ブリュッセルの欧州委員会本部=ロイター
【ブリュッセル=辻隆史】
欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は24日、巨大IT(情報技術)企業を規制するデジタル市場法(DMA)に米アップルが違反したと暫定的に認定したと発表した。
自社サービスに利用者を囲い込み、他社サービスを利用しにくくしていると判断した。
3月に全面適用されたDMAの初の違反ケースとなる。DMAは巨大IT各社の
①自社商品・サービスの優遇
②自社ソフトの抱き合わせ販売
③個人データの不正利用や囲い込み――などの行為を禁じる。重大な違反には年間売上高の最大10%、繰り返せば最大20%の制裁金を科す。
欧州委は今後、アップルに反論や対応の機会を与える。その上で2025年3月までに最終的な判断を下す。
欧州委は今年3月、アップルに加え米アルファベット、米メタの3社をDMA違反の疑いで調査すると発表していた。
アップルは3月、EU規制に対応し「iPhone」などでEU域内のアプリ開発企業に外部のアプリストアからの配信などを認めた。
それまでは消費者保護などを理由にアプリの入手経路を自社のアプリ配信サービス「アップストア」に限定。外部アプリストアからの配信に反対していた。
EU側はそれでもアップルの対応が不十分だと判断した。アップルの取引条件が、アプリ企業が利用者を価格の安い他の流通チャネルに誘導することを阻んでいるなどと批判した。
アップルはアプリ企業に対し、アップストアを通じ新規顧客を開拓するためとして手数料を要求している。欧州委は報酬として必要な限度を超えているとも指摘した。
アップルは外部のアプリストアを利用する場合でも、年間のインストールが100万回を超えるアプリについては毎回0.5ユーロ(約80円)の「技術手数料」を新たに設けた。
欧州委はこうした仕組みについても、新たにDMA違反の疑いで調査を始めたとも発表した。複数の調査を同時並行で進める。
欧州委は3月、アップルが競争法(EUの独占禁止法)に違反したとして18億ユーロの制裁金を科すと発表した。音楽ストリーミング市場で同社による支配的地位の乱用があったと判断した。
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日経記事2024.06.24より引用