東エレク、時価総額9倍　装置が描く逆スマイルカーブ　点検　半導体株㊥

半導体生産を担う企業の裾野は広い（電子回路が刻まれたウエハー）

半導体株は10年間で全体の時価総額がおよそ5倍になった。実際に半導体産業のどの分野が成長しているのか。

「素材」「製造装置」「製品」の3分野で分析すると、黒子ともいえる製造装置がけん引していることが分かった。

半導体株には投資マネーが集まり続けている。主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数（SOX）は最高値圏で推移する。

世界半導体市場統計（WSTS）によると、2024年の半導体の市場規模は世界全体で前年比16%増の6112億ドル（約96兆円）となり、過去最高を2年ぶりに更新する見込みだ。

この10年間の半導体産業はどの分野がけん引しているのか。QUICK・ファクトセットのデータを基に世界の半導体株を素材、製造装置、製品の3分野に分け、「時価総額」「売上高」「純利益」を10年前と比べると、すべての項目で伸び率トップが製造装置だった。

5月末時点の製造装置の時価総額は合計で1兆3796億ドル（約217兆円）と、2014年5月末（1652億ドル）から8.3倍となった。直近の会計年度の売上高の合計は同3.3倍の2146億ドル、純利益は17.9倍の352億ドルだった。

かつて家電など製造業では企画・開発や部品など「川上」事業の収益性が高く、加工や組み立てのような「川中」事業はそれが低下し、販売など「川下」事業では再び高まる点を指摘された。その形状から「スマイルカーブ」と呼ばれた。

産業モデルは異なるものの、半導体の3分野では川中にあたる製造装置の成長が最も大きい「逆スマイルカーブ」が浮かび上がった。それはなぜか。岩井コスモ証券の斎藤和嘉シニアアナリストは「半導体の精密化・微細化のカギを握り、技術革新を先導しているため」と指摘する。

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