~経済ニュースの森の奥~ ・・マクロな視点から。

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No.13 小泉およびブレーンの本音“推定” 

2005年10月21日 | 財政危機
《テレ朝サンデ-プロジェクト(10・16) 武部幹事長発言》(要旨)

 田原「(テロップ見せながら)すでにこれだけの増税案が決定している。これは増税であるとはっきり断言しますか?」
武部「このままでは、財政が破綻する。ゆえに社会保障の見直しとあるべき税制を議論して、小さな政府をめざしていくべき・・・」

・・・

政府主要幹部が、キー局の生放送で「このままでは、財政が破綻する」発言を堂々とする時代になりました。武部氏らしく(良い意味でも悪い意味でも裏表がない)その発言には本音のニオイが画面から伝わってきました。

破綻しそうにまで国を追い詰めた自民党の責任は他人事のように評論して、増税・福祉高負担をもって小さな政府にしたい。・・・「したい」ではなく、本音は小さな政府に「せざるをえない」ということ。

北欧のような高福祉国家(大きな政府)にできる原資はあるわけもなく、これまでの日本のような中福祉国家も維持できず、高負担/低福祉国家にせざるを得ない。これが政府のいうところの「小さな政府」だとしたら、確信犯による言葉のはき違い戦術とも言えます。


(以下小泉およびブレーンの本音“推定”①)

次に景気が悪化したときには、(過去のような)財政出動はもうできない。
財政再建を最優先せざるをえないギリギリのところまで放置してしまったから、景気回復のために手を打つマネーはもうない。

日銀による金融緩和はやりつくしてしまった。日銀としては中央銀行としての独立性を復活させたいだろうし、金利操作の権限を持つ事で世界へ日銀の信用をもう一度取り戻したいのはわかる。(国債も政府の要請で法律ぎりぎりいっぱいまで背負わせてしまったし)
物価上昇率が安定的にゼロを上回れば解除とずっといいつづけてきたので、この約束は守らせてあげたい。そして物価上昇率ゼロ以上の日は「もうすぐ近いところまで来ている(日銀総裁)」んだって。


・・・だが新小泉体制は量的緩和解除に反対の姿勢。


《日経10/16 太田編集委員 論説記事》 

10/12衆院 財務金融委員会
佐藤ゆかり議員「日銀が金融緩和を解除した場合の、財政構造改革への影響は?」
裏の争点は財政だ。財政の引き締めと金融の引き締めを同時に行えば景気悪化や金利上昇で国債利払いの増加の恐れが強い。
もう一つ、痛みを伴う小泉改革と、長期金利の上昇を通じて強い人を富ませ弱い人の負担を重くする(二極化)量的緩和解除を同時に進めれば痛みは激痛にかわり、耐えられない人が続出しかねない。 小泉改革を加速し、その痛みを金融緩和で和らげる選択肢もある。
インフレ懸念対策(金融緩和解除)が優先するなら、小泉改革は後回しにしてもやむをえない。だが民意が支持した小泉改革の加速を犠牲にしてまで緩和解除を進めるのはどうか。  (論旨抜粋)


・・・

(以下小泉およびブレーンの本音“推定”②)

財政再建・小さな政府を最優先せざるをえないため、物価が上昇基調でインフレ懸念があっても金融緩和の解除はNG。
痛みが激痛になってしまうから。
国債利払いが増えるから。
そして万一景気悪化したら税収ダウン、
さらに景気対策で財政出動できるマネーがもうないから。

残された唯一の道はアメリカ式グローバリズムに徹底的に乗っかって、民間主導による市場原理主義パワーをもって国力を復活させるしかない。
政府や官は縮小し、もう干渉しないようにする。それよりとにかく借金を減らしたい。
資産を庶民へ再分配する政官のこれまでの役割は放棄して、民間のマーケットに任せる方向へできるだけ持っていこう。 任期はどうせあと一年だし。。


・・・・

その結果はグローバル大企業優遇、消費者市民は自助努力でなんとかするしかないということですね。
アメリカ式グローバリズムの真髄は、マネーがマネーを呼び1割の富裕層や大企業はさらに富んでいき、9割の庶民や生活関連企業は取り残されさらに貧しくなっていく、言い尽くされた言葉「二極化」を助長することにあります。


「グローバリゼーション」「市場原理主義」「アメリカ型資本主義」・・いろいろな表現で叫ばれて久しいわけですが、よくわからないという方のために次回以降あらためてその正体を(私なりに)わかりやすく書いてみようと思います。