~経済ニュースの森の奥~ ・・マクロな視点から。

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No.12 05年はグローバル海外投資元年なのか② ~情報の質と量が大障害~

2005年10月17日 | 投資・運用
景気回復感はGDPの半分を占める個人消費や日本の産業の大部分を占める内需関連では特にまだ実感できない状況かと思います。

今はマクロ指標で、家計収入や消費の状況に先行する指標である「設備投資」が大幅に回復していて、ひとことでいえば儲けを一人蓄えている海外進出企業部門が攻めに出ようとしている段階です。連られて雇用が増加傾向を示しつつあり、この後人件費へ回ってきてから消費マインドの改善、そしてようやく内需関連産業へ回って来る見通しです(その間懸念されるネガティブなイベントが起きて腰折れしなければ、の話ですが)。

海外をうまく使っての資産運用は団塊世代以上の層、そして上記したような企業団体がいまのところ全体のデータ(No10日経記事)を引っ張っているのが実情です。

個人の現役世代ではパーソナルIT化で株や為替が身近になり皆さんご存知のように一大勢力へ成長しました。また世界の債券や株式・不動産に分散投資する国内投資信託の預かり資産残高が、この1年間で10倍に急増したというニュースも最近ありました。
私も投資している、ある有力な国内投信は購買中心層が20~30代というデータが公表されています。

それらは現在のところ国内証券会社が供給する円の利ザヤを稼ぐための商品が主流ですが、運用の経験値を積んでいくにしたがっていずれ(後に述べる障害が無くなれば)現役世代にも海外運用投資の優位性が理解されるようになってくると考えています。

インフレ対応性、手数料経費の安さ、などが優れているだけでなく肝心の運用成績がいまのところ国内会社の扱う商品に比べケタ違いのファンドが多いのも事実です。為替リスクを考慮して国内に戻すときの税的な面を考えても(円や国内にずっと戻さなくて済む賢明な方法もありますが)、十分な魅力があるためリタイア富裕層や海外進出企業の間では静かなるブームを呼んでいるわけです。 


またNo10で書いたように海外投資は日本財政状況から来る不安をかき消してくれる精神的効果があることも確かです。しかしこれはつまるところあくまで“副次的な”要素に過ぎません。何度か書いてきたように、この先財政が破綻しても・しなくとも「円」で生活せざるを得ない日本庶民には大きな痛みがやってくるはずです。
重要ポイントは、“どちらに転ぶにせよ家計は防衛しなければならない”ということです。

ようやくNo10からのつづきに入りますが、
本来的に有望な選択肢である海外グローバル投資の良質な情報がなぜかあまり入ってこない。これが一般市民へなかなか普及しない一番の障害ではないかと推察するわけです。

理由はいくつか考えられます。

●国(政府)として、海外への資産流出の連鎖はどうしても避けたい。 

●具体的には銀行法や証券取引法、保険業法で海外ファンド投資商品に対して強い規制をかけている。 それらは宣伝活動してはいけないことになっているし、国内金融機関保護のためというお題目で外国籍ファンド会社は実質的に国内での販売活動が大幅に制限されている。
 
●国の方針を受け「キャピタルフライト」資産逃避・・の報道は大マスコミでは実質タブー。大きな影響力を持つマスコミによる日本亡国論は国の責任によりご法度。
個人的に愛国者であっても、海外ファンド等を購入すれば自然に亡国へ加担することに!?

●先入観・・海外ファンド・銀行=英語が苦手 面倒な気がする

●上記の様々な理由を、うまく逆手にとって商売をしている団体が増えている。(例)破綻回避という理由で囲い込む商売 自称資産運用会社 自称プライベートバンカー など。  要注意は・・高い会費、高額セミナー・勉強会・ビデオ、主宰者本人が英語で交渉しない、豪華なパンフや事務所、一任勘定システム ・・これら俗に言う“怪しい”一部の業者と、良質な海外ファンド代理店との見分けが一見つきにくいため及び腰になってしまう。
(ちなみに最も良識ある代理店は顧客側からの手数料はほとんど取りませんし、担当者本人がキチンと英語で交渉してつないでくれます)


以上の理由が複合的に絡んで障害になっているものと考えます。

とにかく、ニオイは元から絶たなくてはダメという観点からすると、官による規制が一番のクセものです。裏には、大手金融機関と官僚の強力なタッグによる「もたれあい」が当然あると思います。

国内大手証券会社の販売手法は一様にどれも一方的に販売側にいっさいリスクがなく有利な形になっています。ひと言でいうと売買さえ成立すれば利益になる仕組みです。顧客のリスク・リターンは基本的に関係ありません。 ですから宣伝や付帯サービスに全精力を傾けるわけです。これを一概に悪とは言い切れませんが、海外での常識とは全く異なるということだけここでは知っておいて損はないかと思います。 長くなりすぎてしまったので、この件は改めてまたいつか書ければと思います。


注:筆者自身は海外ファンド等の直接取扱いはしておりませんのでよろしくご了承ください。 また、投資はあくまでご自身の判断で行ってください。当ブログは投資勧誘目的のものではありません。

1 コメント

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Unknown (kanconsulting)
2005-10-25 01:32:59
確かに、官による規制が最大の原因ですね。「国内投資家」を保護するという名目で「国内金融機関・国内ファンド」を保護しているということでしょうね。

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