オイラは・・・天界へ帰るんだろ・・・?」
  エンゼル「(首を振る。下方を指差し。)ほら・・・見えるだろう・・・
        あそこでおまえの帰りを待つ者達の姿が・・・」
  J「え・・・?(下を見る。)あれは・・・母ちゃん・・・マイク・・・」
  エンゼル「さぁ、行け!!早く行って、悲しむ者達を安心させて
        おやり・・・」
  J「おっちゃん・・・」
  エンゼル「(頷く。)」
  J「(おっちゃん・・・!!(エンゼルに抱き付く。)」
  エンゼル「ジェシカ・・・(名残惜しそうに、Jの背中を摩る。)さ・・・
        早く行きなさい・・・」
  J「・・・うん・・・うん!!ありがとう、おっちゃん!!じいちゃんに
   もヨロシク!!」

         J、上手へ走り去る。

  エンゼル「(上手方を見詰め。)今度はもっとゆっくり・・・天界へ
        来るんだぞ、J・・・」

         音楽流れ、エンゼル歌う。

         “大切な者の為に自分を捧げる
         そんな思いは理解し難かったが
         ただ一生懸命なあの瞳を見れば
         それが正しいことなのだと
         口に出さずとも誰にも分かる・・・”

  エンゼル「やれ・・・しかし・・・大王様に一体どう説明をすれば・・・
        私としたことが・・・少し早まったことをしてしまったか・・・
        」

         エンゼル、首を傾げながら、下手へ去る。

    ――――― 第 4 場 ――――― 

         カーテン開く。と病室。
         中央ベッドにJ、眠っている。
         横にはマリィ、心配そうにJを見詰めている。
         音楽流れ、マリィ、囁くように歌う。

         “早く目覚めて愛しい子・・・
         あなたの声が聞きたいわ・・・
         私を呼んで 私を見詰めて
         あなたは今どこにいるの・・・
         帰る場所はここよ・・・”

  マリィ「J・・・(手を握る。)」

         そこへマイク、上手より犬を抱いて登場。   ※2
         
  マイク「おばさん・・・Jの具合はどう・・・?」
  マリィ「(マイクを認め。)マイク・・・(首を振る。)毎日会いに来て
      くれてありがとう・・・」
  マイク「ううん・・・(Jに近寄り、犬を差し出すように。)J・・・君が
      助けようとした犬コロは元気だよ・・・こいつも早く、Jと遊
      びたがってるんだ・・・早く目を覚ましてくれよ・・・J・・・」
  犬「クンクン・・・」

         その時、ゆっくりJの手が動く。

  マイク「(Jの手が動いたことに気付いて。)・・・J・・・?J・・・!!
      おばさん!!Jが!!」
  マリィ「え・・・?(ゆっくり宙を何か探すようなJの手を、思わず握
      る。)J!!Jが!!」

         その声に慌てて、エド、ハリー、ガキ大将
         上手より登場。

  エド「どうした、マリィ!!」
  マリィ「あなた!!Jが!!」
  エド「(エドに駆け寄り。)J・・・?J!!」

         その場にいる者、口々に“J!!”

  J「(ゆっくり目覚める。)・・・母ちゃん・・・」
  マリィ「J!!」
  エド「J!!」
  J「(エドを認め。)・・・父ちゃん・・・?」
  エド「心配かけやがって・・・(涙声で。)」
  ハリー「父親譲りの無鉄砲も、程々になJ・・・(微笑む。)」
  J「・・・ハリー・・・」
  ハリー「エドもマリィも、Jの側を片時も離れず、ずっと祈ってたん
      だぞ・・・」
  J「父ちゃん・・・母ちゃん・・・!!(泣く。)」
  マリィ「馬鹿ね・・・この子ったら泣いたりして・・・(泣く。)」
  エド「ジェシカ!!」 

         J、エド、マリィ抱き合う。
  
  ガキ大将「おかえり、J・・・」

         マイク、ガキ大将、ハリー、3人を
         微笑ましく見詰める。

  Jの声「おっちゃん・・・ありがとう・・・」

         音楽盛り上がる。





         ――――― 幕 ―――――










    ※ 元の脚本の2幕3場にAとBを付けて下さい(^^;)


    ※2、 本来ならば、病室に犬など有り得ませんが・・・
       この作品で大事な役どころの“犬コロ”くんです、
       目を瞑って読み流して下さいませ・・・(^_^;)




   
    Jが元いた未来では、ハリーさんはいい人に変わり、
    ガキ大将もJを心配して病室を訪れる、いい子になって
    いた・・・と言うことでした(^_^;)
    あ・・・変わりにJが訪れた過去では、ハリーさんは殺人
    鬼と化し、その存在は消されてしまったのでした(ーー;)

    う~ん・・・複雑に変わってしまいましたが・・・  
    ま、エドさんが生き返ったので、その辺は良しと致し
    ましょう・・・(^^;)





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