りとるぱいんわーるど

ミュージカル人形劇団“リトルパイン”の脚本の数々です。

“J―未来の君へ―” ―全2幕― 3

2012年12月05日 19時31分35秒 | 脚本



   



         (2幕。) 音楽流れ、幕が開く。

    ――――― 第 1 場 ―――――

         呆然と佇む子どもたち、歌う。

      子どもたち“あいつが死んだ
             みんなの味方だった
             あんないい奴が
             死んだなんて嘘だ     コーラス“信じない”
             Jがいないと
             丸でこの世の終わり
             誰がみんなのことを
             庇ってくれる”     コーラス“あいつ以外に”

      ガキ大将“おまえがいない      コーラス“Jが死んだ”
            信じるものか
            喧嘩できないもう       コーラス“信じない”
            二度と会えないなんて”

         紗幕閉まる。男たち慌てて登場。

  男1「大変だーっ!!トンネル事故だーっ!!中に警官が閉じ
     込められたぞーっ!!」
  男2「エドだ!!エドが閉じ込められた!!迷い込んだ犬を助
     けに入って、そのまま閉じ込められたぞーっ!!」
  男3「え?何だって?同僚のハリーが一緒に閉じ込められた
     ・・・?」
  男4「嘘だろ・・・ハリーが事故現場にいたなんて!」
  男1「いつも真っ先に駆け付けるエドと違ってハリーは・・・」

         歌う。

      男たち“エドはいつも自分のことは    コーラス“なぜ”
           後回し 人のことばかりを
           考え一番に飛び出して      コーラス“ただ”
           身の危険忘れ
           ただひたすら人の為に
           なることを考え
           生きている”          コーラス“何が大切”

         (男たち下がる。)
         マリィ、セリ上がる。

      マリィ“エドはいつでも         コーラス“エドは
          みんなの幸せだけ             ただ”
          考え走り回る
          それが心配”          コーラス“心配ばかり
                                  かける奴だ”

         マリィ下がり、紗幕開く。
         と、Jとエンゼル。歌う。

      J“パパに会いたい
       ただそれだけが願い
       この身朽ち果てる前に
       一目だけでいいから”        コーラス“一目”

      エンゼル“願い叶った
            今こそ旅立つ
            時間”


   



    ――――― 第 2 場 ―――――

  J「父ちゃん・・・」
  エンゼル「さぁJ、生きた父親に一目会いたいと言うおまえの願
        いは、もう叶っただろう。そろそろ天界へ戻る時間だ。」
  J「オイラ・・・」
  エンゼル「ん・・・?」
  J「父ちゃんが死んで・・・オイラまでいなくなったら母ちゃん・・・
   きっと・・・悲しむだろうな・・・。母ちゃん・・・オイラにちっとも話
   してくれなかったんだ・・・父ちゃんのこと・・・。オイラが悲しむ
   と思って・・・。母ちゃんいつも笑って・・・オイラが淋しくないよう
   に・・・。いつも笑ってた母ちゃんが泣くのを見たくないんだ・・・
   !!」

         音楽流れ、後方マリィ、セリ上がる。(回想。)



   



  J(エコー)「ねぇ、母ちゃん!父ちゃんの話しして!父ちゃんって
         どんな人だったの?優しかった?怖かった?それと
         も・・・!ねぇ・・・」

         歌う。

      マリィ“忘れた昔の話しよ 遠い”   J“どうして”

      J“いつも教えてくれないけれど”   マリィ“思い出だわ   
                                記憶の片隅の”

      J“タバコの香り              マリィ“ただ
       かすかに残る                 昔のことだわ”
       それがパパの思い出
       とても会いたい             マリィ“遠い話し
       一目でも                     思い出よ”
       教えてよ
       大きな腕の中に
       包まれた記憶もないけれども
       ねぇ                    マリィ“淋しい温もり
       どんな人”                   正義溢れてた”

         (マリィ、下がる。)
         紗幕閉まる。

  J「オイラ、父ちゃんを助けに行く!!」
  エンゼル「な・・・何をふざけたことを!!おまえは天界の掟を破
        る気か!?天界の掟を破った者は、二度と天界へは
        戻れないんだぞ!!それどころか、その魂までこの世
        のチリとなって、消え去るのだ!!それがどう言うこと
        か、おまえは分からないのか!?」



   


       
         音楽流れ、2人歌う。

      エンゼル“無理”

      J“誰が何をどう言おうとも”

      エンゼル“駄目”

      J“大切な人を助ける為に来たんだ”

      エンゼル“おまえは掟を破るつもりか
            ただ一つの願い叶える為に
            この地上にただ一度だけ
            命を返され今
            心残りなく思い断ち切り
            天に向かう為
            天界の少しばかりの思い
            それを踏みにじるおまえの行いを
            見逃すこと私はできない”

      J“あなたにも心があるなら
       このオイラのこと見逃してくれ
       父ちゃんを助けたい思いだけ”

      エンゼル“見逃すことは出来ない 無理”

      J“この願い叶うならばオイラのことはいい
       この身朽ち果ててもいい 二度と
       魂が消えてなくなり
       みんなに忘れ去られようと”

      エンゼル“無理”

      J“誰が何をどう言おうとも”

      エンゼル“駄目”

      J“大切な人を助ける為に来たんだ”

  J「ごめん、おっちゃん!!」
  エンゼル「あ!!これ!!はぁ・・・私はどうすればいいんだ!!
        」

         音楽流れる。

  エンゼル「大王様・・・お許し下さい・・・。」

         歌う。

      エンゼル“困ったぞ
            どうすりゃいい はぁ     コーラス“誰にも
            こんなこと                 言えない
            なるなんて ああ            前代未聞”
            大王様には言えない
            もしバレたりしたならば
            二度と天界へ戻れはしない
            この地上でひっそり隠れて
            生きていくなんてごめんだ
            有り得ない”           コーラス“全くだ”

  エンゼル「一体どうすりゃいいんだ・・・」

      エンゼル“エンゼルと           コーラス“全く
            したことが                 情けない
            はぁ”                どうすればいい”

      エンゼル“天の国             コーラス“言えない
            始まって                   以来
            ああ”                聞いたことない”

      エンゼル“あいつも           コーラス“どうすれば”
            このままじゃ
            消え去る
            運命だから”         コーラス“いい
                                   ああ
                                   誰にも
                                   言えない”
      エンゼル“アーメン!”

    ――――― 第 3 場 ――――― A

         紗幕開く。と、トンネルの中。(滴の音。)
         エド、倒れている。

  

   



  エド「・・・いって・・・生きてたか・・・犬・・・おい・・・犬コロ・・・?」
  犬「ワンワンワン・・・!(エドにまとわりつく。)」
  エド「良かった・・・おまえも生きてたか・・・怪我もなさそうだな・・・
     俺は・・・いっ・・・怪我だらけのようだ・・・(無理して笑う。)」
  犬「ワンワンワン・・・ウーッ!!(唸る。)」      ※
  エド「・・・犬コロ?」

         ハリー、ゆっくり下手より登場。

  ハリー「・・・生きてたのか・・・」
  エド「・・・ハリー・・・」
  ハリー「今の落石事故で、死ぬかと思ってたのに・・・」
  エド「・・・え・・・?」
  ハリー「おまえがいなくなったら、マリィもおまえの心配をするこ
      とがなくなるんだ・・・」
  エド「ハリー・・・」

         音楽流れる。歌う。

      ハリー“自分のことばかりそんな
          おまえのことを庇う
          彼女のこと愛してると
          ふざけたセリフ言えるのか
          俺なら彼女待たすことなど
          しない泣かせない決して
          おまえは自分が大切
          そんな奴が難い”          コーラス“仲間”

      エド“おまえがそんな
         風に俺を
         見ていたなんて知らず”   コーラス“2人の心は
                                 ただ遠く離れ
      ハリー“おまえのこと嫌いだった       てく”
          夢ばかり見た甘い奴だ”

      エド“そんな風に思っていた
         そんなことは知らなかった・・・”    コーラス“今”



   








   ――――― “J―未来の君へ―”4へつづく ―――――












   ※ この場面の“犬コロ”の声は私でした~(^-^)
     ずーっと以前に「犬の唸り声が苦手です・・・」とお話し
     していたのが、このワンちゃんのことでした(^^;
     

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