毎年夏になると、各地の若者が富山県に集まってくる。2週間、県内4カ所の山に入る。
一人一日5㌃程度のスギの造林地の下草を刈る。寝食から作業まで自主管理の合宿だ。三十度を越す暑さ。体が痛い。アブやハチにも刺される。
今年、20年目を迎える「草刈十字軍」という運動がある。これまで2,386人が参加し1,466㌶の下草を刈った。
1974年、大山町の造林地で除草剤の空中散布が計画された。主宰者である足立原貫(もと富山県立大短期大学部教授)は、生活環境や森林生態系への影響を心配して中止を求めた。一方で、「対案のない反対は問題解決にならない」と考えた。「夏休みを利用した学生による下草刈り」を提唱し、全国の若者に参加を呼びかけたのが運動のはじまりだった。作業の必要経費を引いた日当は三千円程度。アルバイトとしては割に合わない。だが、毎年、男女を問わず多くの若者が参加する。この現象に無気力、無感動といわれた若者が行動する意味を探りたい。①若者の自己鍛錬、自己啓発の場②環境問題を考える機会③作業の達成感、仲間との連帯感④結果をすぐ確認できる新鮮さ、充実感──のためだ、という。若者の魂を磨く「人生道場」という期待と評価が存在する。
福祉施設でも多くの若者が二四時間の生活介護をつないでいる。福祉施設は、彼らが社会的活動の場としてやりがいを見出してくれる場でもなければならない。